表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クリと勇者と選択肢 〜チート剣とトンデモ技で昔の自分が作った中二病全開のゲーム内異世界を攻略する〜  作者: チームつちのこ
十章 北へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/64

52話 夕焼け

 北の塔と砦に侵入する為の陽動作戦は日が落ちてからとなった。

 それまでの間、僕達は各々身体を休めたり作戦の準備をしたりしていた。


 モモとクルミはもう少し作戦の詳細を確認すると言う事で、作戦会議した部屋で話し合っていた。


 僕とリナはと言うと、とりあえずモモとクルミの邪魔しないよう部屋を出てカシューおじいさんの家にあるウッドデッキっぽい所で風に当たり一休みしていた。


 先程まで正面突破したくてたまらなかった顔とは思えない静かな顔をしてなびく風を感じているリナ。

 優しいそよ風がリナの赤髪ポニーテールを揺らしていた。



「リナは本当に正面突破が好きだね」

 リナが静かにしているのが珍しく、何気なく話題を振ってみる



「当たり前でしょ」

 そう言っていつも通りの顔で返してくれるリナ。


「何でそんなに正面突破したいの?」

 なんとなく会話を続ける為に僕は話を広げる。


「そんなの決まってるわ」

「それが一番早いからよ」

 謎の独自理論で話を進めていくリナ。


「私はね」

「この国が好きなの」

「だから少しでも早く平和を取り戻したいの」

 そう言ってリナは少しアンニュイな顔をする。


 自分語りしているリナが珍しく、僕は静かに話を聞く。


「この国はね」

「草木が笑い合い、小川のせせらぎに鳥たちが歌う」

「頬をなでる風がその幸せの歌を運び、優しい日の光がこの国を照らす」

「そんなこの国が私は好き」

 なんか言い伝えの様な伝承の様な喋りをするポエムリナ。


「……それは」

「昔話の導入か伝承か何か?」

「もしくはポエム」

 僕はポエムリナに聞き返す。


「違うわよ」

「あんたにはこの素晴らしさはわかんないわね、きっと」

 なんて言いながらほんのりツンドラして来るリナ。



「まぁ、平和なこの国ってのはまだ見た事無いからね」

 僕はそんな風にリナに返事する。

 僕がこの世界に来た時点で既にこの国は魔王軍の侵攻を受けていた。

 その為、僕は完全に平和なこの国というものを知らない。



「まぁ……確かに」

「なら、見せてあげるわ」

「北の塔も王城にいる魔王軍もぶっ飛ばして」

「あんたに平和で美しいこの国ってやつを」

 リナが珍しくドヤ顔せずに前を向いたまま僕を横目で見て静かに話す。


「北の塔はぶっ飛ばしちゃダメなんじゃ」

 そんなリナを見て僕はおちゃらけてツッコミ返す。


「うっさいわね!細かいところを」

「とにかく私がこの国を平和にしてみせるわ」

「騎士団長としてね!」

 そう言って僕にツンドラするリナはいつもの顔だった。


「まぁ、あんたには期待していないけど」

「勇者としては期待しといてあげる」

 期待しているのかしていないのかよくわからないリナの話に僕はなんとなく微笑み返した。



「……相変わらずキモいわね」

 僕の笑みを見て、照れ隠しなのか思いっきり刺してくるリナ。


 やがて日が傾き始め、空が少しづつ紅く染まり始める。

 そんな話をしているとモモとクルミも作戦の確認が終わったのか、ウッドデッキっぽい所に出てきた。


「いい風、ですね」

「まるで妖精さんたちが遊んでいるみたいです」

 吹き抜けるそよ風を浴び、モモもポエムチックな事を話し始める。


 クルミも続けてポエムチックな事でも言うのかな?と見ていると、


 グゥ〜



「ふふっ」

「ふっ」

 そんなクルミを見てモモとリナが微笑む。


「……腹が減っては戦はできぬ」

「ということわざもある、から」

 そんな事を言うクルミはいつも通りでなんか安心した僕達だった。


