いいえ、私と神だけは
この数日の中で、一番長く書いた懺悔日記。
アキヤの心を揺れ動かした无子の過去。
今までにない壮絶な過去だった。
アキヤが書いている途中、涙を禁じ得なかった。
「酷い。酷いですよ、これは」
万年筆を握る手に力を込めて、アキヤは怒りに打ち震えた。
「私の神が黙ってないですよ……。こんなこと、許されるわけがない。无子さんは何も悪くなかったじゃありませんか。過ちを犯した……でもそれは……」
アキヤは首を振って、目尻にたまった涙を飛ばした。
「でも私が感情的になってはいけないんですよね。私は仮聖職者の身。これからきちんとした聖職者になるんですから。こんなことで泣いていてはいけませんよね」
アキヤはグッと拳を握り締めて、ふうと息を吐いた。
「人間、誰しも一度は過ちを犯します。ですが、きちんと反省する心も持っているはずです。そうでなければ、人間の繁栄はすぐに途切れていたと思いますし。一年に換算すればたったの数日だけしか生きていない人類でも、繁栄した時は長いですよ」
椅子を引いて、アキヤは立ち上がった。
「愛は必要悪で正義と言います。禁断の愛であろうが、それは必要な悪であり、正義なのです。无子さんのケースも変わりません。私はそれを許します。許すための教会なんですからね。世間が許さなくても、私だけは貴女の味方でいましょう」
「いいえ。私と神だけは」




