四季の国そろいぶみです!
さて、これでメインに動くメンバーが出そろいます。彼らの家族もこれから出てきますが、あくまでもメインはこのメンバーです。
というわけで王宮に戻って来た。はー。色々と勉強になったお散歩だったなぁ。
実際に目にするのも大事だよね。カナン様は桜の国にいれば良いって言ってくれたけど、移動陣もあることだし、他の国に行ってみるのも良いかな~と思い始めてる。
だって、体力の心配しなくて良いんだもん!!(ここ切実だからね!本気で!)
元々スペックが低い上に、現代っ子特有のもやしっぷり。機械がない分スペックの低さは目立たないけど、体力の無さだけはカバーできそうにないし。―――移動陣様々だね!
「お帰りなさいませ夢未様。――いかがでしたか?」
霞さんをはじめとして王宮の偉い人達が総出で出迎えてくれる。
「とっても明るい雰囲気でしたよ~!国民の皆さんが笑顔なんて素敵です」
これで痩せてさえいなければな~と思うけど・・・自覚してもらうのは無理だと霧矢さんも海斗さんも言うから、余計なことは言わないでおいた。
「そうでしょう、民はこれ以上もなく幸福感を抱いておるのです」
そう自慢げに言う霞さん。
その幸福感は自己犠牲に酔って得られるものじゃない。たぶん、本気で他人の幸福を喜んでるんだ。桜の国の人達はとてもとても心根の綺麗な人たちだから・・・。
でも、精神面での幸福感を持つのはとても良いことだけど、はた目にはみすぼらしく映るその痩せた身体を、施しを受けている側の人々が見たらどう思うだろうか?
幸せだと感じるわけがない。罪悪感に責めさいなまれて苦しくなるに決まっている。
だからこその私なんだ。
「もっともっと幸せになれるように・・・頑張りますね」
私がそう言えば、霞さんは嬉しそうに頷いてくれた。
「そうそう、夢未様・・・先ほどようやく楓の国と雪の国からの使者殿を呼び寄せましたところでございます」
わ、意外と早く準備が整ったんだね!
まぁ、話を聞くだけだし、お泊りしなくても簡単に行き来できるようになったからこその早業ってところなのかな?
「じゃあ、お待たせしちゃってるんですね・・・急いでそちらに向かいますね!」
「使者殿も応接間まで案内しますゆえ、夢未様もそう急くことはありませぬ」
「―――じゃあ、なるべく早くってことで」
にこっと私が笑うと、霞さんも笑顔になる。
「そうですね。使者殿も早く夢未様とお会いしたいとの様子でしたから・・・なるべく早く、ですね」
どうも一般庶民の感覚でいちゃいけないらしいと私も学習したわけ。私はカナン様の眷属で、この世界の人達から見れば創造主様の御遣いってことになるわけだから、最重要人物なんだよね。
軽い気持ちでいたらいけないんだって改めて思ったんだ。だって、私はこの世界の救世主にならなきゃいけないんだもん。
***
というわけで、応接間に案内されて来たわけだけど・・・入るなり、海斗さんがチッと舌打ちした。え?なに?どうしたの??
