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クリと勇者と選択肢 〜チート剣とトンデモ技で昔の自分が作った中二病全開のゲーム内異世界を攻略する〜  作者: チームつちのこ
十二章 王都へ

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60/66

60話 副団長レナ

 スゥ……スゥ。


 静寂の広がる夜に静かな寝息が聞こえる。

 暫くすると……



 カタカタ


 外はそれほど風が吹いている様子は無いのに微かな揺れを感じる。




「……」

 寝息が止まりムクリと身体を起こし、辺りを見回す。



「……何?この感じ」

 先程まで寝息を立てていた女の子は違和感を感じ取り、目が覚めてしまった様子である。



 ……すると、


 バタバタ、バサッ。



 女の子が寝ていた場所に慌てて人が入って来る。


 急いで入って来たその人に対し、問いかける女の子。

「どうしたの?」



 ハァハァと息を切らし駆け込んで来たその人が叫ぶ。

「副団長、大変です!」

「結界が……」



 そこまで言うと副団長と呼ばれた女の子は急いでテントから出る。


 テントの外へ出ると、まだ外は暗く星空が見えていた。


 その星空の下には王都と王城を囲むように張られた結界が見える。

 そうここは王都周辺の防衛線を張っている騎士団や魔導師団の野営地。


 遠くに見える王城と王都を見張るためここに野営していたのだ。


「……あれは」

 そう呟くのがリナと同じ色の赤髪で、王国騎士団の副団長レナである。


 リナの様にポニーテールでは無く、セミロングのハーフアップ後ろ結び。


 そのレナが見たもの、それは王都と王城を覆っていた結界の力が弱まって行く様であった。


 徐々に光を失い崩れて行く魔力障壁の結界。

 王城に閉じ込めていた魔王軍への封印結界が解かれた。

 それはつまり、魔王軍本隊との全面戦争が始まることを意味していた。



「全軍に通達!」

「第一級戦闘態勢」

「魔王軍が……動き出す」

 王国騎士団の副団長であるレナはすぐさま周囲の団員に命令伝達を行い、自身も野営地のテントに戻り戦闘態勢を整えるため鎧を身に纏う。



「……まさか、本当に?」

 先程まで仮眠を取っていたとは思えないほどキビキビした動きで急いで身支度を済ませたレナは、そのまま作戦会議室のあるテントに入って行く。



「「副団長」」

 テント内のテーブルには近く居た部隊長数人が集まっていてレナに向かって声をかける。



「状況は?」

 レナがすぐに状況確認を始める。

 リナとは違い状況を把握し、的確な状況判断を行う様はまさに騎士団の長と言った感じである。



「はい、王都の裏手側の局地的魔導結界の方はもう少しで完了するとの事です」

「側面の東西についても間もなく完了との事です」

 部隊長が王都周辺の防衛線の状況を順次報告していく。



「最終的にはこの正面側に、全戦力を集中したかったんだけど……」

「時間がない、正面側に居る騎士団と魔導師団はこの第一次防衛線で魔王軍を迎え撃つ」

「非戦闘員は後方の第二次防衛線まで後退」


「ここで魔王軍本隊を……食い止めます」

 レナは真剣な顔でそう叫んだ。





 各方面に指示伝達を終え団員達は動き始める。

 レナ自身も前線で魔王軍を迎え撃つため自身の装備を整える。

「……まさか本当にミアさんの言った通りになるなんて」


 王都周辺に防衛線を張り、封印しきれなかった残党処理や周囲の防備を固めていた騎士団や魔導師団、そんなレナに数日前連絡が届いた。


 それはミーカワで王様や王妃様と一緒に王城に魔王軍を足止めする封印を構築、維持していた魔導師団副師団長のミアさんからのものだ。


 そのミアさんからの連絡は驚くべきものだった。




 そもそも魔導師団副師団長のミアさんはいつも私達の予想を超える言動や常識を超えた発想の持ち主で、いつもみんなを驚かせている。


 魔王軍が攻めてきた時も王城を媒介に魔王軍本隊を丸ごと封印して足止めするなんて発想は、私では思いつかない。

 さらに凄いのはその突拍子もない発想を成功、実現させてしまう所だ。


 実際に魔王軍本隊は王城に封印され足止めする事が出来た。


 それにより各地への被害を最小限にする事ができたのである。

 

