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クリと勇者と選択肢 〜チート剣とトンデモ技で昔の自分が作った中二病全開のゲーム内異世界を攻略する〜  作者: チームつちのこ
十二章 王都へ

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61話 第一次防衛線

 夜明けが近いのだろう、星の見えていた夜空が徐々に明るくなってくる。


 そんな空の下、熾烈を極めた戦いが繰り広げられていた。


 ギィイイン!


 ガィィィィイイン!






 それは少し前、王都の正門が開かれそこから出て来た魔王軍本隊の大量の雑魚ゴブリン。

 それに立ち向かう第一次防衛線を張る王国騎士団と魔導師団がぶつかり合い合う。



 先制攻撃として魔導師団が魔王軍本隊へ遠距離魔法攻撃を仕掛ける。


 大量の魔法攻撃の直撃を受けても怯むことなく突き進む魔王軍本隊。

 なだれ込んでくる雑魚ゴブリンに王国騎士団が立ち向かう図式。


 魔王軍本隊の総数は多い、騎士団と魔導師団の数を合わせても完全に数的不利である。

 本来であれば崖や洞窟、吊り橋など狭い場所に誘い込むことで全軍の真っ向勝負にならない様に策を練るのがセオリーである。


 だがこの王都周辺は平地であり、その策は使えない。


 



 そこで代案として王都正門から出て来た魔王軍本隊の側面から魔導師団が遠距離魔法攻撃を仕掛け、正面側にしか進めないよう牽制する。

 正門が大きいとは言え魔王軍本隊を一気に通せる程の大きさは無い。

 

 そうすることで簡易的にも狭所状態を作り出しボトルネックとし、正面側だけに王国軍の戦力を集中し対応する事が出来るという作戦である。



 つまり防衛線を張る騎士団と魔導師団の王国軍側は魔王軍本隊を殲滅するのではなく、侵攻を遅らせる……可能であれば魔王軍の戦力を出来る限り削ぐのが目的である。


 なので全軍で突っ込むのではなく、王都から出てくる魔王軍本隊をジリジリと引きながら各個撃破していくのが現状出来る最善である。


 その間に後方で第二次防衛線を構築させている。

 魔導師団の師団長も、急ぎそちらに向かっているとの事。



 当面は第二次防衛線が構築される迄の時間稼ぎが目標となる。


 正直に言うと魔王軍本隊を殲滅出来るような策自体は無い。

 だけど、王都の封印結界が解かれる事を予見していたミアさんがこのまま無策で黙って見ている訳がない。


 王国騎士団の副団長であるレナや魔導師団の師団長はそう考えているのだ。

 騎士団と魔導師団も同じ考えて動いている。

 その為、皆はこの戦いを最初から負け戦と考えて戦ってはいない。



「……とは言え」

「これは、正直骨が折れるわね……」

 先行隊として王都正門から出てくる雑魚ゴブリンの物量に副団長であるレナはそう呟く。



 魔導師団の副師団長であるミアさんは、のらりくらりと掴みどころのない性格で、正直何を考えているか分からない事が多々ある。


 魔王軍本隊を王城に封印足止めする策も、突拍子が無さ過ぎて眉唾物だったのに、ミアさんは成功実現させてしまう。


 こんな事は今回だけでは無い。

 魔王軍本隊の封印ほど大事では無いにせよ、前々から突拍子もない発想をよく提案する人だ。



 今回は策こそ提案されて無いが、王都の封印が近日中に解かれるとの事前連絡をよこしてくれた。


 それだけでミアさんが何か裏で動いている事は容易に想像出来る。

 だから王国騎士団や魔導師団は信じてついて来てくれているのだ。


「……やるだけの事は、やらないとね」

 副団長のレナは剣を構えながらそう呟き、向かって来る雑魚ゴブリンを見つめる。



「全軍、防衛線を維持したまま各個撃破!」

「深追いはするな!」

 レナはそう指示した後、剣を構えたまま雑魚ゴブリンに立ち向かう。



 ズシャアァア!


 ズバァァァア!



 レナの剣はリナの剣より細身であり、リナの力の剣と対象的に華麗で素早い剣技を得意とする。


 その細身の剣は斬撃も可能で、レナの剣技と相性が良く目にも止まらぬ速さで雑魚ゴブリンを切り裂いて行く。


 レナの突撃により断続的に分断された雑魚ゴブリンは防衛線を張る騎士団により各個撃破されていく。



 ギィイイン!


 ガィィィィイイン!



 ズシャアァア!


 ズバァァァア!



