従順すぎる女性
何と、その日は明け方にやって来た。
一人しか受け入れない教会に、数人も来てしまったのだ。
最初に来た人間を招き入れ、後の三人は引き返してもらった。
こういうこともあるものだとアキヤは驚きを隠せない。
「一人も来ない日はありませんが……たくさん来るのは驚きです。私の舌もロールパンですよ。神がお導きになったのかもしれませんね。私の願いを叶えてくださった」
アキヤはくるりと回って、生き生きした表情で踊る。
アキヤのおかしな行動にも眉一つ動かさない女性。
それはそれで驚きだ。
「懺悔を、聞いてください」
「はい、わかりました。では洗礼の儀式を執り行いましょう」
キリッと眉を吊り上げて、アキヤはいつもの言葉を呟いた。
「今ここで汝の罪は洗い流されることになろう」
「……ありがとうございます……!」
女性は頭を垂れて、アキヤに跪いた。
アキヤが神であるかのように。
「……私に頭を下げなくても良いのですよ。貴女が下げるべき相手は神です。私は格下の仮聖職者ですからね。そんな者に下げる頭など、もったいないものです」
アキヤがそう言うと、女性は言う通りにした。
「わかりました……」
「素直に従うのですね。ここに来る方は皆、素直で良い方ですが」
「私は素直すぎる人間なので……人を傷つけることも多々あります。だから生きることも辛い。そんな時、いつも傍にいてくれて頼りにしていたのが、我が息子でした……。それなのに、私はあんな酷いことを……!」
よよと泣き崩れる女性。
アキヤは冷静さを保ったまま、女性に話しかける。
「ヒートアップしていますよ。落ち着いて、ゆっくりと息を吸ってください」
女性はゆっくりと息を吸った。
そこで暫く息を止めている。
「吐いてください?」
「はあ~……」
「私が言わなければ、死んでしまいますよ?」
「……はい……」
これは手強いとアキヤは思った。
従順さが度を越している。
まるで召使のようだと。
そこでアキヤは話を聞く。
「今まで何があったのか、また何を悔いているのか、お話してください」
「わかりました……あれは……」
女性は話し始めた。
しかしすぐに話は終わってしまった。
「聞き方が悪かったですね……申し訳ありません。事の経緯を話してください。貴女が何故懺悔をすることにしたのか……それをお話してください。これが終わるまで、儀式は完了しませんよ。貴女は帰れません」
脅すように、アキヤは詰め寄って女性に告げた。
「は、はい」




