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愛こそ必要悪で正義 -sins-  作者: 社容尊悟
V 兄と妹

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お金でなんでも解決できるのか?

「これが……一万円……! 凄い……。手が臭くなったよ、お兄ちゃん。お金の臭いがする。玩具のお金じゃないよ、本物だよ! ありがとう、先生! 大事に使うね」

「い、いいのか、こんなにもらって……」

「いいよ。遠慮しないで」

「ちょっと……じゃないのか」

「ん? ちょっとだよ?」

 担任は小首を傾げて、沓の呟きに反応した。

 この家に住んでいるのだ。 

 金銭感覚が狂っていても、何らおかしくはない。

 故にこの家の人間は、金さえあれば何でも解決できると思っているきらいがあった。

 どれだけ金を積もうが、重い犯罪は消せないのだが。


 担任は家の門を開けて、二人を招き入れた。

 庭園や鹿おどしといった定番のもの。

 招き猫や信楽のたぬき。

 他にも見覚えのあるものがたくさん。

 それらは全て日本のもので、丁寧に飾られていた。

「これはねえ、日本家屋っていうんだけど」

「日本カオク?」

「まだわからないか。筑井さん……宮ちゃんと呼ぼうかな。呼んでもいい?」

「うん! いいよ。先生にも宮って呼んで欲しい!」

「ありがと。宮ちゃんの家もね、古くから続く、由緒正しいお家なんだよ。先生のお家と同じではないけど、家紋というのが家に飾られているはず。いいお家に住めて、良かったね。お父さんもお母さんも、優しい?」

「うん! すっごく、優しいよ! お兄ちゃんもね、宮の面倒見てくれるんだよ。お勉強とか、宮よりもできて凄いんだよ。宮も追いつきたくて、頑張ってるんだ!」

 宮は自分のことを話すように嬉しそうに、家族のことを誇らしげに話す。


「そう……宮ちゃんは沓くんに追いつきたいんだね。頑張ってね、先生応援してるからね。先生にもいい家族がいっぱいいるから、そういう話は嬉しいな」

「許可もらってない」

「あはは……筑井くんの方がいい?」

 沓がこくりと頷くと、担任は言う通りに沓のことは筑井くんと呼んだ。

「宮ちゃんと筑井くんはあんまり似てないね」

「それ、何十回も聞いたよ」

「先生、そんなに言ってた? 今日が初めてな気がするんだけど」

「昔にいっぱい言われたの! みんなしてお兄ちゃんと宮のこと、からかうんだよ。似てない、似てないって。ひどいよ。似てなくても、兄妹だもん」

 ぶすっと膨れっ面になって、宮は不機嫌になった。

 担任の心無い一言で、昔を思い出してもやもやした気持ちを感じているのだろう。

「ごめんね。そんなつもりはなかったんだけど、悪いこと言ってしまって」

「いいよ、先生は。ちゃんと謝ったし、許してあげるから!」

 母親によくされていたように、宮は担任の頭を撫でようとしていた。

 身長差で担任の頭まで手が届かなかった。

 なので、担任にしゃがむようにと宮はお願いした。

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