表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛こそ必要悪で正義 -sins-  作者: 社容尊悟
V 兄と妹

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/96

お前はおれが守る

「私の妹は強引で、人の話あんまりまともに聞かない子だけど、仲良くしてやってね。悪い子じゃないから」

「……」

「って、あの子が受け持ってる子たちに言っても、しょうがないか」

 担任の姉は豪快に笑った。

 沓も笑った。

 悪い人間もいたが、いい人間もいた。

 悪い人間に出会ったことがなかった沓と宮には、衝撃的な事件だったが。




 あのおぞましい事件があってから、お喋りだった宮があまり喋らないようになった。

 怖い思いをして、トラウマになったのだろう。

 今現在も歳のいった男性を見ると、震えが止まらないくらい恐怖している。

 物言わぬ人形にされ、好き放題に体を弄ばれたのだ。

 それも六歳といういたいけな年齢で、経験した。

 嗜虐的な趣味の男に、いいようにされて、プライドもずたずたで、心も体も蝕まれた。

 同じように怖い思いをした沓も、もっと喋らなくなった。

 今では多少喋るようになったが、人に殺すと言われたのは初めてで、あんなに怨恨をぶつけられて恐ろしかったのだ。


「怖い、怖いよお兄ちゃん……もう大きい男の人、見たくない……」

「父さんもか?」

「お父さんは別……。だって、お父さんは優しいから。知らない人は見たくない……外に出たくない。ずっとここにいる」

「ずっと家にいるって……でも、母さんの願いは……」

 二人が青春を送ってくれる様を見ていること。

 だが、無理に外に連れ出して、宮の心の病が悪化すれば、元も子もない。

 暫くは自宅で療養するのが得策か。

「母さんたちに話せるか」

「……」

「……無理か」

 肝心な時に両親の力を頼らず、年端もいかない子供の、二人だけで力を合わせた。

 涙で満ち溢れているボロボロの顔を見て、沓は傷ついた。

 兄として、きちんと守ってあげられなかった。

 たった数分早く産まれただけだが、沓は宮の兄であることを自覚していた。

 今度は、目を離さない。

 沓は宮を抱き締めて、約束した。

「お前は、おれが守るからな……」

「お兄ちゃん……」

「約束は……絶対」

 母親に言われた決まり事、この『約束』は後に二人にとっての枷となっていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