恋を知る
无子が中学校に入学する頃には、更に頭角を現していった。
クラスでトップの成績を取り、全国模試でもトップの成績を収めた。
問題の性格も直り、先生からは一目置かれ、友人もできて、みんなから頼りにされるほどの人気者。
いじめも受けたが、持ち前の性格で乗り切っていった。
そこからはいじめっ子とも仲良くなってしまう。
正にカリスマ。
誰もが魅了され、引き寄せられる无子の頭脳に。
「友達になろうよ」
全ては爺さんと婆さんのため、无子は優しさの塊に生まれ変わり、日々猛勉強した。
中学校に入学したのち、无子は同じクラスの少年に恋をする。
容姿端麗でスポーツ万能な男の子だった。
友人も多く、性格もいいとクラスでは評判。
もちろん、彼はかなり女子にモテる。
无子も例に漏れず、惚れてしまったのだ。
きっかけは体育の時間。
マラソンが控えていたので、練習を休めなかったのだ。
腹痛で无子は腹をおさえていると、その少年に声をかけられた。
「浜、保健室行けば?」
「え……でもまだ終わってないから」
「行けよ。倒れそうな顔してる」
「……そうだね」
「俺が連れてってやろうか?」
「え?」
「ほら」
ん、としゃがんで少年は无子を背中におぶって、保健室に連れていった。
おぶさっている最中、无子は胸の高鳴りを感じていた。
同年代の男子に優しくされたのも初めてで、こんなことをしてくれる人がいるのだと人間を見直した。
保健室の先生に言ってベッドに寝かせてもらうことになっても、まだ少年は无子を待っていた。
礼の言葉を待っているのだろうか。
无子はまだ言えていなかった。
无子は連れてきてくれた少年に、恐る恐る話しかけた。
「……あの」
「ん? 何だよ」
「ありがとう」
「いいって! 気にすんな。お前、そんなに重くなかったし」
「そんなに重くなかった? 多少は重かったんだ……」
「あ、いや。えっと、その。ごめん」
少年は頬をかいて、目を逸らした。
先生がクスクスと笑って、二人の会話を茶化す。
「青春ね」
「そ、そんなことないっすよ」
「あれー? 真っ赤になっちゃって。実は好きなんじゃないの?」
そう言われて、満更でもない様子の少年。
无子の胸はドキドキして、腹痛で寝るどころではなくなっていた。
次の言葉を早く知りたい。




