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愛こそ必要悪で正義 -sins-  作者: 社容尊悟
Ⅲ 親と子

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従順すぎる女性


 何と、その日は明け方にやって来た。

 一人しか受け入れない教会に、数人も来てしまったのだ。

 最初に来た人間を招き入れ、後の三人は引き返してもらった。

 こういうこともあるものだとアキヤは驚きを隠せない。

「一人も来ない日はありませんが……たくさん来るのは驚きです。私の舌もロールパンですよ。神がお導きになったのかもしれませんね。私の願いを叶えてくださった」

 アキヤはくるりと回って、生き生きした表情で踊る。

 アキヤのおかしな行動にも眉一つ動かさない女性。

 それはそれで驚きだ。


「懺悔を、聞いてください」

「はい、わかりました。では洗礼の儀式を執り行いましょう」

 キリッと眉を吊り上げて、アキヤはいつもの言葉を呟いた。

「今ここで汝の罪は洗い流されることになろう」

「……ありがとうございます……!」

 女性は頭を垂れて、アキヤに跪いた。

 アキヤが神であるかのように。

「……私に頭を下げなくても良いのですよ。貴女が下げるべき相手は神です。私は格下の仮聖職者ですからね。そんな者に下げる頭など、もったいないものです」

 アキヤがそう言うと、女性は言う通りにした。

「わかりました……」

「素直に従うのですね。ここに来る方は皆、素直で良い方ですが」

「私は素直すぎる人間なので……人を傷つけることも多々あります。だから生きることも辛い。そんな時、いつも傍にいてくれて頼りにしていたのが、我が息子でした……。それなのに、私はあんな酷いことを……!」

 よよと泣き崩れる女性。


 アキヤは冷静さを保ったまま、女性に話しかける。

「ヒートアップしていますよ。落ち着いて、ゆっくりと息を吸ってください」

 女性はゆっくりと息を吸った。

 そこで暫く息を止めている。

「吐いてください?」

「はあ~……」

「私が言わなければ、死んでしまいますよ?」

「……はい……」

 これは手強いとアキヤは思った。

 従順さが度を越している。

 まるで召使のようだと。

 そこでアキヤは話を聞く。

「今まで何があったのか、また何を悔いているのか、お話してください」

「わかりました……あれは……」

 女性は話し始めた。

 しかしすぐに話は終わってしまった。

「聞き方が悪かったですね……申し訳ありません。事の経緯を話してください。貴女が何故懺悔をすることにしたのか……それをお話してください。これが終わるまで、儀式は完了しませんよ。貴女は帰れません」

 脅すように、アキヤは詰め寄って女性に告げた。

「は、はい」

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