悔いは決して悪いことではない
アキヤは懺悔日記を書き終えて、背伸びをした。
「真宵さんは結ばれたけれど……マルクさんは結ばれなかった。これはやはり、歴史が関係しているからですね。歴史とは悲しい過去の残滓。血で血を洗う戦の、忌まわしき記憶です。それらは決して埋めることのできない、恨みや憎しみを持っているんですね。私も、アフリカンな人々を黒人と呼ばないようにしなければなりません。差別は根本から絶つべし、です。今も差別は続いています。全てを清算できるほど、生易しい出来事ではなかったですからね。白人と黒人の戦いは」
目を閉じて、アキヤは神に祈りを捧げる。
「神よ。私の声を、どうかお聴きください……」
仮であれ聖職者なので、アキヤにも神の御声は聞こえる。
神のお告げというものだ。
「私の進むべき道は……愛こそ必要悪で正義なのだということ……皆に説いてくださいまし。アーメン」
愛は時に悪であるが、それは必要な悪であり、正義なのだ。
人を愛し、愛されることは、神が教えてくれた素晴らしい行いである。
アキヤはそれを皆に説いていき、神にもそれを願う。
「私も人を愛す者として……教え導きたいものです」
アキヤは微笑んで、万年筆を机に置いた。
「悔いは決して悪いことではない。そう私は思います」




