第3話 初めての5対5!(1)
あらすじ:キャプテンである啓次の提案により、1年生同士の5対5が始まった…!
「よし、決まったな。」
そう言って紙を広げる啓次。
紙には、5対5の出場メンバーが書かれていた。
Aチーム(青ゼッケン)
東条 狼士 センター 経験者
八草 雷哉 ガード 経験者
坂谷 保 初心者
須賀利 大 初心者
田中 廉 初心者
Bチーム(ゼッケン無し)
近藤 晴輝 ガード 経験者
横村 奏 センター 経験者
重野 涼成 初心者
箕輪 大知 初心者
山ノ上 彰久 初心者
ジャンケン負け
稀咲 玲 フォワード 経験者
川野 陸 初心者
「くっそ~…みんなパー出しやがって…」
そう言って玲は拳を見つめる。経験者が5人いたため、ジャンケンをすることになったが、玲は初っ端で1人負けしたのである。
その様子を見ていた雷哉は、晴輝に話しかける。
「…なあ晴輝、あいつ、最初にグー出す癖に気付いてへんのかな?」
「気付いてへんやろ。やったらグー出さんて。そこまでアホちゃうよ。」
「小学生からの癖やのに気付いてへんのはアホやと思うけどな。」
そう雷哉と晴輝が会話しているのに気付かず、玲は拳を見つめ続けている。
コートの中では、センターラインを挟んで両チームが立っている。
啓次は試合に出る10人に向かって言う。
「じゃあ、5分-2分-5分の流し[※1]でいくで!」
「はい!」
啓次の言葉に、10人は大きな声で答えた。
ピー!と笛がなる。試合開始の合図だ。
ジャンプボール。狼士と奏がセンターサークルで相対する。
上に投げられたボール。先に弾いたのは狼士。
「うっし!」
「うぐ…」
弾かれたボールを雷哉が拾う。
「よーし!1本!」
ハーフラインを越えた雷哉が、人差し指を立てて叫ぶ。
「来い!」
相対するのは晴輝。
雷哉は右手でドリブルをつく。上体はやや右…ディフェンスの晴輝から見れば左を向いている。
(…左にドライブ…と見せかけて)
晴輝はじっと雷哉を観察する。
雷哉は一瞬自分の左斜め前を見る。
(パス!と、見せかけての!)
雷哉は一気に身をかがめ、晴輝の左を抜き去ろうとする。
(思った通りや!)
これに反応し、雷哉と並走する晴輝…だが、
(こいつ…!速なっとる!)
驚く晴輝。しかし晴輝も負けていない。必死に食らいつく。
雷哉は晴輝を抜かしきれないものの、晴輝も雷哉を完全に防ぐ事ができない。
横並びのまま、雷哉は跳んだ。
(レイアップ…やけど…!)
本来、レイアップシュートは手をゴールリングの方向に伸ばすが、雷哉の手はリングの方向である左斜めでなく、前を向いている。
(レイアップというよりかはフックシュートや。ブロック対策やろうけど…)
晴輝は跳びながら手を伸ばす。
(ギリギリ届くか…)
その時。
晴輝の後ろから奏が手を伸ばしてきた。
「あっ!アホッ!」
晴輝が慌てて叫ぶが、もう既に奏は跳んでいた。
その瞬間、雷哉はボールを手元に戻し、下に向かって放る。
奏の股の下をボールが通る。
「しまった!」
そう叫んだ奏の後ろには、狼士がボールを待ち構えていた。
ボールを受け取った狼士がゴール下からのバンクシュートを決める。
「ナイシュー!狼士!」
「ナイスパス!雷哉!」
ハイタッチする狼士と雷哉。
「ごめん!」
申し訳なさそうに言う奏の背中を、晴輝はポンと叩いた。
「過ぎたことや。しゃーない。」
そう言って晴輝はドリブルをつきながらハーフラインを越えた。
「反撃や。」
さっきとは逆。晴輝にディフェンスをする雷哉。パス、シュート、ドライブのどれが来ても良いように、程よい距離感で守っている。
「行くで。」
晴輝はそう言うと左に身体を傾け、1回ドリブルをついた。
それに反応する雷哉。
瞬間、晴輝はドリブルをつきながら右に跳ぶ。
スリーポイントラインの後ろで着地する。
「スリーか!」
そう言って走る雷哉。
晴輝はそんな雷哉を見た後、
雷哉の股下にドリブルを通した。
「あーっ!」
あっさりと雷哉を抜いた晴輝はゴールに向かってドリブルしながら走る。
ゴール下には狼士がいるが、さっきの雷哉のプレーを思い出して、飛び出さない。
晴輝が上体を起こした。
(シュート!けど、パスも警戒!)
瞬間。
晴輝はボールを持ち、右に跳ぶ。
(ギャロップステップ![※2])
そう思った狼士は慌てて後ろを向くが、晴輝は両足で着地し、少し後ろに跳びながらゴール下のシュートを決める。
「よーっし!」
そう言ってガッツポーズをする晴輝。雷哉をチラリと見た。
「へっ。」
雷哉に向かって挑発的に笑う晴輝。
「コンニャロ…!」
そんな晴輝に、雷哉は対抗意識を燃やすのであった。
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「おいおい…Aチームのちっこいの、何やあのフェイク…!」
「Bチームのちっこいのも上手いし…あれで先月までミニバスやったんかよ…」
得点板係をする2年生が驚愕する。
「そらそうや。あいつらはただのミニバス経験者やない。去年の高羅台ミニは県内でも有数のチームやったからな!」
得点板係の2人に向かって自慢気に話すのは2年生の志藤 達哉。
彼もまた、玲達と同じミニバスに所属していた。
「それに…」
そう言って達哉はコートの外を見る。
「それに?」
得点板係の内の1人が聞くと、達哉は首を横に振った。
「…いや、もう少し経ったら分かるわ。」
「おい何やねん、教えろよー。」
「内緒や内緒。ネタバレはあかんからな。」
「何やねんネタバレって!」
2年生3人が試合を見ながら話している中、コートの外では、玲が体育座りで試合を見ていた。
「…俺も試合に出たい!」
そう言いながら玲はコートを羨ましそうに見つめるのであった…
達哉が、玲をチラリと見たのを知らずに…
次へ続く!
いきなりバチバチな展開…次回はどうなるんでしょうか…?
※1、5分-2分-5分は前半の試合時間が5分、休憩が2分、後半の試合時間が5分。流しは、本来タイマーが止まる状況(例えば、ボールがコート外の床に触れること)でも、タイマーを止めずにいること。
※2、ボールをアーチ状に動かしながら進行方向に跳び、両足で着地するステップ。ヘルプディフェンスが来た時に使う事が多い。今回みたいに相手が1人でも使うよ!




