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クリと勇者と選択肢 〜チート剣とトンデモ技で昔の自分が作った中二病全開のゲーム内異世界を攻略する〜  作者: チームつちのこ
十五章 はじまりの終わり

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81話 冒険の軌跡

 優しく吹き抜ける風が頬を撫でる。



 魔王との最終決戦に勝利し、王都周辺の魔王軍を排除出来たあの戦いから数日が経っていた。



 僕は今、浜尻の街へと向かう道を歩いている。

 

 この世界に来た時に見た草原も、この辺りだったかな……なんて物思いにふけりながら歩いていると、


「永太様」

「見えてきましたよ、浜尻の町」

 一緒に歩きながら、そう言って微笑むモモ。



「ぁ〜、永太がモモにいやらしい事をした町だったわね」

 側に居たリナもそう呟いて、僕に冷たい視線を向ける。



「いや!何もしてないよ!」

「変な思い出を捏造しないで!」

 リナの突然の捏造発言で変質者にされそうになり、慌てて冤罪を晴らそうと弁明する。



「ぇ、そうなんですか?」

「うらやましい……」

 リナのいやらしい発言にレナが驚き、変な反応をしてしまっている。



「だから、あの時は何もしてませんて!」

 謎の濡れ衣を着せられて、釈明に追われる僕。



「……永太」

「いやらしい」

 後ろで話を聞いていたクルミが、クールに呟きながら面白がって言葉のナイフで刺してくる。


「ぐふっ」

 その言葉に僕は胸を押さえてよろける。



「あはは」

「フッ」

「ふふっ」

「……ふっ」

 モモもリナもレナもクルミも、膝から崩れ落ちる僕を見て微笑む。

 そんな僕達五人は浜尻の町へと向っている。




 あの日魔王を討伐して魔王軍を排除し、防衛線にあった宿営地に戻ったあとミアさんから提案があった。


「ありがとうございます、勇者永太様」

「おかげで魔王を討伐し、魔王軍を退ける事が出来ました」



「つきましては……」

「魔王を討伐したあかつきには、祝勝会を兼ねた大晩餐会等を開き勇者様の偉業を労いたい」

「そう国王様と王妃様から、言伝(ことづて)を頂いております」

 そう言って僕に微笑みかけるミアさん。



「ぇ、いやいや」

「そんな大仰な、大した事してませんて」

「それに大晩餐会って」

 そもそも一般人な僕が晩餐会なんて言葉、恐れ多すぎて気後れしてしまう。



「何言ってんの!?」

「勇者なんだからもっと胸を張りなさいよ!」

「あんたがやった事は、それほどの事なのよ」

 リナが珍しく僕を褒めるような事をいって、詰め寄って来る。

 いつもより詰め寄る距離が近い気がするが、それほどの熱量?なんてぐらい顔を近づけてくる。

 


「こういうのはね、ちゃんとしなきゃいけないのよ」

「国民にも対外的にも、勇者の偉業で平和になりました!」

「そう言う事をちゃんとしましたって広めてもらって」

「それでみんなに安心してもらう為にね!」

 リナが大真面目にちゃんとした事を言っていて、僕はちょっとばかり感心してしまう。



「へ、へぇ〜」

「リナって、以外とそういうのちゃんとしてるんだ」

 顔が近すぎるのも相まって、僕は少し動揺しながらリナに返事する。



「!?」

 近すぎたのに気付いたのか、リナは顔を赤らめながら急いで離れ顔を背ける。

 自分から詰め寄って照れてる所が、リナらしくて可愛らしい。


「ぁ、当たり前でしょ!」

「私を誰だと思っているの!?」

「この王国最強な騎士団の団長、リナ様よ!」

 顔を背けながらも、いつもの名乗り口上をしてテレドヤ顔をするリナ。

 確かにリナなら、こういう勝ちましたアピールは得意そうだし、それを見たみんなを安心させる効果も高いのだろう。




「そうです!」

「国民の皆様に、勇者永太様の偉業を知ってもらうためにも」

「大々的な祝勝大晩餐会をしましょう!」

 モモも僕に向かってきて、抱きつきながらそう叫ぶ。

 ぁ、いや、なんか魔王討伐してからみんななんだか距離近くない?

