69話 双輪の薔薇
王都正門から出てくる大型のゴブリンジェネラル。
それに向かっていく王国騎士団団長のリナと副団長のレナ。
「割と手応えのありそうなのが出てきたわね」
「でも、この王国騎士団団長リナ様は止められないわよ!」
今朝方レナが一時的にでも危機的状態に陥ったのと同種の大型ゴブリン。
そのゴブリンジェネラルに対し、いつものリナらしい口上をして嬉しそうに突っ込んでいく。
「うりゃぁぁぁぁあ!」
そう叫びながらリナは、ゴブリンジェネラルに剣を振り下ろす。
ギィイイン!
上位の大型ゴブリンということもありリナの攻撃に反応し、手に持った棍棒で剣撃を防ぐ。
「フッ」
攻撃を防がれたのに悔しがりもせず、不適に笑うリナ。
ザッ!
そのリナの背後からレナが飛び出し、攻撃役が入れ替わる。
いわゆるスイッチングというやつだ。
ズババァァァアア!
レナの細身の剣による連撃がゴブリンジェネラルの身体を切り裂く。
「グァアアァァ!」
レナの連撃を喰らい叫び声を上げるゴブリンジェネラル。
レナの剣は斬撃も可能だが、スピード重視な細身の剣の為にゴブリンジェネラルの身体を断ち切るまでには至っていない。
だがそれでもゴブリンジェネラルの体勢を崩すには十分であった。
「てりゃあぁぁぁあ!」
さらにリナへと攻撃役が入れ替わり、体勢を崩し隙が出来たゴブリンジェネラルへと剣を振り抜く。
ズシャアァァァアア!
リナの豪剣がゴブリンジェネラルを真っ二つに断ち切る。
ドサァアア……
真っ二つになり地面に崩れ落ちる、ゴブリンだったモノ。
前回あれだけ苦戦していた敵をアッサリと瞬殺する。
疲労や怪我が無かったのもそうだが、それよりもリナとレナのコンビネーションが凄まじい。
掛け声も合図もせず、ぴったり息の合った連携はそれだけでリナとレナが信頼し合っている事を伺わせる。
なによりレナの素早い剣技にリナの豪剣が合わさり、緩急織り交ぜた連撃という凶悪なコンボ。
それが王国最強たるゆえんなのだろう。
さらにはリナの赤髪のポニーテールが舞い、レナのハーフアップ後ろ結びなセミロングの赤髪が踊る。
さながら舞い踊る二輪の薔薇のようである。
「永太様、あれが王国最強と言われる双輪の薔薇です」
そんなリナとレナを見ながらモモが呟く。
「あれは……凄いね」
「リナが騎士団は最強だってアピールするわけだ」
ツンデリーナ(リナ)とヤンデレーナ(レナ)は双子の姉妹なので、二人のコンビネーションが凄い……という設定はあったものの、本来のシナリオだとリナが死ぬ筈だった。
だけど僕のちゃぶ台返しによりリナは生きている。
その為、本来こののゲーム内では絶対に出来なかった最強コンビネーションが今ここに実現しているのだ。
「さあ、グズグズしてないでさっさと行くわよ!」
リナがそう僕に叫び、王都城壁にある正門をくぐり王都内へと突入する。
それに次いで僕達も王都内へと入って行く。
王都内には魔王軍本隊であろう雑魚ゴブリンやらゴブリンコマンダーやらがワラワラと居た。
だが、先程主力である大型ゴブリンのゴブリンジェネラルを倒された為か、雑魚ゴブリン達は怯んでいる。
王都は中央に王城を構え、その周囲に街が形勢されて外周部には城壁があるという作りだ。
王都正門から王城へはメインストリートである大通りで繋がっており、真っ直ぐ進めば王城へとたどり着く。
迷子スキルの高そうなリナでも王城にちゃんと行ける安心設計だ。
「一気に行くわよ、ちゃんとついてきなさい!」
メインストリートの先に見える王城を見ながら僕に向かって叫んで駆け出すリナ。
「ぁ、うん」
リナとレナの華麗な連携に見惚れていた僕は、モモやクルミ達と一緒についていく。
ズババァァァアア!
ズシャアァァァアア!
