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愛こそ必要悪で正義 -sins-  作者: 社容尊悟
V 兄と妹

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家族への性愛を忘れるために




 何事もなく、平穏な日々が続く。

 自らを鍛える中学生生活は終わりを告げ、高校生になった春のこと。

 小さくて守らなければいけない存在だった宮が、色っぽく女性らしい体つきになっていて、沓は宮の裸を見たい衝動に駆られた。

「兄ちゃん、どうかした?」

「く……」

 服の上からでもわかる豊満なバストとヒップに目を逸らせず、沓は思わず洗面台に駆け込んだ。

 顔を洗って、自分の目を覚ますために。

 妹を性的な目で見ることは今までも多々あったが、もうまともに顔を見られないほど欲求不満なのだ。 

 高校生にもなると、男子の性欲は頂点に達するようになる。

 これは列記とした健康な男子の感情。相手が悪いだけだ。

 他の女子には見向きもしないのに、何故妹の宮にはこんな感情が湧き出るのか。

 近くで見てきた一人の女の子の成長を、目の当たりにしているからなのか。

 不思議で堪らなかった。

 妹に対する煩悩を取り払う、そうしなければ道を踏み外してしまいそうだと沓は思考する。

 やましい気持ちがあると、家庭も円満でなくなるかもしれない。

 兄妹の色恋沙汰など、正気の沙汰だからだ。

 母親も父親も優しいが、驚くだろう。

 そうなったら、一巻の終わりだ。

 終わって欲しくない、この生活は。

 この生活も守りたい。

 だから、宮を愛する気持ちを忘れるように、他の女性と付き合うことにした。


 気を紛らわせようと、特に好きでもない女子に廊下に呼び出して告白してみたりもした。

 ふられても傷つかないし、寧ろ相手が傷ついているようだった。

「筑井君は、好きでもない子に……告白するの?」

「ただ誰かと付き合ってみたかっただけだ」

「サイテー。告白される方の身にもなってよ」

 頬を引っ叩かれ、女子は逃げるように立ち去った。

 あまり生徒が通らない廊下なので、幸い人に見られることはなかった。

「……」

 叩かれたのが何故か、沓はわからなかった。

 その後も沓は事あるごとに女子に告白して、宮の代わりになる女子を探した。

 容姿端麗で豊満な肉体を持った、女性らしい子を見ては声をかける。

 もちろん、みんなに断られた。

 一人は沓の告白を断った理由をつまびらかに説明してくれた。

「だって、あたし、あんたのこと知らないし」

 これが決定的な理由。

「顔はいい方なんじゃない? でもいきなり告白されて、はい、いいですよなんて言えるかっての。女は馬鹿だと思ってるんでしょうけど、あたしらもホイホイついてくもんじゃないんだから。そこんとこ、履き違えないでよね」

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