悪人には罰を。
万年筆を置いて、アキヤは鼻提灯をパンッと潰した。
「……途中から眠すぎて寝てました」
それでもアキヤは沓に伝え聞いたままに、懺悔日記を完成させた。
「……特にコメントすることがないんですが、どうしましょうか。そうですねえ……敢えて言うならば、母は偉大だってことでしょうか。頭はいいですが、彼はお馬鹿さんなので、肉親も兄妹も好きになってしまったわけですが。父親じゃなくて良かったとは思います。ええ、それはもう禁断の愛どころではなくなりますよ。むさいです」
アキヤの表情がげんなりとしている。
「想像するだけで吐き気が……。でも約束って、それほど重要なことなんでしょうか。そりゃあ、守らなければならない約束もありますけど。でもあの男と交わしたものは約束ではなく、一方的な脅しですよね。脅迫です。事故を起こした運転手に罰を与えるより、あの男に罰を与えたいです。ちょっと後味が悪い話ですよね」
アキヤがそう言うと、神がアキヤに言った。
「ありがとうございます。あの男に、不幸があらんことを」
アキヤは目を閉じて、手を組む。
あの男を思い浮かべる。
「沓さんには幸せを、神と私が運んでいきますよ。悪人には罰を、そうでない人には幸福を与えましょう。我らはいつでもお待ちしております」
締めの挨拶を少しアレンジして。
「愛こそ全て。禁断の愛は、必要悪で、正義なのです」