 だけどその後、封印から逃れていた暗黒四天王(ダークフォース)らが封印の要である四つの塔を占拠したとの報告が入り、再び緊張が走った。




 モモ姫様が伝承の勇者を探しに出た事は聞いていた。

 リナ姉さんがそれについて行った事も。


 別にモモ姫様やリナ姉さんを信じていない訳では無い。

 だけど見つかるかどうかも分からない不確定な勇者よりも今出来る行動で皆を救いたいと思った私は、王国騎士団を動かし塔の奪取に向かうべきだと主張した。

 そんな時に西の塔を取り戻したと連絡が入る。




 西の塔を解放したのは勇者であると。



 その事実は王国騎士団と魔導師団の動きに大きな影響を与える。


 封印しきれなかった魔王軍の残党を処理していた私達は塔の奪還には向かわず、この王都周辺に防衛線を張る事になった。


 勇者が各地の塔を解放し、魔王と対峙するまでこの防衛線を維持し決戦に備えるのだと。


 その後勇者の快進撃は続き、南の塔に続き東の塔までも解放されたとの報告が入る。


 残るは北の塔のみとなり魔王軍との最終決戦が近い事を感じさせたその時、ミアさんから一報が入って来た。


 そのミアさんからの連絡が驚くべきものだったのである。





「魔王軍本隊を封じ込めている封印が数日の内に解かれる可能性がある」

 との連絡が入って来たのだ。



 だけどその正確な時期や詳細などは不明との事だった。


 ミアさんは占いで未来視を行う事ができる。

 けれど視えるのは大まかな未来の為、細かな詳細までは分からなかったのであろう。



 その連絡を受け私達騎士団と魔導師団は万が一の為、南の裏手側と東西の側面に魔力障壁を急遽構築する事となったのだ。




 王都の封印結界が解かれる可能性がある……ミーカワに居る王様と王妃様、それにミアさんが創り上げ維持している結界。


 その封印が解けるという事は……北の塔のクリスタルが破壊もしくは消滅した可能性がある。


 それはつまり……





 快進撃を続けていた勇者の敗北……


 そんな事は考えたくないが……そう考えるのが普通だろう。


 最悪の場合、モモ姫様やリナ姉さん、一緒に居るクルミの身の危険も考えられる。




 王都の封印結界が解けるというのはそういう事なのである。

 正直そんな事は起こって欲しくない……いや起こって欲しくなかった。


 だけど、今目の前にあった王都の結界は消え封印結界は解かれてしまった。


「まさか……それでも!」

 最悪の事態が頭をよぎるが、それでも気丈に心を奮い立たせるレナ。



 戦闘準備を終え臨戦態勢に入った騎士団と魔導師団、それらを引き連れ副団長であるレナは第一次防衛線に立つ。


「魔導師団、師団長のアーモンド(アモン)は?」

 レナが側に居る部隊長に問いかける。



「裏手側と側面の魔力障壁の構築が終わり次第こちらに向かうとの事です」

 そう言ってレナの問いかけに答える部隊長。


「……そう」

 そんなやり取りをしていると、遠くに見える王都の城壁にある大きな扉が開いていく。



 そこからは大量のゴブリン……魔王軍本隊が姿を現す。

「……いよいよ来たわね」

「ここまでは予測通り、と言った所かしら……」

 近づいてくる魔王軍本隊を見てレナが呟く。




 王都の裏手側と側面に張られる魔力障壁、それは四つの塔を要とした封印結界と比べようもなく脆弱である。


 応急的に構築したという事もあるが、魔王軍本隊が本気を出せばその魔力障壁は突破されてしまうだろう。


 とは言え多少の時間稼ぎにはなるのだが、この魔力障壁の思惑は違う所にある。


 正直魔王軍本隊が戦力を分散させ、王国各地を蹂躙し始めたら騎士団と魔導師団では対応しきれず、甚大な被害が出ることが容易に想像できる。


 だが魔王軍はその力を誇示する事を誇りとしている、北にある死の大地住む魔族達というのははそういう生き物なのだ。


 裏手側と側面には魔力障壁があるのに正面側はガラ空き、正面側へと誘導されている……そんな見え透いた策略。


 それを分かった上で正面側に本隊を進めて来るだろう。

 力でねじ伏せて進む、それが魔族なのだ。



「……だから」

「ここで魔王軍本隊を食い止めないと!」

 魔王軍本隊との全面対決となったらただでは済まないであろう。

 だけど……絶対に負けられない戦いがそこにある!


 そんな想いでレナが心を奮い立たせ、叫んだ!

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― 新着の感想 ―
ぉぉ!!副団長のレナ様!! そして師団長のアーモンド?(アモン?)様!? 気になりすぎます!!(✽ ゜д゜ ✽)!!
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