彼女ができた
それを聞いて、沓は反省した。
とりあえず誰でもいいから付き合えば、宮のことを少しでも忘れられるという気持ちが独り歩きして、相手の気持ちを考えていなかった。
沓はそれを教えてくれた女子に、もう一度告白すると宣言した。
「次は絶対に成功する」
「はあ~ん。宣戦布告ってわけ」
女子の名前は有方夕子。
彼女の情報を得てから、沓は夕子と何度もコンタクトを取った。
彼女も沓の呼びかけには応じて、戦ってくれたのだ。
好きになってもらうように、努力した。
そうやってやり取りを繰り返していく内に、沓は夕子のことを一人の女性として好きになっていく。
嘘ではなく、本当に他人を好きになった。
……やっと宮を忘れられる。
夕子という一人の人間の出現で、あの儚い思い出が、消え去るのだ。
もう罪は犯すまいと沓は誓った。
沓は夕子に一世一代の告白をした。
案の定、夕子はそれを受諾。
二人の交際が始まる。
夕子と付き合い出してから半年が経って、家に彼女を連れてくるようになると、宮が嫉妬していた。
女子校に通っている宮には彼氏はいないのに、沓には彼女ができた。
「兄ちゃん、もう彼女できたの?」
「俺が二回告白して、付き合うことになった」
「二回も? どんな人?」
「お前と似て、美人だ」
「私と似てるの?」
「いや……」
「ちょっとそれは失礼なんじゃない」
「ごめん、夕子」
「仕方ないなあ~」
二人のバカップルぶりを見せつけられて、宮はすねた。
「いいもん。私だって、彼氏見つけて、兄ちゃんに自慢するから。今だけ優越感に浸ってればいいよ」
「宮……」
「私に見せつけるために、彼女作ったんでしょ。兄ちゃんの馬鹿」
見た目は変わっても、中身はあまり変わっていない。
思わず苦笑したくなる子供っぽさは健在だ。
夕子もクスクス笑っていた。
「いい妹じゃない」
「ああ……俺の妹だ」
「そりゃ沓の妹だけど……。何なのそれ」
「それって何だ」
「あの子を見る時のあんたの目。慈しむような目をしてる」




