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宇宙物々交換 ボウフラ航宙記  作者: 和子


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ダイレクト04 宇宙大運動会


 ボウフラとピトピト5号は、夫婦になって始めての「大運動会」に参加することを決めた。


 普通、新婚といえば、旅行をしたり、新居を構えたり、二人で将来設計をする段階に入るのだが、既に「宇宙の構造をクエストする」という、果てしない旅行の最中なのだ。その途中、大運動会の会場となる、グラウンド星に向かった。


「夫婦になって初めての共同作業だ。勝負の結果よりも、二人の息がどれだけ合っているかがポイントだ。これからの宇宙構造の探求には必要なことだからね」


 グラウンド星。

ここは毎日の生活が、運動会のプログラムに沿って行われている。


 ・ラジオ体操

 ・徒競走

 ・綱引き

 ・障害物競走

 ・玉入れ

 ・借り物競争

 ・昼食(お弁当タイム)

 ・応援合戦

 ・大玉ころがし

 ・騎馬戦

 ・チーム対抗リレー

 ・結果発表


こんな感じで、季節により多少の変動がある。

各競技は1~3位で金銀銅のメダル、4位から8位はアンチモニーのバッジが授与される。

前回より上位になって、ランクインとなる。たとえば初参加5位入賞でバッジ獲得。次の同じ競技で8位となってもバッジは獲得できない前回入賞未満だった9位がいれば、8位となりバッジを獲得する。


 これが、生活費購入ポイントに交換されるので、国民は争って参加者の登録に並ぶ。


 このため、野球やサッカーといった、プロスポーツがこの星には存在しない。

いや、正確には一般人参加型のエキジビジョン・スポーツ大会が各所で行われているのだ。


 結果として、入賞ポイントを稼ぐ「プロ選手」が存在し、優勝者は上位ランクの大会へとシフトアップしていく。肝心なのはここで、シフトダウンがないのだ。そこで入賞できない者は、いつかプロ選手として引退の時期を迎える。


 大会運営の資金源はスポンサー企業の協賛である。各企業は広告宣伝費として確実に税務署に認められる経費を、上限まで使いきろうとする。そのため、運営費は潤沢なのだ。


 この星の住民は運動会の競技にしか関心を示さない。ドラマや映画などはフィクションであり、見るに値しないものだと考えられている。運動会の中にこそ、ドラマがあるのだ。


「夫婦2枚ください」

ボウフラとピトピトは、参加費を払って運動会に参加する。運動会のレベルは、一番下のF階級だ。ここで入賞しても、ポイントは参加費にも満たないポイントだ。ただし、上位運動会への参加権が自動的に得られる。そこでも入賞すれば、賞金ポイントはレベルごとに10倍に上がっていく。


 つまり、一番堅実なやり方は、Fランクですべて入賞以上になるまで頑張り、このランクでなるべく多くのポイントを取って、見込みがあれば、10倍のEランクへ、次に100倍のDランク、こんな感じで上がっていくのだ、普通はDランクで頭打ちとなり、ここで頑張って競技者人生を終えることになる。C、B、Aランクの戦いは、苛烈なものとなる。


 ボウフラとピトピトが残かするのは、ペア運動会である。二人三脚、ダブルスで競技が構成されているのだ。おふざけではない、各ペアは相当気合が入っており、負ければ離婚も辞さないという意気込みだ。


 星立競技場に試合開始のファンファーレが鳴り響く(運動会です)。初めての夫婦共同の戦いが、二人三脚となった。ボウフラは、脚部パーツを展開して、ピトピトの足と縛りつける。


「息を合わせていこう!」


「勿論!、スッスッハーよね?」


「いや、スッハッハーだよ」


 まだ入賞していないペアが、数百組はいると思われる。

でも怯むことはない。


 星立競技場に、スターターの乾いた破裂音が轟く。


ボウフラとピトピトの、初の共同作業がここに始まる。

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