最後はハッピーエンドで飾りたい
英夜はカナーンを抱き締めて、愛を語った。
それから英夜は料理店に正社員として入社することができ、料理を振る舞った。
「うまい!」
「おいしい……これが、家庭料理の味……」
自慢できること、一つあった。それは料理だ。
英夜は自信を取り戻し、精一杯働いた。
カナーンとの時間は犠牲になってしまったが、英夜の人生は確実に良い方向に向かっていっていた。
料理店ではオリジナルの料理に挑戦し、客を大いに楽しませ、店は大盛況。
自分の力量を理解できるようになって、英夜は自己分析をしていくようになった。
一度目の就職活動では失敗したが、二度目の就職は大成功を収めたのだ。
行きたいところに行って、自分の料理を振る舞う。
「……これは全部、カナーンのお陰かな」
仕事帰りに、よくカナーンのことを同僚と話したりしていた。
店長と和解してからは、正社員登用というのは、大体はアルバイトを繋ぎ止めておくための嘘だと店長が教えてくれた。
だから辞めて良かったのだと言っていたが、英夜は結構あの環境を気に入っていたのだ。
動き回って休む間もない仕事だが、それが好きなのだ。
「あの頃は、俺もお前も若かったんだよ……」
「そうですね。今思い出すだけで、恥ずかしいです。何であんなこと言ったんだろって」
「もういい。過去のことは水に流そう。俺も悪かった」
「俺もです。……店長、ありがとうございました」
「もう店長じゃない。営業部長だ」
「そうでしたね、営業部長」
「おう。お前も……しっかりやれよ」
「はい!」
だが今は、浮気はしない。
ずっと同じ職場で、身も心も捧げていこうと思っている。
それはある者の存在で、叶わぬことになるのだが。
「カナーン……誰に何と言われても愛している……けど、俺は……好きだけど、これはいけないことなんじゃないかとも思ってるんだ。どうしたらいいんだ、カナーン」
英夜が後悔したことは、カナーンへの愛のことだ。
どれだけ好きで愛していても、親の反対を押し切ってまで貫き通していいことだったのかと迷っていた。
人間の女性に興味がないのは本当のことで、この先好きになれる人が現れることもないだろうと高を括っていた。しかし、現れた。
暁夜という名前の、堕ちた天使と。
人間ではないが、女性を好きになったのだ。
これだけでも大きな進歩だろう。
最後はハッピーエンドで飾りたい。




