次の暁まで
「この間の人の良さは何だったんだ。乱暴なのはお前もそうだろう」
沓は文句を垂れて、更に時間を浪費した。
「貴方の勘違いでは? 私はイイ性格していると、自負しているので」
アキヤはニコッと笑ってから、ドアを閉めた。
閉め出しを食らった沓の文句が外から漏れ聞こえてくる。
それを無視して、アキヤは懺悔日記を書きに行く。
アキヤの無礼勝手極まりない言動を、神に咎められる。
「神。仕方ないじゃないですか。だって、早く書かないと忘れてしまいそうで。忘れたらまた聞かなければいけないんですよ。そうなったら面倒なんですもの」
アキヤは頬を膨らませて、神に言い訳をする。
神に言い訳は通用しなかった。
「はあ……すみません。私も子供でしたね……」
アキヤは深いため息をついて、トボトボと歩いていく。
自室に着いた矢先、アキヤは頬を叩いて気合を入れ直す。
「あいたた……ちょっと強く叩きすぎましたね……もっと優しくすれば良かった……」
ひりひりと痛む頬を擦って、アキヤは椅子に腰かける。
「兄妹愛というものは、どの時代でも、なくてはならないものですよね。兄は妹を守り、妹は兄に守られる。互いを思い合い、助け合う。異性きょうだいだからこそ、お互いがお互いのことをきちんと理解しなければいけない。私もきょうだいが欲しいですー」
涙が溢れ出し、アキヤは机に突っ伏す。
「私が誰かを思うことって、ないんですよね……神との関係は、親と子というよりは主人と従者のような関係ですし。深い絆で結ばれているわけでもなく……私だけに愛情を注いでくれているわけでもない……。やはり、私は人の子と長い時を過ごした方がいいんでしょうか。そしたら、もっと謎を解き明かせるかも」
万年筆を手に取り、アキヤは呟くのをやめた。
座り直して、姿勢を正す。
「さて、仕事ですよ! たまには、書き出しを捻ってみるのもいいですね」
大声を出して、アキヤは自分に喝を入れる。
「次の暁まで……」
意味深な言葉を残し、アキヤは懺悔日記を今日も記す。




