傷の舐め合いでもいい
人間的にダメダメな自分でも、无斗だけは好いていてくれる。
他の誰が理解してくれなくても、无斗だけは自分を好きでいてくれる。
无子は更に過ちを犯す。
次は決して許されない過ち。
无斗が大きくなったら、一つになろうと思ったのだ。
それも一度や二度で終わることのない、永遠の愛で二人は繋がった。
无子の想いを无斗が拒むことはなく、无斗もまた无子への愛を行為で示す。
二人はベッドで語り合う。
「私のこと、一人の女として見てくれるのは、无斗だけだよ」
「俺も……そう思う。俺はずっと、母さんのこと大好きだから」
「ねえ、无子って呼んで」
「无子」
「愛してるって言って欲しい」
「愛してる」
「嬉しい……私も无斗のこと、世界で一番愛してる。これからも繋がろう。誰にも邪魔されない、私たちだけの世界だよ」
「わかった。无子のこと守れるのは、俺しかいないから」
初めて繋がったのは、无子が二十四歳、无斗が十二歳の時だった。
无子はそれが悪いことだと知らなかった。
无斗も知らなかった。
愛がある者同士でする性行為は、正しいものだと信じて疑わなかったのだ。
「私は本当の愛を……知った気がするの」
「俺も」
「これが、正しい愛なんだね」
それが間違っていると気づいたのは、三十を過ぎてからだった。
无斗が十八歳になった頃、无斗に邪険にされて愛し方を間違えたことに初めて気づいた。
「母さん、俺たちおかしいんだって」
「おかしい……そうなの」
「もうやめよう。俺は母さんのこと今でも大好きだけど、それはおかしいって言われたんだ。親子で愛し合うなんて、気持ち悪いって言われた」
「そんなの、他人が言ってることじゃない……。愛し合ってるのに、おかしいことなんて……おかしくなんて、ない……のに」
无子は言ってから自分の発言を顧みた。
あの少年が言っていたことと同じことを言った。
「それに……俺にも好きな奴ができるかもしれないしさ」
「嫌……そんなの、嫌」
「何で?」
「私から離れていっちゃう……」
无子は无斗にしがみついて、子供のように駄々を捏ねた。
「俺だって、いつかは親離れしないといけないと思ってるんだよ。わかってくれよ」
「私の気持ちもわかって欲しいの」
「……」
「あなたがいないと、私は生きていけない」
「……わかったよ……いなくならないから……」




