↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
食いしん坊スライムはダンジョン最深部を目指す  作者: バナナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/66

第42話 名前で呼ぶと、偽物が来る

腹の中で、二つの赤魔核が同じ鼓動を打っている。

どくん。どくん。

第六階層相当、地下天文庫層の前室。俺は星形の穴から離れ、三方を崩れた書架に囲まれた場所へ移った。もし何かを吐き出しても、正面の一本の通路しか逃げ道がない。

セレネは通路の出口に立ち、弓をこちらへ向けたままだ。

「ずっと狙われてると落ち着かないんだけど」

「腹の中に正体不明の魔物を飼っている相手へ、背を向ける方が落ち着かない」

「飼ってない。勝手に入居されたんだ。家賃も払わず、ご飯まで食べた」

「なら、退去させて」

「それを今から考える!」

強がったものの、怖い。赤魔核は、死骸市場で拾ってからずっと隔離してきた危険物だ。どちらが偽物か分からない状態で取り出せば、爆発する核か、牙のある箱を素手で選ぶことになる。俺には手がないけど、危険度は変わらない。

入口を細く意識しただけで、体の中心が冷えた。外なら、敵が右にいれば右へ逃げればいい。胃袋の中では方向が俺の思考で変わる。右だと思った棚が次の瞬間には背中側へ滑り、奥を探そうとすると入口が遠のく。自分の能力なのに、焦るほど俺の命令を聞かなくなる。

「落ち着け、俺。腹の中で迷子になって、遭難届を出す相手まで腹の中っていうのは笑えない」

「笑わせようとしているなら、成功していない」

「怖がってるのを隠してるんだよ。そこは観測してくれ」

セレネはすぐには答えなかった。矢先は俺を向いたままだが、弦を引く力だけがわずかに緩む。

「観測した。だから急がせない。月角の民は、分からないものへ名前を与えて安心することを嫌う。分からないなら、分からないまま境界を作る」

「俺は名前をつけて、食べられるか考える方だな」

「その価値観が、今の事態を作った」

「反論できないのが悔しい!」

まず鑑定を使った。

胃袋の暗がりに、二つの表示が浮く。


挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。