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愛こそ必要悪で正義 -sins-  作者: 社容尊悟
V 兄と妹

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似てない兄妹

 宮は俯いて頬を膨らませつつも、渋々と承知した。

 幼いながらに、両親の大変さを肌で感じていたのだろう。

 だからわがままを言わなかった。

 父親の教育方法も良かったのかもしれない。

「ありがとう、宮。その代わり、遊園地ではいっぱい遊んでいいからな」

「……うん! いっぱい、いーっぱい、遊ぶ! パパと、ママとおにーちゃんと!」

「沓も、遠慮なんてするなよ。わしらは家族だ」

「……わかった」

 そうは言っていたが、沓は控えめな性格で言いたいことは言えなかった。

 妹の宮が言いたいことを言う性格だったので、沓は遠慮するようになってしまったのだ。


 これはどのきょうだいにも言えることで、一方が自分のことばかりを考えていると、もう一方は逆になる。

 自分のことよりも周りの目を気にしたりして、おどおどした性格になりがち。

 どちらも同じ性格になるのは、意外と難しいことなのだ。

 沓と宮が似ているところは、一つもなかった。

 好む色、趣味、性格、容姿、身長や体重……。

 どれを取っても似ても似つかない。

 兄妹だと言わなければ気づかないとまで、幼稚園の子供に言われたりもした。

「おにーちゃんとくは、にてないんだって。きょーだいなのに、へんなのって。いわれちゃったよ。ふたごなのに、にてないって」

「うん……」

「おにーちゃんがあんまりぱくぱくしないから、くがぱくぱくしてるんだよ」

「ぱくぱく? しゃべる?」

「おしろつくるの?」

「そっちじゃなくて」

「おにーちゃん、あたまいー」

 宮が手放しに褒めると、シャイな沓は照れた。


「すぐおいつくって」

「おいつく?」

 宮の鸚鵡返しの質問に、沓は悩んで答えた。

「おれになれる……てこと」

「くが、おにーちゃんになる? なんで?」

「……ちがう……そうじゃなくて」

 言葉を少し知っていても、幼児はうまく説明ができない。

 これだけできただけでも、表彰ものだ。

 三歳児とは思えない。

 沓に助け舟を出したのは、母親だった。

「沓はね、こう言いたいのよ。宮も頭がいいから、宮も頑張れば、沓と同じ頭のいい子になれるのよ。沓はお勉強、頑張っているからね。宮も教室、通いたい?」

「うん! おにーちゃんといっしょ! おべんきょー、する!」

「そう。手続き、しなくちゃね」

「きつつき?」

「てつづき。宮が沓と同じ教室に行くために、することよ」

「てつづき! おねがい、します!」

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