ヨリを戻したい
妻が何故不倫をしたのか、それを理解しようと思って準も不倫をすることにした。
本人に直接聞けばすむことを、またも誤解されるような選択をする。
片名準という男は、不器用な男だった。
不倫相手の名前は吾妻弐衣。
妻とは正反対のタイプの、品のある素敵な女性だった。
だが、準は不倫をしても妻のことが好きなのだ。
弐衣も、愛人という立場を甘んじて受け入れた。
「いいのか……お前も非難されることになる」
「いいんです。私は誰のものでもないんです。今は貴方だけの物にしてください」
彼女は二人きりになると、積極的になってすぐにベッドに誘った。
弐衣と寝ても、準は不倫をした妻の気持ちがわからなかった。
弐衣の気持ちも踏み躙って、優柔不断に長々と交際を続けていた。
ある時、彼女の寝言を聞いて、準はハッと我に返る。
「私はいつも二番目。それでもいいんです。少しでも貴方の物でいられたら……それだけで幸せなんです……」
あまりにもはっきりとした声だったので、寝言かどうかはわからなかった。
だが、準は弐衣との交際を断絶させることにした。
彼女を抱き締めて、別れの挨拶を交わした。
「今まですまなかった。お前の気持ちを考えず……」
「いいんです。私のことは、どうか忘れてください。奥さんと、お幸せに」
「お前も幸せになってくれ、弐衣」
「必ず一番になれる誰かを見つけます」
弐衣は笑っていたが、準が去った後、泣き崩れていた。
準はそれを物陰から見て、可哀想に思ったが、同情は愛情ではない。
そんな気持ちで傍にいられたら、もっと弐衣を傷つけることになる。
いい女だから、優柔不断でどうしようもない男の道具にされてしまう。
彼女を哀れと思い、手を差し伸べる人間はたくさんいるが、愛そうとする人間はいない。
都合のいい女は、結局は二番手にしかなれない。
彼女がそれを一番よくわかっている。
好きになった人間はどうせ離れていく、とても切ない恋しかできないのだ。
彼女の恩に報いる。
そう決心して、準は妻に謝った。
「……すまなかった。今まで……お前の気持ちを汲めずに……悪かった」
「あんた……」
「今更謝っても、もう遅いか。もうやり直す気はないか」
「……あんたにその気があるなら、考えてやらないこともないよ」
「本当か」
「子供もいることだし……」
「ありがとう」
妻を抱き締め、不器用な男は言葉で愛情を表現するようになった。
だが、その後も妻を褒める度に弐衣を道具のように扱った。
切ないのは弐衣の方だと思いつつも、準は彼女と別れられなかった。




