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ガチャ爆死で異世界召喚されたけど、スキルが『無料10連ガチャ(99%低レア)』と『コメント欄』しかない ~ゲーム知識でがんばります~  作者: ころにゃん


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第15話 コメント共有機能?いらないんですけど(中編)

ベッドに、リルアを引き倒した。


——その瞬間。


視界の隅のコメント欄に、薄いモザイクが走った。


『——プライバシーフィルター起動——』


『は!? またか!?』


『今回も仕事するの!?』


『プライバシーフィルター!!! プライバシー!!!』


『今だけ俺たちが封じられる回(確定演出)』


ぎゃーぎゃーと、最後の悲鳴。


そして——コメント欄が、すーっと薄くなった。プライバシーフィルター稼働中の表示だけが、視界の端に小さく残ってる。


ありがたい。今だけは、コメント欄が静かでよかった。


「ひなたちゃん」


「うん」


「いつもより、強い?」


「強いよ」


リルアの白いワンピースのリボンを、ほどいた。指が震えてた。リルアは震えてなかった。私の方が、たぶん、興奮してる。


「ひなたちゃん」


「ん」


「私だけ、見てて」


「うん」


「コメント欄のみんなも、いない、今は」


「うん」


「私だけ」


「リルアだけ」


ベッドの上、リルアと向かい合う。コメント欄は、もう、消えている。


「私だけが、リルアを褒める」


「うん」


「私だけが、リルアに、こういうこと、する」


「うん」


唇を重ねた。さっきまで戦場で、コメント欄に煽られて交わしたキスとは、全然違う、ふたりだけの、深いキス。


「ひなたちゃん」


「リルア」


唇を離した瞬間、リルアの目が——受け身じゃない、まっすぐな、青い目が、私を見た。


「ひなたちゃんも、わたしの、独占でしょ」


——え。


今まで、リルアは「ひなたちゃんだけのもの」って言ってた。私が守る側で、リルアが守られる側で。


でも今、リルアは——逆を言った。


「うん」


「うん」


短い、応酬。それで、十分だった。


——その夜のことは、ふたりだけの記憶。


リルアの後光だけが、月明かりの代わりに、ふたりの体を、ピンクに染めていた。


「リルアは、私だけのもの」


「うん、ひなたちゃんだけのもの……」


リルアの目が、潤んで、私だけを見つめている。お風呂の夜、ベッドの夜、洞穴の夜——重ねてきた全部が、今夜の一晩に、集約されていく。


「ひなたちゃん、すき」


「私も、リルアが、世界で一番、すき」


唇を、深く、合わせた。


——その先のことは、ふたりだけのもの。


リルアの後光が、しゅるるっと、ロウソクサイズに戻った頃には、私の腕の中で、リルアが、すっかりくたっとしていた。汗で湿った銀の髪が、私のシーツに広がってる。


「ひなたちゃん」


「うん」


「すご、かった」


「うん」


「コメント欄、見てた?」


「フィルター入ってたから、いなかったよ」


「あはは」


リルアが、くたっと笑った。


私はリルアに覆い被さって、おでこにキスをした。それから、唇に、もう一度。


「リルアの声も、表情も、全部、私だけのもの」


「うん」


「コメント欄には、絶対、見せない」


「うん」


「リルアは、私の——」


最後の言葉、言うのが恥ずかしくて、リルアの胸に顔を埋めた。


リルアが私の頭を、撫でてくれた。


「ひなたちゃん、いいよ。最後まで、言わなくて」


「うん」


「私、ひなたちゃんの女神だから」


——女神だから。


その言葉が、なんか、ずっしり重かった。


「リルア」


「うん」


「ありがとう」


「えへへ」


リルアの後光が、ぽわぽわ、ぽわぽわ。


その夜、リルアと抱き合ったまま眠った。コメント欄は——プライバシーフィルターでずっと黙ったまま。今夜だけは、邪魔されなかった。

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