 なんて、照れながら困る僕。



「……祝勝会」

「……くりきんとん」

 クルミも僕の服の端を掴んできて、そのクールなジト目で僕を見つめてくる。

 そうだった、祝勝会でくりきんとん振る舞う約束とかもしてたんだっけか。



「……うらやましいですね」

「私ももちろん参加しますよ!」

 レナがそう言って僕の腕を掴み、自身の腕を絡めてくる。

 いや、参加って祝勝会とかじゃなくて物理的に絡んでくるの?


「ほら、リナ姉さんも」

「ふふふ」

 レナがそう言って、この謎の抱きしめ会に参加する様、不敵な笑顔で促してくる。




「な、なによ」

「鼻の下伸ばしちゃって、いやらしい!」

 ちゃんとツンデリーナの名の通り、ツンツンしていてくれている……が、横目でチラ見して顔を赤らめていてデレ分も発動している……のか?



 なんてやり取りをしていると、

「イチャイチャしている所、申し訳ないのですが……」

「流石にすぐには祝勝大晩餐会を開催する、という訳にはいきません」

 ミアさんがそう言って、ニヤニヤしながら話を続ける。



「戦いの後始末や、王都住民の対応などがあります」

「その為、今暫く時間を頂きたいのです」

 微笑んではいるが、言ってることは大変そうな処理だなぁと僕は思った。

 こういう真面目な話をしていると、やっぱりミアさんは頼りになるお姉様ポジションで、綺麗というか凛々しくて美しい。



「ですので……」

「勇者様には、巡業をして頂きます」

 ミアさんが微笑みながら、僕にそう告げる。



「……」

「巡業?」

 みんなに抱きつかれて思考が追いついていない僕は、気の抜けた感じで返事する。



「いいわね!」

「私とコイツの勇姿をみんなに見てもらうわよ!」

 なんかリナがノリノリになって僕を指差して来る。


「そうですね」

「今度は私もご一緒しますよ」

 流石双子?なのかレナもノリノリで参加しようとして来る。



「ぁ、でも、ほら、騎士団の長が二人とも居ないと……色々と困るんじゃ無いかな〜」

 純粋に心配している風に僕はやんわりと提案する。



「騎士団を含め、魔導師団や王都関連の事は私と師団長のアモンで対応しますよ」

「ですので、勇者様御一行である五人で巡業をお願い致しますね」

 なんかもう既に決定事項の様な言い回しで、僕に微笑みかけるミアさん。


 


