天使だった頃のアキヤ
「俺と禁断の愛、しませんか?」
「はい?」
「あの、俺……今だから言えるんですけど。最初見た時から綺麗だなって思ってて、暁夜さんのこと……。一目惚れ……したみたいで」
英夜は俯いて、照れながらアキヤに告白している。
「はあ……異生物だからですね」
「いや、そんなんじゃなくて。初めて見た時は人間だと思ってました」
「ですが、私の正体を聞いて、手の平返したような素振りを見せたと思いますよ」
「……違いますよ。禁断の愛なら、あなたも好きかなって思って」
「天使は天使でも、堕天使ですが……」
「それがいいんです!」
英夜はアキヤの手を握り、熱意のこもった目で強く出た。
「……私は世界中を旅することになります。最後までついてこられますか?」
「地獄の果てまでついていきます」
アキヤは英夜の覚悟にほだされて、英夜の手を取った。
「天使が人間と深い関係を持ってしまうと、どうなると思います?」
「さあ……人間になるとか……?」
「悪魔堕ちします」
「え」
「まあいいですよ。仮聖職者なので、天使であって天使でないようなものです。友達になっても、悪魔堕ちしますし、どの道私は天使には戻れませんから」
「いいんですか、本当に……」
「私もしたんです。禁断の愛」
アキヤは無理矢理な笑顔を作った。
アキヤの堕ちた記憶を、英夜に話すことにした。
「数百年前ぐらいのことです」
アキヤが天界で天使として神に仕えていた時のことだ。
その頃のアキヤの名前は天使名として別にあった。
日本語の発音では言い表せない複雑な発音の名前だった。
文字も存在しないので、書き表すこともできない。
「私の天使名を、仮にグーミーとしましょう。グーミーの頃の私は、今ほどだらけた生活はしていなかったんですよ。あまりにも永い時を過ごすため、月日という概念はなかったのですが、毎日のように仕事に明け暮れていました」
アキヤは昔話を人に話すのが、少し楽しいと感じた。
グーミーは天界から人間を見ていて、懇意にしていた人間もいた。
しかし、天使が人間と深い関係を持ってはならないことも知っていた。
人間と深い関係を持った天使は、悪魔堕ちすることになる。
何故なら、天使は神の使いであり、清純な存在でなければならないから。




