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愛こそ必要悪で正義 -sins-  作者: 社容尊悟
V 兄と妹

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罠にかかる宮

「えへへ。そうでしょ! 宮はいい子なんだよ」

「いい子のクちゃんには、ご褒美が必要だね。おじさんと一緒にいいものを見に行こう」

 男の方が宮をどこかへ連れていった。

 女は手を振って、沓を見張っているからと言った。

「見張る?」

「何? もしかして……意味がわかるって言うの? あんた」

「何でおれを見張る必要があるんだ」

「ここは迷うし、みんな怪我しちゃうから見張っておかないとだめでしょう」

 有無を言わせぬきつい口調で、女は言った。


「……」

 女は二人がどこへ行ったか教えた。

「独房よ」

「独房って……それは受刑者を入れておく牢屋のことだろ」

「そんなことも知ってるの。最近の小学生は頭いいわねえ~」

「何で宮がそんなところに入れられるんだ」

「いい子にはご褒美が待ってるんだって。あの人、あたしのダンナ。妹ちゃんのこと、気に入ったみたい。これからいいことするつもりよ」

「いいことって」

「さあ? 好きな服着てもらうとか? そこらへんはよく知らない」

 沓は女に二人の行き先を詳しく聞き出した。

 初めて来た場所で右も左もわからないのに、聞いてだけで全部理解できたのだ。

 驚異の空間把握能力に、女は唖然とした。

「……あんた、凄いんだね。信じらんないよ」

「別に凄くない」


 沓の頭の回転の速さは、英才教育の賜物だった。両親のお陰だ。

 沓は家の中を歩き、迷わずに独房と言われた部屋に辿り着いた。

 色々な人と出くわしたが、声をかけられることなく、目的地まで一直線。

 歩いてきた道は直線ではなかった。

 独房と言われてもわからない、格子戸の部屋だった。

 沓は鉄格子だと思っていた。

「宮……無事でいろよ」

 沓が戸を開けようとしても、びくともしない。

 がっちりと鍵がかかっている。

 耳を押し当てても、声は聞こえない。

 沓の耳は音一つ受信しない。

「……」


 何をしているのか、わからずじまい。

 沓はどうにかして戸を開けようと、戸ごと壊す道具を探した。

 これだけたくさんのものが飾ってあるのだ。

 どれか一つくらい戸を壊せる道具はあるはずだ。

 そして沓はスコップを見つけて、格子戸をぶち壊して中に入った。

「宮!」

「……! 見張ってるって言ったくせによ、あの女……」

 畳で横たわる宮が、目を閉じてぐったりと眠っていた。

 涙の痕が見える。

 薬か何かを注射されて、無理やり眠らされたのだろう。

 服を脱がされ、裸に剥かれ、カッターナイフで切りつけられている。

 血痕が、畳につく。

 沓は同じ年頃の女子の裸を、初めて目の当たりにした。

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