初体験をしよう
无子は何も悪くはないのに、友人はどんどん去ってしまった。
どうして友人がいなくなっていくのか、无子はわからない。
とりあえず別れようと思って、无子は未だに曇らない恋心を胸に秘めて少年を屋上に呼び出した。
「何? 何の告白?」
少年は无子の心の内を読めず、半端に茶化した。
「私たち、別れた方がいいよ」
「……」
「みんな、私と〇△君のこと、祝福してくれてない。だから、別れないといけない……そんな気がするの。今でも好きだけど……でも、そうしないと私はまた一人ぼっちになってしまって……それは嫌だから。友達も欲しい。恋人も欲しい。でもあなたじゃダメみたい……。わがまま……かな」
「みんなが言うから、そうやって言いなりになるのって、何か変だろ」
无子の考えを少年は否定する。
果たして、そこに愛はあったのだろうか。
「変? 変じゃないよ。私と〇△君は合ってないってみんなが言ってるから」
「なら誰なら合うって?」
「それは……」
「ほらわかんないんだろ? それってさ、要するに嫉妬ってことじゃねえ? 俺とお前のお似合いカップルが気に入らないから、みんなそうやって意地悪言うんだよ。恋愛なんてそんなもんだぞ? 俺がモテるからって、お前は何も気負う必要ないしさ。お前だって、美人だしモテるだろ。俺のこと僻んでる奴もいっぱいいるって。逆境を跳ね返してこそ真の恋人ってやつ。俺らはそういう風になるから」
「……うん……」
「じゃ、今日……ホテル行こうぜ」
「え? 泊まるの? どこに」
「ラブホだよ。そんなもんも知らないのかよ」
「何それ」
「気持ちを一つにする楽園だよ。俺たちの気持ちを一つにするんだ。じゃあ、学校終わったら一緒に行こうぜ」
「中学生が行っていいところ?」
「大丈夫大丈夫。化粧してくれば、ばれないって」
付き合って数週間。
无子は少年の言われた通りに、何でもしていった。
少年に全幅の信頼を置いていたわけではない。
素直になりすぎてしまった无子が、人の言うことばかりに耳を傾けたからだ。
そして、あることをきっかけに、一切自身の意見を言わなくなっていった。
全ての判断を他人に委ねるばかりで、自分という存在を殺したのだ。
ラブホテルに行って、年齢確認もされずに二人は部屋に通してもらったのだ。




