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愛こそ必要悪で正義 -sins-  作者: 社容尊悟
Ⅱ 白と黒

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13/96

自分のことを真に理解してくれる相手はあの子だけ

「ワタシ、ドスレバイイ?」

「……カンタン。ジブンノヤリタイヨウ、スレバイイ」

 アリエスはマルクの悩みをぶった切った。

 悩みすぎるマルクには、楽観的な考えを持つアリエスはとても魅力的に映った。

 ニコニコと笑うアリエスの顔を見ていたら、マルクは悩んでいたことが馬鹿らしくなり、綺麗さっぱりと女性であることを選んだのだ。

 性転換手術は受けずに、心だけが女性のままでもいいとマルクは思った。

「マルクラシクアレバ……ソレイイ」

 アリエスの言葉は、マルクをどんどん変えていく。

 自分を変えてくれたアリエスに、マルクはその場で告白した。

「ワタシト、ツキアテクダサァイ」

「ラバーズ?」

「イエス」

「……ウゥ……」

 マルクのことを嫌いではないアリエスは、突然の告白に嬉しがりながらも戸惑っていて、悩んでいた。マルクは彼女らしくないと言う。

 すると、アリエスは怒って、

「ワタシノ、ナニワカル! シッタフナ、クチキクナ!」

 姿を消してしまったのだ。

 それ以来、小学校生活は一転して地に落ちてしまい、マルクは学校を転校した。

 大好きな親友、アリエスと離れ離れになった。




 それからというもの、マルクは男らしくあることを決め、中学校からは女装もやめ、女性の言葉遣いもやめた。

 全ては、初恋の相手であるアリエスを忘れるために。

 顔立ちがいい方で、頭も良かったマルクは、かなりちやほやされた。

 友人にも恵まれ、快活でリーダーシップを発揮していった。

 しかしそれも長くは続かない。

 マルクの昔のことを知っていたクラスメイトが、マルクの噂を流し始めた。

 モテモテだったのに、女子からは蔑視され、友人もいなくなり、独りぼっちになった。

 またどん底に落ちてしまったのだ。

 その時、マルクは悟る。

 友達なんて、所詮赤の他人なのだと。

「ワタシノコト、ワカテクレルヤツ、イナイ……」

 男らしくすることに嫌気が差したマルクは、男子トイレで泣いていた。

 そこでふと思い出す。

 自分のことを真に理解してくれているのが誰かを。

「……アリエス……」

 黒人と呼ばれるアフリカ系の少女。

 アリエス・ボングに会いたいと、マルクは思ったのだ。

 あの子ならば、自分のことを受け止めてくれる。

 だが、アリエスとは喧嘩別れしたまま、一度も連絡を取っていない。

 もう呆れられて、嫌われているだろう。

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