 魔王軍本隊の先行隊は主に雑魚ゴブリンで構成されて居るために、騎士団の一般団員でも対応処理出来ている。


 時折ワンランク上のゴブリンチーフ等が居るが、複数の騎士団が取り囲む事で対応するという流れである。


 ゴブリンチーフといえども局地的に数的有利の状況に持ち込めば対処できるのだ。


 その局地的数的有利を一次的にでも作り出しているのは副団長のレナの動きである。


 猪突猛進で一騎当千である騎士団団長リナ、その双子の妹であるレナも一騎当千であった。


 さらにリナより戦況を見据えた的確な動きにより、魔王軍本隊を上手く分断させている。


 団長のリナが信頼しているのも頷ける。



 王都の正門が開かれ、魔王軍本隊の進行が始まって暫くは防衛隊の策が功を奏し防衛線が下がることなく対処出来ていた。



 ギィイイン!


 ガィィィィイイン!



 ズシャアァア!


 ズバァァァア!



「……ふぅ」

「ひとまず……先行隊は対処出来そうね」


 レナの活躍と騎士団、魔導師団の踏ん張りにより先行隊である雑魚ゴブリンの猛攻が収まってきた。



「副団長!来ました!」

 側に居た部隊長がレナに向かってそう叫ぶ。



「……」

「……第二陣って訳ね」

 そうレナが呟き、王都の正門から出て来たのはゴブリンチーフよりもランクが上のゴブリンコマンダー。



 大量の雑魚ゴブリンに数匹のゴブリンチーフを引き連れている。



 雑魚ゴブリンより大きなゴブリンチーフ、それよりもさらに大きなゴブリンコマンダー。


 騎士団の一般団員には手に余る代物で、その事は事前に周知されていた。


「事前の作戦通り私が行きます!」

「防衛線が下がってもいいので戦力維持を優先して」

 レナは側に居た部隊長にそう言い残し、ゴブリンコマンダーへと向かって行く。



 向かって来るレナに気付いた雑魚ゴブリンがレナに襲いかかるが、レナは素早くそれを躱していきゴブリンコマンダーへの攻撃を優先する。


 ゴブリンチーフの攻撃すら華麗に躱し、ゴブリンコマンダーへ攻撃を仕掛けるレナ。


 ギィイイン!

 

 雑魚ゴブリンやゴブリンチーフの様にはいかず攻撃を防がれる……と思いきやその動きすら読んでいたのか身体を翻し、ゴブリンコマンダーの腕を切り落とす。



 ズバァァァア


 さすがに一撃で瞬殺とは行かず、そのまま二撃目へと移るレナ。


 ズシャアァア!


 ゴブリンコマンダーの背中に深い傷を負わすも、ゴブリンコマンダーは最後の力を振り絞り、残る左手を振り回しレナを強引に殴りつける。



 ズガァァァァアン!


 間一髪剣を前に出し防いだものの、吹き飛ばされるレナ。



 ドガァァァァア!


 そのまま地面に叩きつけられたのか土煙が立ち登る。



「副団長!」

 それを遠目から見ていた部隊長が副団長であるレナを心配して叫ぶ。




「……まだ、まだっ!」

 するとその土煙の中から飛び出し、ゴブリンコマンダーへ追撃を仕掛けるレナ。



 ズシャアァア!


 そのレナの剣がゴブリンコマンダーの首を切り裂いた。



 ズサァア……


 レナが着地した後、ゴブリンコマンダーの首が地面に落ちる。


「副団長!大丈夫ですか?」

 なんとか倒したものの、ゴブリンコマンダーに殴り飛ばされた副団長を心配し部隊長が駆け寄る。



「……なんとか、ね」

「さすが魔王軍本隊、防衛線の維持もこの辺りが限界かしらね……」

 レナは一瞬フラつきながらも、しっかりとした足で立ち上がる。



 そのレナが見ていたものは王都正門から出てくる多数のゴブリンコマンダー。


 当然ゴブリンチーフも雑魚ゴブリンも一緒に大挙して出てくる。


 この数を捌きながら防衛線を維持するのは困難と判断したレナが叫ぶ。


「各部隊の戦力維持を優先、第一次防衛線を引き下げる」

「ここの殿(しんがり)は私が務めます」

「魔導師団と連携して時間を稼ぎながら第二次防衛線まで後退を!」

「魔導師団の師団長が戻り次第、そちらの指示に従って」


 レナのその言葉に、側にいた部隊長達は各部伝達に急ぎ動く。

 第一次防衛線の再編成と引き下げが始まっていく。


「……さて」

「ここが踏ん張りどころ、かな」

 レナはそう言って剣を構え、再び自身の心を奮い立たせる。

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― 新着の感想 ―
凄い!!レナ様!! 大活躍ヮ(゜д゜)ォ!!
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