5
目を開けると、見慣れない天井。
ホテル……?
ほて、る……
一気に意識がはっきりする。
横を確認する。
一ノ瀬。
普通に寝てる。
無防備な寝顔。
状況が追いつかないまま、自分の方を見る。
服、着てない。
……いや、違う。
俺、酔うと脱ぐんだった。
視線を戻す。
一ノ瀬は、ちゃんと着てる。
乱れてもない。
セーフ。
たぶん。
いや、たぶんじゃなくて——
セーフ、だよな?
全く思い出せない。
記憶がない。
……一ノ瀬、こういうの嫌いそうだよな。
最近ちょっと話すようになって、
距離もまあ普通になってきたと思ったのに。
ここで終わるのかぁー……
……いや待てよ。
嫌いな相手とホテル来るか?
来なくね?
いやでも、
一ノ瀬も酔ってたら分かんないか。
俺が完全に潰れて、
どうしようもなくて、
仕方なくって可能性もある。
一ノ瀬、お人好しそうだし。
「はぁ……」
小さく息を吐く。
そのまま、もう一度横を見る。
寝てる。
静かに、規則正しく呼吸してる。
……ほんとに何もしてないよな。
少しだけ、近い距離。
そのまま見つめてしまう。
「……かわい」
一瞬遅れて、我に返る。
なんだ今の。
かわいって。
いや、可愛いけど。
……なら正常、か?
無意識に伸ばしかけた手に気づく。
いやいやいや、何やってんだ俺。
……まさか、な。
まさかなのか……?
確かに、そう考えると納得する部分もある。
どれだけ見つめても、全く目を覚さない一ノ瀬。
……くそ、可愛いな。




