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レジェンドオブアストラル  作者: ゆきみだいふく
プリンセスナイトと異能

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プリンセスナイトと迫る脅威

「あっ。ノノミさんから、メール」

「えっ、ノノミさんから!?」

「皐月、見せてくれ!」


 2人は食い気味で皐月のスマートフォンを覗き込む。

『組織が現在櫻川丘に潜伏しています。貴方達、三人を狙っているので気をつけてください。神原真白くんって子がいますので、その子に助けを求めてください。彼なら必ず助けてくれます。彼は非常に強力な仲間がいいるので今後のために仲良くしといたほうがいいですよー』


 メールには真白の顔写真も添付されていて、文面に、3人は顔を見合わせた。


「神原真白っていうのは誰なんだい?」

「お兄ちゃんは真白くんには会ったことなかったよね。アストラルでなら知ってると思うけど、シロウくんだよ」

「彼の現実リアル名前ネームか。しかしなぜ彼に助けを求めた方がいいんだろうか?」

「確かにそれは気になります。叶魅ちゃんは神原さんのこと知ってるんですね」

「うん、ほら前に私がアイドルだって知らない人の話をしたでしょ。それが彼なんだ。皐月も知ってるの?」

「はい、本屋さんで知り合って趣味が合う人だったから知り合いになったんです。今度アストラルで遊ぼうって約束をしました」

「あの人、今はキョウヤさんと京都巡りしてるはず? 一体なにを知ってるんだか……」


 メールの内容に、一葉は怪訝な表情を浮かべた。


「確かにね、ノノミさんのことだから、何か理由があるんだろうけど」

「ノノミさんのいう通りに神原さんを頼ってみますか?」

「そうだな。ここはノノミさんの言う通りにしよう」


 自分と同じ境遇を持つ2人と、今の自由を与えてくれた恩人からの願いを断れず。一葉は頷くのだった。



「マスター、叶魅サンカラノメールデ、放課後ニ会エナイカト返事ガ来マシタ」

「了解、この後会いに行くと返信をお願い」

「了解シマシタ」


 授業終了直後でよかった。授業終わりの余韻で教室がざわついているため、アイの声は誰にも聞こえなかったようだ。

 真白は誰かに見られていないかあたりを見渡した。


「真白くん、大丈夫? なにか悩みがあるなら相談に乗るけど……」

「あ、いや、大丈夫大丈夫。なにもないから」


 心配してくれる由紀にそう答える。

 一般人である由紀には異能者のことを話すわけにはいかなかった。





「叶魅、浮かない顔をして、どうしたんだ?」


 真白と合流途中、叶魅が浮かない顔しているのを気にかけ、一葉が声を掛ける。


「ノノミさんの言ってたけど、真白くんに助けを求めていいのかなって」

「確かに私達の事情に神原さんを巻き込むのは心苦しいですね……」

「叶魅、佳織……」


 ノノミのお願いとはいえ、三人は真白に助けを求めていいのか未だ、迷っていた。


「すまないが、助けを求められては困る」


 しかし、その声を聞くまで誰も気づく事が出来なかったのである。


「捕まえさせてもらう」


 そんな何気ない平穏を奪いさろうとしている者が、背後まで迫っていた事実に……。


「あ、もしもし、お父様? はい、会えましたよ。火山家の前当主様、最近はすごく体調がいいって。それと先生が、お父様もちゃんと定期的に検査に、来てくださいって、言ってましたよ! はい……はい。じゃあ今から帰りますね」


 父親である龍翠との電話を終えて、舞花は家に帰宅中だった。

 ゾワッと舞花はなにか嫌な予感を感じた。


「……っ……! 式神!」


(お願い……! まずは位置を特定して!!)