 ……といった感じで、僕達は各地の町を周る事となったのだ。


 名目的には、魔王軍の残党狩りを兼ねて各地の町を巡り、勝利の報告。

 さらには勇者の勇姿を見せることで魔王軍に恐怖していた国民を安心させる、そうする事でこの国に本当の平和が来たことを皆に知らしめる。


 これがミアさんの言っていた巡業とやらである。


「色々と準備もありますから」

「ゆっくりと周って来て下さい」

「一ヶ月ぐらいかけても大丈夫ですよ」

 ミアさんはそんな感じで言っていた。


 まぁ、実際の昔の僕が作った自作ゲーム内の流れでも、魔王を倒した後は各地の町を巡るシーンが入っている。


 特にセリフとかが入ってるわけでもなく、ダイジェストなのか冒険の軌跡をなぞる様に流れていく。


 エンディング前にありがちな演出なのだが、たとえありがちだとしても僕はこういう演出が好きだった。



 それをまさか自分でやる事になろうとは、何と言うか……感慨深い。




 そんな風に物思いにふけっていると、

「ほら、着きましたよ」

「浜尻の町」

 僕の冒険の始まりだった浜尻の町、そこに到着したとモモが教えてくれる。


 町の入り口には噂を聞きつけたのか、町長らしき人を中心に何人かの人が集まり、僕達を歓迎してくれていた。


 そのまま、以前泊まった宿屋に併設されている酒場でプチ祝勝会が始まった。


「この私と、あの勇者が魔王をぶっ飛ばしたのよ!」

 なんてリナが声高らかに叫び、みんなに勝利した事を告げる。

 僕はそんなに前に出てアピールするタイプでは無いので、こういう時はリナ団長が頼もしくてありがたい。


 大晩餐会では無いが、結局夜中まで酒場でドンちゃん騒ぎする事になった。


 そのまま僕達は、数日浜尻の町に留まった。

 なんだかんだあったし、調子に乗ったリナが色々とやらかしたりしてた。


 そしてお世話になった宿屋から発つときに「ゆうべはお楽しみでしたね」なんて事を言われてしまい、僕は苦笑いで返した。


「さぁ次はニヴァーンの町よ」

 リナが意気揚々と嬉しそうに叫び、歩き始める。

 こんな感じで僕達は、各地を巡って勝利報告と平和宣言をしていった。



 ニヴァーンの町では閃光の解放旅団シャイニングレジスタンスのリーダー、光輝闇暗(シャイニングダーク)竜炎主ドラゴンフレイムマスター昏き太陽の勇者様の凱旋だ、なんて言われて恥ずかしいやら照れくさいやらで苦笑いで返すしかなかった。


 再び|漁師さん自慢の船、紫勝丸ヴァイオレットヴィクトリーシップに乗り離れ小島に向かうと人が戻ってきており、かつてのリゾート地としての賑わいを取り戻しつつあった。

 


 当然ここでもリナのやらかし暴走が沢山発動した。


 まあ、観光気分で浮かれるのもしょうが無いとモモやレナがフォローしたり、クルミが地元グルメをハムスターみたいにほっぺ一杯に頬張ったりしていた。


 そこでも僕達は数日間過ごし、あの時味わえなかったリゾート気分をヴァケーションヴィレッジで思う存分に堪能し、水着回の破壊力を改めて思い知らされた。



 その後、かつて国王様と王妃様が身を潜めていたミーカワ。

 さらには古代遺跡のあった東の塔を巡り、モモお得意のミステリーハンター的解説に耳を傾けた。


 ミーカワでも数日間滞在し、観光を楽しんだ。

 ぁ、いや、巡業ね。



 次はヴァーンパークの森のある古戦場。

 そこでもモモの神殿解説と伝承ロマンが炸裂し、大変堪能出来ました。

 魔王を倒す鍵となった聖剣をくれた、森の精霊さんと木の妖精さんに改めてお礼を言い、聖域の神殿を後にした。



 そのまま北の塔へと向かい、吹き飛ばした天井の様子を見に行ってみると、既に仮の屋根ができていた。


 北の塔の最上階にはミアさんの言った通り、コアクリスタルが設置されていた。

 

 その後、カシューおじいさんの居るメイジ村で空き家を宿泊施設として借りて、お世話になる事となった。


 その家はカシューおじいさんが手入れしてくれており、空き家というよりもキャンプ場のグランピング施設みたいだった。

 

 これで大体の箇所は巡り、後は王都に戻るだけかな……と思いつつも居心地が良く、僕達はそこに数日泊まっていた。




 朝起きてみると、隣にいたクルミがそっと手紙を渡してきた。

「これは……」

 ラブレターかな?なんて冗談はさておき、受け取ったその手紙は招待状の様だ。



「そうです!」

「とうとう開催されるのです」

 近くに居たモモはその招待状が何かを知っている様で、満面の笑みで僕に語りかけてくる。


「いよいよね」

「腕が鳴るわ!」

 いや、リナは腕を鳴らして何をしようというのだろう。


「一応ちゃんとした式典なので」

「お願いしますよ、リナ姉さん」

 すぐ側に居たレナがリナに対してしっかり突っ込んでくれる、うん有難い。



「ぇと、つまりこの招待状は……?」

 分かってはいるが、あえてみんなにそう問いかける……。



 すると嬉しそうに皆、

「「祝勝大晩餐会の招待状です!」」

声を合わせてそう言った。

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― 新着の感想 ―
始まりの浜尻の町にニヴァーンの町❣❣ ヴァーンパークにメイジ村❣❣ 懐かしい聖地が盛りだくさんで❣❣ クリチー(勝手にタイトルを略しています♡) の歴史を感じられて何だか感慨深いです♡(≧Д≦)♡
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