 その後、クルミの言う通り腹ごしらえをし色々と準備をした後、僕達は作戦開始までしっかり休憩し身体を休めた。




 そして日が落ち夜が更けてきて、絶好の潜入日和?となった辺りで僕達は動き始める。



 僕とクルミは裏にまわって潜入班、モモとリナは砦の正面側で陽動作戦。



 僕達は二手に分かれ北の塔のある砦番犬の山砦(ドッグマウンテン)へと向かった。



 ここがホームスタジアムなのかクルミは暗い山道を灯りもないのに迷うことなく進んで行く。


 程なくすると砦が見えてくる。

 どうやら裏手に出てきたようだ、さすがクルミ。



「リナの方は大丈夫かな」

 こんな暗い山道、リナの事だからほかっておくと直ぐに迷子になりそうだ。


「モモもお目付として居るし」

「カシューじいちゃんも案内してくれるって」

「だから大丈夫」

 砦の方の様子を確認しながらクルミはそう呟く。



「そっか」

「なら大丈夫そうだね」

 クルミの話を聞いて僕は安心する。



「陽動が上手くいくといいけど」

「リナとはいえあの敵の量だと大変そう」

 西の塔や南の塔にも雑魚ゴブリンは居たが、リナの剣技でアッサリとやっつけていた。

 でもこの北の塔の砦にいる雑魚ゴブリンの数は西や南より遥かに多い。


 この裏手側にも多数の雑魚ゴブリンが居て守りを固めている感じだ。

 さすがにリナ達が雑魚ゴブリンに負けるとは思ってないが、物量で来られるとめんどくさそうだ。



「色々と仕掛けもしておいたから」

「その辺も大丈夫」

 なにやらクルミが暗躍してくれているようで、そう言って僕を安心させてくれる。

 やっぱり隠密特殊部隊は違うね。


 なんて会話をしながら僕とクルミは作戦開始のタイミングを待った。





 その一方、モモとリナはカシューおじいさんの案内の元砦の正面側へと移動していた。

「ありがとうございます、おじいさん」

 モモはそう言って暗い山道を案内してくれているカシューおじいさんにお礼を言う。


「いやいや、ワシにはこれくらいの事しかできんさ」

「この国の為に戦ってくれている姫様や騎士団長様の手伝いが出来てこちらこそ光栄ですじゃ」

 モモの言葉にカシューおじいさんも謙遜して返す。


「任せて、この騎士団長のリナ様がいれば」

「この国の平和ももう目前よ!」

 リナがそう叫ぼうとした所で、


「「しぃ〜」」

 口元に指を当てモモとおじいさんがリナを戒める。


「……だって、陽動なんでしょ……」

「見つかっても大丈夫なんじゃ」

 リナがツッコまれたことに動揺しながら言い訳する。


「作戦の段取りがありますから」

「それまでは静かに、ですよ」

 そう言ってモモがリナを戒める。


「ほぃ」

 リナはションボリ顔で返事する。


 カシューおじいさんとモモがそうやってリナを静かにさせつつ作戦開始予定の場所まで移動する。


「クルミから聞いた話だとこの辺りのはずですが……」

 そう言ってモモが周囲を確認する。


 そこは砦の正面扉からほど近い森の中。



「ここで合ってますじゃ」

 ここまで案内してくれたカシューおじいさんはモモにそう説明する。


「ありがとうございます」

「でも」

「作戦が始まると危険ですので」

 モモがそこまで言った所で、


「そうさな」

「ワシは後方で身を隠しておくとしますじゃ」

 カシューおじいさんはそう言って後方に下がる。



「……では」

 カシューおじいさんの姿が見えなくなるとモモはリナを見つめて頷く。


「いよいよ作戦開始ね!」

 リナが嬉しそうにモモに返事する。


 こうして僕達の北の塔の砦攻略が始まった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
リナ樣のポエムと、 カシューおじいさんの、 そうさな、が好き過ぎる(笑www❣❣
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