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愛こそ必要悪で正義 -sins-  作者: 社容尊悟
Ⅶ 人間と動物

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天使が悪魔になる方法

 第三者として顕現することは許されても、仲良くなることはご法度なのだ。

 人間の心を理解して、良き方向に導く存在。

 人間のような感情を持つことは許されない。

 人間と同じことをするのも、許されない。

 それなのに、グーミーは破ってしまった。

 たった一人の傷だらけの少年のために、一度悪魔になったのだ。

 その少年は火事で大火傷を負い、今にも死にかけていた少年だった。

 瓦礫の下に埋もれていて、動けそうになかった。

「大丈夫。私が助けます……」

「……誰……?」

「私は天使。貴方の命を助けるために、天界から舞い降りてきました」

「……?」

 天使の言葉が、人間にわかるはずはなかった。

「貴方の命、散らしはしない」

「……ありがとう」

 わからないのに、感覚でわかるのか、少年は力ない笑顔を見せた。

 だが、心はこもっていて、温かい。

 その笑顔だけで、グーミーは人間の少年に心奪われたのだ。

 たった一つ。

 されど一つの笑顔で、グーミーの心は掻き乱された。

 グーミーは少年が回復するまで、ずっと病院に通い続けて彼の看病をした。

 一日でも早く治るようにと、祈った。

「……優しいね」

「……そんなことないですよ。私は貴方が好きだから」


「九死に一生を得たって、お医者さんが言ってたんだ。でも、俺はあのまま……死んでいても良かった。だって、もう……父さんたちは死んだから」

 少年は窓の外にいるグーミーから顔を逸らし、肩を震わせた。

「……少年……」

「ごめん。君は悪くないのに、こんなことを言って」

「そんなことありません。私は貴方の家族を助けられなかった。既に死んでいる人間の命を救うことは、できないんです……。でも、貴方の家族の命は、天界にありますよ。貴方が生きていて良かったと言っています」

「……何言ってるのか、わかんないな……。多分、俺を助けて、後悔してるんだよな。ごめんな。死にたがりなんか助けて……」

「違います。私は……」

「……もうすぐ、自殺するからさ」

「やめてください……そんなこと、誰も望んでいません」

 少年は下を向いて更なる弱音を吐く。

 グーミーの声は一切聞こえない。

「だって、生きてたってしょうがないだろ? 家もない、家族もない……一人ぼっちだ……。生きてれば楽しいことがいっぱいあるなんて、そんなの嘘っぱちだ……。体は痛いわ、心は痛いわ、悪いことばっかりでいいことなんて一つもない……」

 少年は涙ぐんで、腕で涙を拭った。

 グーミーは少年の涙を拭こうと、手を伸ばした。

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