似てない兄妹
宮は俯いて頬を膨らませつつも、渋々と承知した。
幼いながらに、両親の大変さを肌で感じていたのだろう。
だからわがままを言わなかった。
父親の教育方法も良かったのかもしれない。
「ありがとう、宮。その代わり、遊園地ではいっぱい遊んでいいからな」
「……うん! いっぱい、いーっぱい、遊ぶ! パパと、ママとおにーちゃんと!」
「沓も、遠慮なんてするなよ。わしらは家族だ」
「……わかった」
そうは言っていたが、沓は控えめな性格で言いたいことは言えなかった。
妹の宮が言いたいことを言う性格だったので、沓は遠慮するようになってしまったのだ。
これはどのきょうだいにも言えることで、一方が自分のことばかりを考えていると、もう一方は逆になる。
自分のことよりも周りの目を気にしたりして、おどおどした性格になりがち。
どちらも同じ性格になるのは、意外と難しいことなのだ。
沓と宮が似ているところは、一つもなかった。
好む色、趣味、性格、容姿、身長や体重……。
どれを取っても似ても似つかない。
兄妹だと言わなければ気づかないとまで、幼稚園の子供に言われたりもした。
「おにーちゃんとくは、にてないんだって。きょーだいなのに、へんなのって。いわれちゃったよ。ふたごなのに、にてないって」
「うん……」
「おにーちゃんがあんまりぱくぱくしないから、くがぱくぱくしてるんだよ」
「ぱくぱく? しゃべる?」
「おしろつくるの?」
「そっちじゃなくて」
「おにーちゃん、あたまいー」
宮が手放しに褒めると、シャイな沓は照れた。
「すぐおいつくって」
「おいつく?」
宮の鸚鵡返しの質問に、沓は悩んで答えた。
「おれになれる……てこと」
「くが、おにーちゃんになる? なんで?」
「……ちがう……そうじゃなくて」
言葉を少し知っていても、幼児はうまく説明ができない。
これだけできただけでも、表彰ものだ。
三歳児とは思えない。
沓に助け舟を出したのは、母親だった。
「沓はね、こう言いたいのよ。宮も頭がいいから、宮も頑張れば、沓と同じ頭のいい子になれるのよ。沓はお勉強、頑張っているからね。宮も教室、通いたい?」
「うん! おにーちゃんといっしょ! おべんきょー、する!」
「そう。手続き、しなくちゃね」
「きつつき?」
「てつづき。宮が沓と同じ教室に行くために、することよ」
「てつづき! おねがい、します!」




