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愛こそ必要悪で正義 -sins-  作者: 社容尊悟
VI 既婚者と未婚者

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浮気される男


 片名準は四十代の会社員で、部長職に就いている優秀なサラリーマンだ。

 妻一人、子一人を持つ、ごく普通の家庭を築いてきた。

 子供のことは妻に任せきりで自分は働き詰めで大忙し。

 子供に構っている時間などないほど、仕事に追われる日々を送っていた。

 そんな準を見てきた妻は、ある時大人の恋愛をしてみたいと思って不倫をし出した。

 子供をほったらかしにして、自分だけ男とランチを食べに行ったり遊びに行ったりして、準の稼いだ養育費と食費をばら撒いた。

 その額、およそ数千万を遊びに使っていたのだ。

 職場から遠く離れたファミリーレストランで妻が誰かと話しているのを見かけた。

「ねえ~。もっといいところ行かない? 一泊二日の旅行だったら、友達と行ってくるって言ったらばれないし」

「遠い場所なら、一泊二日じゃ足りないな」

「一週間くらい必要?」

「そうだな……金はどうする?」

「もちろん、あたしが出してあげる。お金ならがっぽり持ってるから」

「助かる」

 明らかに金目当ての男だ。

 それにまんまと引っかかる妻を見ていられず、準は妻の席に行ってどういうことかと事情を話せと命令した。


「……あんたか……。何の用?」

「お前、俺が必死に働いてるのに、陰でこんなことしてたのか。こんな……芸能人のスキャンダルに取り上げられるような……不倫なんか」

「あんたに愛想が尽きたから」

「……え。その人、旦那?」

「そ。でももうすぐ離婚するって決めてるから」

「……何……? 人が必死こいて働いて稼いだ金を、そんなくだらないことに使いやがって。お前こそ慰謝料を払え。俺の時間を返せ、クソ女!」

 殴りかかりそうになった準を、騒ぎに気づいた店員が羽交い絞めにする。

「店内での乱闘は禁止しています……! どうか、おやめください」

「うるさい、言われたことしかできないバイト風情が……! ロボットが!」

 ベテランの会社員としてのプライド。

 バイトをしている学生に暴言を吐く。

「……すみません。でも……決まりなので」

「……ち、クソッ」

 準は店を出て、煙草を一箱吸って気持ちを落ち着かせた。

 イライラを抑えるためには、酒と煙草が丁度良かった。

 イライラする度に一箱吸い切って、毎日煙草代がかさんでいく。

 税金を山のように取られ、愛煙家たちは国に貢献するのだ。

 ストレスを解消する道具がない人間には、いい薬だった。

「婆さん、煙草」

「あいよ。吸いすぎなよ」

「要らん心配するな。老い先短いあんたの心配しとけ」

「口の減らない餓鬼だねえ」

 そう言いつつ、煙草を売ってくれる駄菓子屋の婆さん。

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