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愛こそ必要悪で正義 -sins-  作者: 社容尊悟
Ⅶ 人間と動物

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いい話が聞きたい


 遂に最後の一週間目が来た。

 この教会とも日本ともお別れだ。

 アキヤは今まで会った人々のことを思い出し、目を閉じて神像に祈る。

 最後くらい、いい話が聞きたい。

 禁断の愛で、後悔している人間にしか見えないこの教会に、そんないい話は転がり込んでこないと知りつつも、そう思うアキヤ。

「……長くても、短くてもいいので、いい話をどうか……」

 この世のミステリーと人の禁断の愛が大好きなアキヤは、そう神に願った。

「最後は、嬉し涙で飾りたいのです」

 アキヤの願いは、果たして届くのだろうか。

 昼過ぎの微睡の中、客人は現れた。

 今週は初めが女性で、最後が男性。

 ニューハーフは真ん中とすると、ちょうど三人ずつにわかれていた。

「ごめんください」

「はい、ただいま」

 沓と準のような偉そうな男性ではなく、物腰のいい男性が来た。

 アキヤは歓喜している。

 これはいい話が聞けるだろうと、アキヤは胸を高鳴らせた。


「懺悔できるって聞いたんですけど、話聞いてくれませんか?」

「はい。洗礼の儀式を受ければ、懺悔だけでなく、これからの人生、幸せなものになりますよ。貴方の人生は、どんなものだったか、洗礼の儀式の後にお話を聞きます」

 アキヤはニコッと笑いかけて、丁寧に説明する。

「なるほど。そうなんですか。でも俺、今幸せなんで。話だけ聞いてもらってもいいですか?」

「え……。それなのに、見えるんですか?」

 男性が照れ臭そうに笑って話す。

 アキヤは今幸せな人間が来たことに驚いている。

 これは神の悪戯か。

「何か、まずいことでも?」

「いいえ、そういうわけでは……。貴方が幸せで何よりです」

「……どうもです」

 ペコッと頭を下げて、男性は軽く笑う。

「腰の低い男性とお話するのは初めてですね。貴方になら、先にお名前を聞いても良さそうです。私はアキヤ。ここの仮聖職者をしています」

「アキヤさん。俺は常岡英夜と言います。アキヤさんって、どう書くんですか?」

「ときおか……ひいよさんですか。……アキヤは、暁の夜と書きますよ」

「素敵な名前ですね。俺のことは、英夜って呼んでください」

「ひいよさん」

「はい」

「呼んでみただけですよ」

「……あ、はい。それで……俺の懺悔なんですけど」

「はい。何でしょうか……とその前に、椅子に座ってください」

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