70話 玉座
王城内に入る門の前に居た門番ゴブリン。
それをリナとレナの連携プラス、クルミの飛び入り参加で撃破した僕達。
でも飛び入り参加したクルミが危うく門番ゴブリンもろともリナに斬られそうになり、間一髪で避ける。
「ありがとうクルミ、うまく避けてくれて(汗」
レナがそう言ってリナの代わりに謝っている(汗。
「私はまだまだ……あんな豪快な剣技と上手く連携出来るなんて」
「レナの方が凄い」
確かにパワフルなのに華麗という無茶苦茶なリナの剣技に合わせられるなんて、さすが副団長レナ。
と言うか双子の姉妹だから出来ているのだろう。
それにクルミとレナは隠密特殊部隊の陰の調律者としての同僚だから、クルミにはレナの凄さが余計に分かるのだろう。
「ぁ〜、ゴメン」
「ついレナのつもりで剣を振っちゃった」
リナがクルミに近づき、そう言って謝る。
「……大丈夫」
自分よりレナの方が凄いという事は分かっていると言っていたので、クルミもすんなり受け入れる。
「リナの味方攻撃なんていつもの事だし」
「気にしない気にしない」
場を和ませようと僕がおちゃらけてそう言うと、
「はぁ?あんたもなんちゃら剣のナントカ技で、私によくやってるじゃない!」
リナがツンドラ風に僕につっかかってくる。
「……うっ!」
確かにリナを巻き込みそうな勢いでチート剣のトンデモ技を出したことは何度かある。
鋭い所を突かれて言い淀む僕。
ゴゴゴゴゴゴ……
そんな言い合いをしていると、王城内に入る扉が開いた。
門番ゴブリンが倒されたからだろうか、入って来いと言わんばかりである。
「ぁ、ほら」
「扉が開いたよ!入ろう」
リナにツッコまれてドモッていた僕は、話題を変えるために扉を指さす。
「まったく……」
明らかに話をそらした僕に呆れ顔をするリナ。
そう呟くリナと共にレナ、モモ、クルミと僕の五人は王城内へと入る。
ゴゴゴゴゴゴ……
僕達五人が入ると扉が閉まる。
そこはエントランスの様なホール的な場所だった。
王城内に魔王軍のゴブリン達は居ないようで、静まり返っている。
「勇者達の相手は魔王自身がする……といった所ですかね」
レナが状況を確認するように僕達に話す。
「防衛線の人達は大丈夫でしょうか」
王都の周囲に居る王国騎士団と魔導師団が張っている防衛線。
それらと魔王軍がぶつかり合うことを心配するモモ。
「とっとと魔王を倒してしまえば、全部解決よ」
分かりやすいリナは、いつも通り正面突破な考えだ。
「……確かに」
いつも冷静でクールなクルミが珍しくリナに同意する。
確かにここまで来たら深く考えずに、魔王を討伐するのが手っ取り早いと僕も思う。
「そうだね」
そう言って僕も素直にリナに同意する。
静まり返った王城内を進む僕達。
「魔王は……やっぱり玉座に居るんでしょうか?」
モモがみんなに問いかけるように話す。
「恐らくそうでしょう」
レナがモモの問いかけにそう答える。
「まったく、まるで王様気分ね!」
リナがプンプン怒る……が、魔王だから王様なんじゃないかな〜なんてツッコミたくなる。
「……魔王だから、王様」
するとクルミがクールにツッコんでくれた、ありがとう。
「まぁ、確かに……」
クルミに言われて渋々納得するリナ。
そんなリナを見てニヤニヤしていると、
「うっさいわね!なんか腹立つ!」
リナは僕に向かって唐突に叫んで来る。
「いゃ、何も言ってないし」
確かにリナを見てニヤニヤしてたけど、僕は何も言ってませんよ。
「顔がうるさいのよ!」
リナが僕にそうツッコんでくる。
理不尽なようで的確にツッコまれてしまう。
「ガビーン!」
そのせいで、またもやレトロなリアクションをしてしまう僕。
「とにかくさっさと行くわよ!」
リナがそう言って突き進む。
元々ここはモモの国の城なので、当然内部構造や玉座までの道順はリナを含めみんな分かっている。
迷子にならないで進めるのは大変有難い。
そうこうしている内に、玉座のある部屋へと入る為の扉が見えて来る。
「……ここに魔王が」
感慨深げにそう呟くモモ。
モモにとっては見慣れた王城が、今では魔王の棲む場所と化してしまっている。
そんな複雑な心境が顔に出て、心配そうな顔をするモモ。
「だいじ……」
モモを安心させようと、大丈夫と言いかけた所で、
「大丈夫よ!」
「この騎士団団長のリナ様が居るんだから」
「魔王なんて、ヘナチョコさいさいよ!」
リナが僕の台詞を喰うように被せてくる。
……しかも、ヘナチョコさいさいってなんですか?
