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愛こそ必要悪で正義 -sins-  作者: 社容尊悟
Ⅱ 白と黒
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ほんの僅かな原因でいじめは起きる

 マルク・シーザー。

 彼はニューハーフ。

 幼い頃から女性が身に着けるものを好み、いつも女装をして家族と一緒に楽しんでいた。

 マルクの本質を否定する者は、家族の中にはいなかったのである。

「アイアムレイディ!」

「ユアーレイディ!」

 毎日がハッピー。

 マルクはそう思っていた。

 そんなマルクが小学校に入学したある日のこと。

 クラスメイトから執拗な嫌がらせを受けたのだ。

 それは男であるマルクが女の格好をしているから。

 なよなよしていてみっともないという理由で、マルクはいじめられた。


「イジメ、ヨクナイ」

 ボコボコに殴られていたマルクを救ったのは、黒い肌色の少女だった。

 片言の日本語を話す、マルチリンガルの頭のいい少女。

 マルクは少女に一目惚れしたのだ。

 初めて、体を張って助けてくれた人間だった。

 決して美しいと呼べるような容姿ではなかったのに。

 喧嘩にも勝ち、負け犬の遠吠えを聞かされていた。


「ユアクレイズィ! スチューピイイッ! ファッキュ!」

「ゴアヘッ!」

 少女が言い返して、マルクに声をかけた。

「ナニ、シテェル」

「……パードゥン?」

「ワッチャドゥーイン?」

「アー。ハハ……」

「イク、ヨ。マルク・シーザー」

「ネイム?」

「アリエス・ボング。アミェリカン」

「アリエース。テックス」

「オフコース」

 そして、マルクとアリエスは友達になった。




 アリエスと友達になってからというもの、マルクはいじめられなくなり、いつしかクラスの人気者になった。

 アリエスのおかげで、マルクは一躍時のヒロインへと上り詰めたのだ。

 しかしそれは仮初めの出来事。

 本当のマルクは男で、女性ではない。

 だが、女性になっても男性を好きになることはない。

 マルクは自身の心が揺らいでいることを知り、教室でアリエスに相談した。

 その頃には、マルクもアリエスと同じようにカタコトの日本語を喋れるようになっていた。

「アリエス」

「ナニィ」

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