誰かの一番になっても、想いは届かない
「悪い……お前をこんな風にしか見られなくて」
「いいんです。誰の一番にもなれない、二番目の女は、ずっと貴方の道具でいましょう」
彼女の口癖が、準の胸を酷く締めつけた。
悪いことをしているとわかっていても、ベッドで一緒に寝るのをやめられなかった。
煙草の代わりに、女と寝る。
金はそれほどかからないが、罪悪感はとんでもなかった。
そんなことを繰り返していると、足がつくのも当然の結果だ。
妻にばれた。
「あんた、誰かと一緒に寝てるんでしょ」
「……」
「何とか言ったらどうなの! あんた、あたしには不倫なんかとか言っておきながら、自分はいいわけ? はあ、意味わかんない。何でそんなことができるのよ」
子供の前で夫婦喧嘩をする二人。
二人は度々正史を萎縮させた。
「次不倫したら、もう後がないからね!」
「……ああ……」
一度や二度ではすまないくらい、準は弐衣と一緒に寝ていた。
そのことを妻に話せば、きっと許してはくれないだろう。
弐衣の手を取ってしまう準も悪いが、それを拒まない弐衣もまた悪い。
妻は疲れのせいか、よくヒステリックを起こす。
「あたしは……あんたに愛されたくて……でもあんたはあたしを愛してくれなくて……金さえ渡していれば、あたしのことなんてどうでも良かったんでしょ。だから仕事に没頭できたのよ。正史のことだって……あんたは考えてなかった」
「それは違う……。お前のことは愛している。正史のことも愛している……。お前たちのために働いているんだ。他人に金を渡してもらいたいわけじゃないんだ」
「あたしがしんどいって言っても、聞いてくれなかった」
「俺も仕事で疲れて帰ってきていたんだ」
「……ハア……」
「……」
この後、二人は結局離婚をすることになる。
子供は妻と一緒に家を出ていった。
互いに愛しているが、想いは空回りしていく。
これは弐衣の呪いなのか。
いや、弐衣が最も損な役回りをしていた。
準がバツイチになってわかったこと。それは……
――誰かの一番になっても、想いは届かない。
そんな、青春の甘酸っぱい一ページのような、出来事。




