呪われた子
気の強い叔母が、无子が急に泣き出して怯む。
「わ、私が悪いの? いきなり泣いて。どうしたのよ」
「叔母さんが悪いんじゃないよ……全部私が悪いの……あの人も言ってた……騙される方が悪いんだって……全部私のせい。全部、めちゃくちゃにしたのは私なの」
叔母が无子の背中をさすって、泣き止ませた。
「……まずは泣くの、やめなさい。感情的になったら、見えるもんも見えなくなるわよ」
「見えるものが見えなくなるって?」
「私の顔とか」
叔母は自分の顔を指差して言う。
叔母も一緒に泣いていたのだ。
「もらい泣きしちゃった」
「叔母さん……」
「キュートでしょ」
「うん」
可愛い泣き顔ではなかったが、怯えていた无子の心を和ませ、无子に笑顔を取り戻させた叔母は本当に可愛い人だった。
気が強くて厳しいが、お茶目で感性が豊かな人だった。
无子も叔母のことは好きだった。
しかしながら、それは過去の話。
ここからまた、不幸の連続が无子を襲う。
无子が子供を産んでから数日。
叔母夫婦の仲に暗雲が垂れ込めている。
无子は夜中に起きて、リビングから聞こえる叔母たちの会話を、廊下で聞いてしまった。
「あの子引き取ってから……何か子供たちがよそよそしいと思ったら……、いじめられてるそうじゃない? 直もみかこも……。あの子のせいだって言ってるんだけど、違うわよね。どう思う?」
「だから言ったじゃないか。あんな子引き取るなって。姉さんたちも言ってただろ。あの子は不幸を呼ぶ子だって。呪われてるんだよ」
「いい子よ。呪われてなんかないわ。悪いのは、あの子を襲った男じゃない。あんないたいけな女の子を襲うなんて……酷いと思うでしょ」
「第一、中学生からセックスするなんて馬鹿げたこと……里親にすら大事にされてなかったんだろ。構って欲しくて自分の犯した過ちを人のせいにしてるんだ。どうせ嘘に決まってる。目を見ればわかる」
叔母の話を叔父は取り合わない。
見当違いの自身の意見を曲げない。
「あれは嘘じゃないわよ。あんなに怯えてた……。あなたこそちゃんと見てないんじゃないの? 私みたいに、ちゃんとあの子と話をすればいいじゃない。あなただって、あの子の家族なんだから」
「わしが見ず知らずの他人の子供を産んだ奴を、家族と思えるか! 気色の悪い……」
叔父の言い分もわかる。
「それも後先考えずに行動するような大馬鹿者だ。わしは認めん」
「……あなた……」




