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愛こそ必要悪で正義 -sins-  作者: 社容尊悟
V 兄と妹

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めんどくさいのは、どっち?

 人をなでなでできて、宮は満足した様子。

「先生、偉い偉い。この調子で、みんなをなでなでするんだ! えっへん」

「小さい子に撫でられるのって、何だか変な気分……。ちょっと自分が情けなく思える……かも」

「すいません」

 沓は宮の兄として、代わりに謝った。

 担任は苦笑いをして、手を振った。

「いいのよ……お兄ちゃんも大変ね」

「いやそんなことは」

「ちょっとぐらい愚痴ったりしても、罰は当たらないもんだからね。先生も、姉にもよく愚痴られてたなあ。手のかかる妹だったって、散々言われてきたし」

「……へえ」

「何の話!? 宮を仲間外れにしたら、怒るよ!」

 宮が割って入ってきて、二人の会話を中断させた。


「宮がめんどいって」

「ぷぷっ」

 何が面白かったのか、沓の発言に、担任は吹き出した。

 宮は沓の見解に不服を申し立てる。

 響く声で、じたばたと暴れる。

「ええ~! 宮はめんどくさくなんか、ないもん! いい子だって、お母さんも言ってたし、お兄ちゃんの方がめんどくさいよ! だって、しゃべんないし、人に気をつかわせるタイプの子だもん! 宮の方がいい子!」

「あまり騒ぐな」

「むう……」

「いいよ、気にしないで。二人が来ることは、もう言ってあるから」

 担任は二人を宥めて、石段の上を歩いていく。

 沓と宮も後に続いて、担任の家をよく見渡していい家だと感じていた。

 緑が茂っていて、日本の文化を象徴するような家。

 経緯は多少手荒だったが、また来たいと二人に思わせていた。

 担任は二人を客間に残してから、他の家族と話し合っていた。


「ちょっとお菓子取ってくるね。二人のこと、お願い」

「わかったわ」

「了解」

 大家族の内の二人が、客間で沓と宮の相手をすることになった。

 四人のいる空間に、侘しい沈黙が訪れた。

 二人は何か話そうとする気配もない。

 沈黙が苦手ではない沓ですら、耐えかねる重苦しく息苦しい空気だ。

 蛇に睨まれた蛙のような気分だった。

「……」

「どうしたの、お兄ちゃん」

「知らない人と話すのか……」

「大丈夫だよ、心配ないから。だって、先生の家族だもん。みんな、いい人だよ」

「そうだよ、よくわかってるね、妹ちゃんは。いい子だね」

 女の方がそれに反応して、宮を褒めて遣わした。

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