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愛こそ必要悪で正義 -sins-  作者: 社容尊悟
V 兄と妹

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偉そうな男


 一昨日来た内の一人が、昼過ぎに姿を現した。

 この教会には珍しい男の客だ。

 アキヤは懺悔をしに来た客をもてなした。

 深くお辞儀をして、服の裾を摘んで一礼。

 一流のレディのたしなみだ。

「ようこそ、迷える子羊様。我が神と我が力を以て、貴方の罪を洗い流しましょう」

「こないだは世話になった」

 気難しそうな顔をしている男性は、ぺこりと頭を下げた。

「いいえ。貴方にお世話を焼いていただいた覚えはありません。お世話になるのは、私の方です。お客様がいなければ、この教会も、仮聖職者たる私も廃れていくのですからね。貴方たち人間の力で、私たちは存在することができる。貴方たちも罪を洗い流すことができる。言わば、私たちは相互扶助をしているのです」

 アキヤは男性に説明する。

 男性はこくりと首肯し、口を開いた。

 腕を組んで偉そうに。


「過去話をすればいいんだったか。どのへんからだ」

「それは洗礼の儀式が終わってからですよ」

「早くしろ。人を待たせてる」

「そんな事情は後にしてください……少なくとも、三時間はかかることなんですからね?」

「早口で話せば半分にはできるだろう」

「私が覚えられないと、意味がないんです! マシンガンは別のことに取っておいてください。何のための懺悔ですか。懺悔する気がないのなら、私だって、貴方のこと、もてなしたりしませんからね」

 アキヤは口を尖らせて、男性を叱った。

 男性はハァとため息をついて、重々しく言う。

「さっきから貴方貴方って……人を何だと思っているんだ」

「名前を知らないから、貴方と言っているんですよ。私のことも、貴方は知らないでしょう。お互い様ですよ」

「……」


「では、早くすませたいとお思いのようなので……早速儀式を始めましょう」

 アキヤは目を閉じて、神に祈る。

「今ここで汝の罪は洗い流されることになろう」

「…………フン」

 鼻で笑う男性に、アキヤはむかっ腹が立ったらしく、子供っぽい声を出す。

「何ですか、鼻で笑って。鼻で笑えばちょっと硬派に見えて格好いいとか、そんなこと思っているのではないですよね? 貴方は全然かっこ良くないですからね。禁断の愛を犯した人間なんですからねえ~! お馬鹿な男です!」

 最後に舌を出して、男性を挑発した。

 安い挑発にまんまと引っかかる男性。

「……お前……!」

「アキヤです。私の名前。貴方の名前は?」

「……ち」

「今度は舌打ちですか? いけ好かないクソガキですね!」

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