偉そうな男
一昨日来た内の一人が、昼過ぎに姿を現した。
この教会には珍しい男の客だ。
アキヤは懺悔をしに来た客をもてなした。
深くお辞儀をして、服の裾を摘んで一礼。
一流のレディのたしなみだ。
「ようこそ、迷える子羊様。我が神と我が力を以て、貴方の罪を洗い流しましょう」
「こないだは世話になった」
気難しそうな顔をしている男性は、ぺこりと頭を下げた。
「いいえ。貴方にお世話を焼いていただいた覚えはありません。お世話になるのは、私の方です。お客様がいなければ、この教会も、仮聖職者たる私も廃れていくのですからね。貴方たち人間の力で、私たちは存在することができる。貴方たちも罪を洗い流すことができる。言わば、私たちは相互扶助をしているのです」
アキヤは男性に説明する。
男性はこくりと首肯し、口を開いた。
腕を組んで偉そうに。
「過去話をすればいいんだったか。どのへんからだ」
「それは洗礼の儀式が終わってからですよ」
「早くしろ。人を待たせてる」
「そんな事情は後にしてください……少なくとも、三時間はかかることなんですからね?」
「早口で話せば半分にはできるだろう」
「私が覚えられないと、意味がないんです! マシンガンは別のことに取っておいてください。何のための懺悔ですか。懺悔する気がないのなら、私だって、貴方のこと、もてなしたりしませんからね」
アキヤは口を尖らせて、男性を叱った。
男性はハァとため息をついて、重々しく言う。
「さっきから貴方貴方って……人を何だと思っているんだ」
「名前を知らないから、貴方と言っているんですよ。私のことも、貴方は知らないでしょう。お互い様ですよ」
「……」
「では、早くすませたいとお思いのようなので……早速儀式を始めましょう」
アキヤは目を閉じて、神に祈る。
「今ここで汝の罪は洗い流されることになろう」
「…………フン」
鼻で笑う男性に、アキヤはむかっ腹が立ったらしく、子供っぽい声を出す。
「何ですか、鼻で笑って。鼻で笑えばちょっと硬派に見えて格好いいとか、そんなこと思っているのではないですよね? 貴方は全然かっこ良くないですからね。禁断の愛を犯した人間なんですからねえ~! お馬鹿な男です!」
最後に舌を出して、男性を挑発した。
安い挑発にまんまと引っかかる男性。
「……お前……!」
「アキヤです。私の名前。貴方の名前は?」
「……ち」
「今度は舌打ちですか? いけ好かないクソガキですね!」