リナとレナの猛攻に雑魚ゴブリンは怯んでいるものの、上位の大型ゴブリンは果敢に襲いかかってくる。
だけど王国最強である騎士団の団長と副団長の華麗なコンビネーションによりアッサリとやられていく。
リナだけでも一騎当千なのに、一騎当千のレナが加わった上にあの連携。
一騎当千かける一騎当千だから……ニ騎当百万?
なんか語呂が悪い。
というか、モモの言う通り双輪の薔薇でいいのか……なんて事を考えながらついていくだけでいい位に余裕がある。
なので僕は、リナとレナに薙ぎ払われる魔王軍を生暖かく見守っていた。
ぁ、いやサボっていたわけじゃないよ。
時折雑魚ゴブリンに絡まれるから、ちゃんとクルミと一緒にモモを護りながら進んでいたのでサボりではない、うん、そう。
ただ、いかにリナとレナが凄いとはいえ魔王軍の物量は圧倒的だ。
王城までの大型ゴブリンを蹴散らしても、魔王軍が混乱し一時的に侵攻が遅れる程度である。
前を行く二人もそれは分かっていると思う。
なので、旗頭である魔王を倒すのが一番の近道……リナの大好きな猪突猛進で正面突破が最善と言うことになるのである。
そんな事を考えていると、王城の入り口が見えて来る。
王城の入り口には二匹の大型ゴブリンが門番のように待ち構えている。
「さあ、正面突破よ!」
その二匹の門番ゴブリンを見てもリナは臆することなく、嬉しそうに突撃していく。
「うりゃぁぁぁぁあ!」
そう叫びながらリナは、門番ゴブリンに向かって剣を振り下ろす。
ギィイイン!
さすが門番ゴブリン、リナの攻撃に反応して手に持った棍棒で剣撃を防ぐ。
「フッ」
攻撃を防がれたのに悔しがりもせず、不適に笑うリナ。
ザッ!
そのリナの背後からレナが飛び出し、攻撃役が入れ替わる。
リナとレナのコンビネーションプレイだ。
ギィイイン!
だが、そのレナの攻撃も防がれる。
そう相手の門番ゴブリンも二匹居るからだ。
「フッ」
得意のコンビネーションを防がれてしまったにも関わらず、リナと同じ様に不敵に微笑むレナ。
「クルミ!」
レナがそう叫ぶと、レナの陰から飛び出したのはクルミだ。
さっきまで僕とモモの近くに居たはずなのに、気付いたらレナの所に居る。
「影刃」
門番ゴブリンの死角から飛び出し、影技を繰り出すクルミ。
ズバァァァア!
クルミの影刃による斬撃が門番ゴブリンの身体を切り裂く。
「グァアアァァ!」
クルミの攻撃を喰らい叫び声を上げる門番ゴブリン。
完全に不意を突かれた形となり、体勢を崩す門番ゴブリン。
「てりゃあぁぁぁあ!」
さらにリナへと攻撃役が入れ替わり、クルミの攻撃で隙が出来た門番ゴブリンへと剣を振り抜く。
ズシャアァァァアア!
リナの豪剣が門番ゴブリンを真っ二つに断ち切る。
「ぉ、おっとっと」
即興のコンビネーションだったからか、リナが無神経なのかは分からないが、門番ゴブリンと一緒に斬られそうになったクルミは間一髪でリナの攻撃を躱す。
「クルミ、ありがとう」
そう言って今度はレナが攻撃役にスイッチし、残った片割れの門番ゴブリンに攻撃を仕掛ける。
ズバァァ!
ズシャアァア!
相棒を倒され怯んだ門番ゴブリンの片割れが、レナの素早い連撃を喰らい嬌声を上げる。
「グァアアァァ!」
すぐさまリナに攻撃役が入れ替わり、トドメの一撃を振り抜く。
ズシャアァァァアア!
クルミが飛び入り参加したとは言え、いかにも強そうだった門番ゴブリンをアッサリと瞬殺する。
「クルミ、大丈夫?」
リナとレナのコンビネーションに上手いこと乱入したが、危うく門番ゴブリンもろとも斬られそうになったクルミを心配して僕は声をかける。
「……やっぱりあの二人の連携は別格」
いや、それに上手く参加したクルミも相当凄いですよ……と僕は思う。
「まぁ……普通の団員だったら一緒に斬られて同士討ち祭りになる所、でしたけどね」
「ありがとうクルミ、うまく避けてくれて(汗」
レナがそう言ってリナの代わりに謝っている(汗。




