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プロローグ
焦げ臭い匂いがする。
普段の王城からは決してしない匂い。
いつも一緒に笑い合っていた人たちが逃げ惑っている。
日頃愛でていた花たちが燃え、美しい城は瓦礫となって崩れていく。
──私が、ここを守らなければ。
エクスカリオン王国の女王、オリヴィアは、長い赤髪を靡かせ、レイピアを握る手に力を込めた。
その背中を守るのは、側近にして婚約者でもあるエルヴィス・フォスター。
彼は右手に短剣を握りしめ、左手はすぐに魔法を発動できるように構えている。
「好きに動け。俺が支える」
端的に伝えられた彼の言葉が、この上なく頼もしい。
いや、言葉などなくてもいいのだ。
この世で最も信頼できる彼が、側にいてくれさえすれば。
オリヴィアはエルヴィスに力強く頷くと、右足をゆっくりと上げる。
その足に輝くのは『赤い靴』。
長時間この靴の力を使うと脚に負荷が掛かるが、使う時は今だ。
靴の踵を、オリヴィアは強く打ち鳴らした。




