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愛こそ必要悪で正義 -sins-  作者: 社容尊悟
Ⅳ 女と女

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へこたれない矛屡

「いいや。小痲さんは、本当は寂しがり屋だから。あたし、わかるんだ。人の、そういうところ。小痲さんは心の中で寂しいって言ってる」

「確信するようなことでもないわ」

 首を振る小痲に、真剣な表情で相対する矛屡は、小さな声で呟いた。

「ちゃんと、届いてるよ」

 自分の胸に手を当てて、矛屡は小痲に告げる。

「あたしの心にはね」




 矛屡と小痲の会話は、まるで恋人のようだとたちまち噂が広まっていった。

 そんな噂に赤面して少しは丸くなるかと思われたが、小痲は全くぶれなかった。

「女同士で恋人? そんなのクソくらえよ」

「とある人によると、女同士の恋愛は綺麗なんだって」

「それはそれが好きな人が言ってることじゃないの。好きな人間が言うことなんて、主観に決まってるわよ。綺麗なんていうのは、ただの妄想。ただの理想。現実的じゃないわ。もっとグログロ、ドロドロしたものかもしれないじゃない」

 鼻で笑って、小痲は他者の夢をぶち壊す。

 リアリストの小痲の意見は鋭く、的を射ている。

 しかし同時に、多くの人を傷つけるもの。

 だからこそ正論は嫌われるのだ。

 そんな小痲の意見を、楽しげに聞くのは、矛屡ただ一人。


「でもあたしが話しかけたら小痲さんは話してくれるよね」

「あなたが話しかけるのをやめたくなるまで、いつだって話してあげるわよ」

「そんな未来は、一生来ないと思うけどな」

 矛屡の精神力は強い。

 小痲に暴言を吐かれても、怯まない。

 どれだけ否定されても、矛屡は何度も立ち向かえる。

 強すぎて、気持ち悪いと言われても、矛屡は性格を変えなかった。

 人間らしくなくても、これがあたしだと言い張った。

「どこから来るのよ、その強さは。信じられない。あなたは人類?」

「あたしはどこからどう見ても人間だよ。小痲さんも同じ人間。あたしたちはちょっと変なだけ。ちょっとみんなと違うだけ。でしょ?」

「……同意を求められると無性に腹が立つのよね。一発殴ってもいいかしら」

「うん。いいよ」

「遠慮しないわよ」

 矛屡も矛屡で性格に一貫性があり、小痲とのコンビネーションは完璧だった。

 矛屡と過ごしていく内に、小痲の性格に変化が現れるだろうと矛屡は思っていたのだ。

 その予想は、大いに外れた。

「一緒にご飯食べようよ」

「壁と話しながら食べてなさい」

「一緒にトイレで話でも」

「ありふれた話題は手洗い場で流してしまいなさい」

「一緒に帰ろう」

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