「楓の国の使者はやっぱりお前かよ、森」
「私で悪かったですね。まぁ、海斗殿がいらっしゃっていると思いましたから、わざわざ私が来たわけです。槙では貴方の相手は出来そうになかったのでね」
「・・・わざわざ、それはどうも」
ひくひくと口元をひきつらせる海斗さん。うーん、どうやら犬猿の仲?というものらしい。
散歩中に聞いた話だけれど、楓の国の人々は生真面目で神経質なところがあるらしい。開放的で楽観主義な海の国とはやっぱりそりが合わないんだろうね。
まぁ、誰にだってお友達になれないタイプっているんだよ・・・うん。
「まぁまぁ・・・海斗殿も森殿も落ち着いて・・・巫女姫様の御前ですよ」
そう言って2人をなだめたのが、雪の国の使者の人だろう。全体的に色白な感じで・・・すっごい病弱そう・・・。なんか、ギュってしたらいろんな所がポキポキ折れそう・・・。
「そうですよ、ケンカは良くないです。お互いに国を代表する方なんですから、多少そりが合わなくても大人の対応してください」
なんて言えば、海斗さんはバツの悪い表情をし、森さん(で良いよね、もう)は軽く目を瞠った。
「―――なるほど、巫女姫様はハッキリとものを言う方なのですね」
森さんが初見で私から何を感じてそんなことを言ったのかはわからないけど、ニコニコ笑って愛想を振りまくだけの巫女じゃないってトコは見せとかないといけない気がした。
「言いたいことは言いますよ。私、この世界を救うために来たんですから。既存のモノだからといって残すとは限りませんし、でも、伝統を全部取っ払うなんてことをするつもりもありません」
「ふむ・・・全ては巫女姫様のお考えで行われる改革と捉えても?」
「構いません。でも、皆さんの意見を聞かないわけではありません。・・・だから、こうしてわざわざ来て頂いたんですから」
日本にいた頃ならこんなにハッキリものを言う必要はなかった。でも、今は必要だから相手に伝わるまで言葉を重ねる。
私はこの世界をおもちゃにするつもりなんてこれっぽっちもない。やったらやりっぱなし、なんてことしない。この世界を救いたいっていう気持ちは本当だから。
そんな思いを込めて、私は森さんの目をまっすぐに見つめる。
傍にいる霧矢さんがハラハラとしているのを肌で感じるけれど、ここで引いたらいけないと思うから。
どれくらいそうしていただろうか。私の何かを探ろうとしていた森さんの目元がふっとゆるんだ。
「ふぅん・・・まっすぐな気質の方のようですね。大変に好ましく思いますよ」
「・・・森、お前まさか・・・!」
「おや、海斗殿もですか?・・・ん?その反応からして霧矢殿もですか。ふふ・・・なるほど、こういう面は巫女姫像に当てはまりますね」
うーんと?なんだか男性陣だけで会話が成り立ってる?よくわからないんだけど・・・。
私は首を傾げて霧矢さんを見上げた。あれ?なんだかしぶーい表情をしてる。
「霧矢さん・・・?」
「・・・・・・いえ、夢未様がお気になさることではありませんよ。こういうことは自然にわかるようになるものです」
「自然に、ですか?」
「ええ・・・特に、夢未様のような方は・・・口頭で説明するよりも実地の方が理解が早いでしょうし・・・彼等なら(相手として)なんら問題はないでしょうから」
「???・・・はぁ」
何が何やらわからないけど、この場で説明する気はないらしい。
「ほほほ、夢未様はなかなかに手強いようですね」
「手強い、ですか?」
霞さんが堪えきれないとばかりに笑って肩を震わせる。ええー・・・私、何かしちゃったのかな?
「それでこそ攻略のし甲斐があるというものですよ、女王陛下。・・・ああ、自己紹介がまだでしたね、楓の国の第1王子の森と申します。今度ともよろしくお願い致します。夢未様」
「ああ、私もご挨拶がまだでしたね・・・雪の国が国王、銀の弟で、錬と申します。私の上に兄がもう一人おります。兄2人は生憎手が離せない案件を抱えておりまして、私が国を代表して参りました。どうぞご容赦ください」
「あ、はい。よろしくお願いしますね、森さん。錬さんも・・・お忙しいのはわかるので、そう畏まらないでください」
「いえ、私などが来ては・・・決定権もさほどありませんし、巫女姫様のご意見を持ち帰ることくらいしかできませんので・・・」
うあ・・・やっぱり雪の国の人ってネガティブなのね!?ちょ、なんかどんよりしてるんですけど!!どうしよう!!
「あ、えと、錬さん?」
「私は・・・っけほ、ごほっごほっ」
「ええっ、だ、大丈夫ですか!!」
突然咳き込みはじめた錬さんの背中をさすってあげる。これはまさかの鉄板・・・末っ子は病弱設定・・・!!!
「だ、大丈夫・・・です。こほっ・・・このような有様で、使者とは笑えますね」
うぎゃーー!!ネガティブマックス~!!!
「れ、錬さん・・・」
「でも・・・そのおかげで、巫女姫様に背中をさすって頂けたのは、役得でしょうか・・・?」
ふ、と柔らかい笑みをうかべた錬さんに、不覚ながらドキッとしてしまった。と、突然デレないでくださいよぅ!!
「・・・や、やるな・・・錬」
「まさか・・・病弱を武器にするとは・・・策士ですね」
なんて海斗さんと森さんがぼやいていたのにも気づかず、私はひたすら錬さんのデレたセリフに照れてしまっていたのだった。
ユメちゃん包囲網・・・(笑)