「それを言うなら、お茶の子さいさいでしょリナ姉さん」
今度は騎士団副団長のレナがツッコんでくれる。
ツッコミの二人体制は僕の負担が減って、大変助かるなぁ。
なんてリナを見ながらニヤニヤする。
「うっさいわね!やかましいのよ!」
ツッコんでいない僕に向かってつっかかって来るリナ。
「いゃ、何も言ってないし」
確かにリナを見てニヤニヤしてたけど、僕は何も言ってませんよ。
「顔がうるさいのよ!」
リナが僕にそうツッコんでくる。
理不尽なようで的確にツッコまれてしまう。
と言うかこの流れ、さっきと同じじゃん!
なんて僕が心の中でセルフツッコミを入れていると、
「とにかくさっさと行くわよ!」
またもや同じ台詞を言って玉座のある部屋の扉に手をかけるリナ。
先程まで穏やかだった空気が、張り詰めるのが僕でも分かった。
モモやレナ、クルミ、僕は固唾を飲んでリナが開く扉を見つめる。
ギィイイィィィ……
扉が開くとそこは謁見の間だろうか、広い部屋の奥に玉座らしき物が見える。
らしき物と言ったのは部屋が薄暗く、ほのかに差し込む光でうっすらと見える程度だったからだ。
僕達五人は警戒しながら謁見の間に入って行く。
「なんだか、変な感じです……」
普段の王城の玉座を知っているからであろう、薄暗く静かで異様な雰囲気の謁見の間に対し、そう呟くモモ。
さっきまでおちゃらけ猪突猛進だったリナも何かを感じ取ったのか、真面目な顔で警戒している。
「……行くわよ」
でもやっぱり切り込み隊長なリナがそう言って、みんなを先導して進む。
ぁ、切り込み団長だったか。
コツ、コツ……
静かに警戒しながら薄暗い玉座へと近付いていく僕達。
「……誰か、居ます」
玉座に誰かが座っているのを確認し、レナのその言葉にみんな警戒を強める。
「……魔王?」
クルミがうっすらと見えるその何かに対し、呟く。
正直薄暗くてどんな人が座っているか分からないのだが、僕だけはそれが魔王だと確信している。
だってここは昔の自分が作った自作ゲーム世界なのだから。
北の塔のリナ死亡イベントまでは、余計な事をしてメインシナリオが破綻してしまう可能性があった為に、大人しくメインシナリオ通りの流れをなぞっていたけれど、もはやリナが死なずにここまで来ちゃっているので、お話通りにやる必要は無い。
なので僕は魔王が動き出す前に事に及ぶことにした。
「光輝闇暗炎竜剣」
そう呟き、僕は例のチート剣を取り出して構える。
……スチャ
「ぇ?」
その僕の動きにリナが気付き、驚く。
そんなリナを僕は気にすることなく、薄暗い玉座に向かってこの剣での最強トンデモ技を繰り出す。
「邪王暗黒流次元断層剣零式改」
振り抜いた光輝闇暗炎竜剣から凄まじい衝撃波なのか次元断層波なのかわからない凄まじい何かが出る。
ズゴォォォアアァァァァアアァァァァ!




