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クリと勇者と選択肢 〜チート剣とトンデモ技で昔の自分が作った中二病全開のゲーム内異世界を攻略する〜  作者: チームつちのこ
十四章 終わりの始まり

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75話 提案

「お前が勇者だな」

 僕にそう問いかける魔王。



「……そうだ」

 なんだかシリアスモードで会話が進行しつつある緊迫した場面である。

 そんな事を思いながら僕は返事する。



「最初に我が名乗り口上を邪魔してくれたのは」

「貴様か」

 この謁見の間に入って玉座に座っていた魔王を、問答無用でチート剣のトンデモ技でぶっ飛ばそうとした件の事だろう。


「……そうだ」

 ずっとシリアスモードで会話が進行してて、真面目な話はあんまり慣れてなくて好きじゃ無いなぁ。

 とは言え魔王一番の見せ場である名乗り口上を無視して吹き飛ばしちゃったのは不味かったかもしれない。


 戦い序盤で放った必殺技は効かない、というジンクスと言うかお約束のせいで結果的には魔王を怒らせただけになっている。


 そんな感じで魔王の顔色を伺っていると、

「我が口上を潰した罪は大きいが……」

「その技の威力は我がゴブリン砲にも勝るとも劣らぬ」

「ただ殺すには惜しいな」

 そんな話をし始めて、なんか違う方向に行ってる気がする?


 さらに、

「我が軍門に下れ」

「さすればこの世界の半分をやろうではないか」

 と、魔王は最終決戦前のお決まりの提案をして来た。



 なるほど、本来は魔王の名乗り口上の後にこのお決まりの提案をする流れだったのだが、僕がそれを無視して吹き飛ばしちゃったからここで改めて提案して来たのね。



「はぁ?、なにそれ」

「あんた!裏切る気!?」

 僕はまだ一言も言ってないのに、リナが早とちりで裏切る前提みたいな事言ってる。



 世界の半分くれるなら裏切っちゃおっかな〜、なんて考える人も中には居るだろう。


「……勇者様」

 レナもなんだか僕の方を見ながら心配そうな顔をしている。


 ただ、ここは自作ゲームの世界らしいので、この提案も昔の僕が作ったものなのだ。

 リナの死亡フラグ回避で多少メインシナリオがおかしくなったものの、この辺の基本的な流れはそのままの様である。


 そんな事を考えていると、お馴染みの選択肢が現れる。


【はい】


【いいえ】


……【


 普通なら【いいえ】を選ぶ。

 当然提案を断り、魔王との決戦になるのが一般的な流れである。


 ここで【はい】を選び、魔王の軍門に下り世界の半分を手に入れようとすると……


 装備品全部没収の上、HPMPを強制的に1にされてしまい、そのまま魔王戦となるのだ。


 当然ここで【はい】選べばチート剣である光輝闇暗(シャイニングダーク)炎竜剣フレイムドラゴンソードも没収されていまい、邪王暗黒流じゃおうあんこくりゅう次元断層剣(じげんだんそうけん)零式改(ぜろしきかい)も使えなくなってしまう。


 そうなったらもう僕達の勝ち目はゼロとなるだろう。

 この魔王の提案も、僕を甘い誘惑で誘ってチート剣を奪い取るのが本音であろう。


 なんて所まで分かっているので、僕は【はい】なんて選ばない。



「永太様」

「永太……」

 モモとクルミは少々心配そうな顔をしながらも、僕を信信じているのだろう、二人は信頼の眼差しで僕を見つめる。


 そんな二人やリナ、レナの方を見て僕は優しく微笑む。




 そして僕は提案された選択肢を見つめて……


 【はい】


 【いいえ】


→【うんこ】 



 そう、【うんこ】を選ぶ僕!


「……返答は【うんこ】」

「つまり、クソったれ!だ」

「魔王、お前の軍門に下ったりなんかしない」

「ここでお前を倒してこの国に平和を取り戻す!」

 僕は魔王を指差しながら、キメ顔でそう叫ぶ。




「ふん、当然ね!」

「ぉお、勇者様!」

「さすが永太様!」

「……うん、そう」

 リナもレナもモモ、クルミも僕の言葉を聞いて声を合わせ感嘆の声を上げる。


 うん、これはカッコよく決まった!