 舞花は嫌な感じがした方角に式神を飛ばしたのだった。



 ◇







 3人が驚いて振り返ると、そこには屈強な大男が立っていた。


「エンデヴァー……どうしてここに!?」


 一葉は叶魅と皐月を背後に隠しながら、迫り来る大男、エンデヴァーへと疑問を投げかける。


「名前を知ってくれているとはな。そういうお前らは、一葉だったな?」

「そんな事はどうでもいい、どうしてお前がここにいるんだ!?」

「どうしてって、お前らを捕まえに来た。組織から逃げ出して、いつまでも平穏に生きられると本気で思っていられるのか? ヘソで茶が沸くレベルのおめでたさだな。お前らはあくまで組織によって生かされていただけだ。多少予定が狂ったが、バカバカしい家族ごっこも、今日でおしまいだ」

「うるさい! 黙れ!!」


 その言葉を聞いた瞬間、一葉は自身の持つ異能を全力で発動した。

 その異能の名は、『寒熱』。熱量を吸収、放出する事で、温度を操ることができる異能である。


「……」


 エンデヴァーは距離をとる。

 一葉が水たまりを蒸発させたことで、多量の水蒸気が発生したためだ。


「叶魅! 頼む!」

「うん、わかってる、『付与』!」


 その隙をつき、叶魅は一葉へと付与を施す。

 彼女の持つ異能『付与』は、他者の身体能力を強化する事が可能なのだ。


「……僕たちは、もう昔とは違う……!」

「……」

「あんな組織、二度と戻ってたまるか……!!」


 一葉達は平穏を取り戻すためにエンデヴァーと対峙するのだった。


 同時刻、真白もまた嫌なものを感じとっていた。

『感知』の異能を発動し、一葉達の位置を特定する。

 エンデヴァーの気配もあることに気がついた。


(まずいね、叶魅さんたちが危ない)


「真白くん、深刻な表情してどうしたの?」

「姉さん、叶魅さんたちがやばい」


 真白の一言で察したのか、紗希は真剣な表情になる。


『マスターマスター、水瀬舞花サンカラ着信デス』

「え、舞花さんから? なんだろう……?」


 舞花からの連絡に驚きつつも出た。


「もしもし?」

『あっ、神原くん!? 大変なの!! 今から合流できないかな……!? 陰で護衛してた人たちから連絡が来て楓原さんたちが……! 異能者の男に襲われてる!! 護衛の人たちでもまったく歯が立たないの神原くん力を貸して!』

「もちらんです。紗希姉さんは先に家に帰ってて、くれぐれも外に出ないように瑠璃ちゃんにも伝えて」

「うん、わかって! 真白くん気を付けて!」


 叶魅たちを助けに全力で駆け出しっていぅた。





 エンデヴァーは水蒸気を抜けて接近を試みる。だが、すぐさま足元の違和感に気がついた。

 エンデヴァーの進行を阻むため、一葉は地面を凍らせていたのである。


「はあ……面倒だな」


 しかし、エンデヴァーはその脚力で地面を踏みつけ、氷ごと地面を砕きながら強引に進む。


「ちっ、化け物が」

「ランクCの小技程度じゃ効かん。手加減は苦手なんでな、大人しく降参してくれないか?」

「断る!」


 一葉の力強い返事に、皐月と佳織も頷く。


「組織にいることの何が不満なんだ? 三食ちゃんと食事は出る、暖かい布団で眠れるじゃないか」

「でも、自由はないだろ。僕たちは、自分の意思で自分らしく生きていきたいんだ!」

「……そういえば、お前たちは施設内で生まれ育ったんだったな。外から組織に入った俺とは、見える世界が違うか……」


 先ほどとは一転して冷たい目となったエンデヴァーの眼光に、3人は背筋を凍らせる。


「手加減はするが。骨は何本か折れるのは覚悟しろ」

「今の僕はランクB相当の異能者だ。ただじゃやられるつもりはない!」


 『付与』の力は、腕力や脚力といった身体機能以外にも、所有する異能すら強化することが可能なのである。

 そのため、本来ならばランクCである一葉の『寒熱』は、ランクB相当まで強化されていた。


「言っておくが、助けは期待するなよ。護衛は倒しておいた」

「なに? 護衛どういうことだ……?」

「周辺には工作員配置してるんでな、多少暴れても目撃する人は誰もいない」

「なっ!」


 帰宅時間で賑わっているはずの河川敷に人気ひとけが無いことを、3人は今になって気づく。

 水瀬家の護衛はエンデヴァーの手によって気絶させられていた。


「せいぜい足掻いて、俺を楽しませてくれ」


 『付与』を施され、ランクB相当となった『寒熱』と、ランクAの異能を持つエンデヴァーとの戦いが幕を開けたのだった。


 To be comtinued

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