 なんて謎に勝ち誇った顔をしている僕に魔王が呟く。

「ふん、生意気な口を叩きおって」

「その選択を後悔させてやるわ!」

 負けず嫌いなのか、そう言って僕達に向かってキメ顔返しをして来る。



 ただ、魔王の提案のおかげで多少の時間が稼げた。

 その為、クルミを治療し怪我の止血は出来たのは幸いである。


とは言ったものの、再びあのダサい名前の魔王の技を出されたら大変なことになる。


 今のクルミに再度あの大技を防いでもらうのは酷であろう。


 さらにさっきも言った通り、クルミが防げないとなると再びリナがしゃしゃり出てきて、面倒くさくなるのが容易に想像出来る。



 魔王からしてみれば防ぐ手立ても無く、最大の決め技も効かなかった僕達に勝ち筋は無い。

 再び先程の大技を出せばいいだけの勝ち確状態なので、あのドヤ顔なのであろう。



 そんな魔王に向かって僕は呟く。

「そう……上手く行くかな?」



「何だと!?」

「減らず口を、貴様らにもはや勝ち目など無い!」

「あの世で後悔するがいいわ!」

 そう言って再びあのダサい技、ぇと……なんだっけ。


 そうそう、【豪轟(GOGO!)ゴブリン砲】の構えを取る。



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


 構えを取ると、徐々に闇の魔力が収束し始める。




「ちょっと!どうすんのよ!」

「あんだけ啖呵切っておいて!」

 リナが僕に向かって慌てるように叫ぶ。



「……私が、なんとか、する」

 止血はしたものの、まだ完治はしていないクルミが無理を承知でそう呟いて前に出ようとする。



「無茶です、クルミ」

「まだ怪我が治りきっていないし」

「またあの攻撃を防いだとしても、無事では済みません」

 怪我を押して前に出ようとするクルミをモモが制する。



「……そうだね」

「クルミは治療に専念してて」

 僕はそう言いながらクルミを守るように前に立つ。



「……勇者様」

 そんな僕を心配してか、不安な眼差しでレナが見つめる。



「……大丈夫」

「間に合ったみたい、だから」

 みんなを守るように前に出た僕は、そう言う。



「へ?」

 リナが僕の言葉を理解出来ずに、素っ頓狂な返事を返す。




 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……


 ゴゴゴ……



 ゴ…



 僕がそう言うと同時に、大技の構えで闇の力が収束していた筈の魔王の魔力が、弱くなってくる。



「!?」

「な、何だと?」

 収束していた筈の力が弱くなり、それに驚いた魔王ゴブーゴが構えを解く。



「これは一体どういう事だ?」

 先程まで辺りを覆っていた魔王の魔力と威圧感が、薄れていく。



「……これは?」

「何が起きてるんです?」

 いち早く周囲の変化に気付いたモモが僕に問いかける。



「ふっふっふ」

 驚く魔王やモモ、それにリナやレナ、クルミに向かって謎のドヤ顔をする僕。



「……まさか」

「封印結界?」

 クルミも周囲の変化に気付き、僕にそう聞いてくる。



「……そうだよ」

「魔王や魔王軍の力を弱体化させる、あの封印結界だ」

 僕達がこの国の各地を周って開放して来たあの四つの塔。

 その四つの塔で構築されていた封印結界が再び展開されたのだ。



 今まで威圧的だった魔王の魔力が僅かに弱まっているのがわかる。



「なぜだ!」

「なぜ封印結界が!?」

 魔王ゴブーゴが僕にそう問いかけてくる。



「なんで?」

「なんで封印結界が?」

 リナも魔王と同じ様な台詞で僕に問いかける。



「だって北の塔のクリスタルはあんたが吹き飛ばしちゃったじゃない」

「なんで?どうなってんの?」

 混乱気味のリナがまくし立てる様に僕に聞いてくる。



「ふっふっふ」

「詳しい事は……」

 僕は勿体ぶるように焦らしながら話し、


「ミアさんに説明してもらいましょう!」

 そう言って、吹き飛んだ謁見の間から見える空を見上げた。



「へ?」

「ミアさん?」

「ですか?」

「……師匠が?」

 リナとレナ、モモやクルミも鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をしながら僕の見上げた空を見つめる。



 その見上げた空に誰かが居る。

 空に浮かんでいると言ったほうが正しいのか。


 その人影が僕達に向かって喋り始める。

 


「……お久しぶりですね」

「勇者様」

 空の上から返事をしたのは杖を空飛ぶ箒の様にラテラル、いわゆる横座りしたミアさんだった。

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― 新着の感想 ―
久々の→【うんこ】選択肢からの!! 〜〜クソったれ!だ!のくだりカッコイイ(๑•̀ㅂ•́)و✧
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