表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LEGEND SPIRIT 〜後に伝説と呼ばれる者たち〜  作者: ゆに


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/54

51話 バスケットボール

 バスケットボールを初めて手にしたのは、二歳の頃だった。


 物心がつく前から、俺の人生にはバスケットボールがあった。


 転んではボールを追いかけ、泣いてもまた拾い上げる。そんな毎日を積み重ねてきた。


 そして今――。


 俺はバスケットコートの上に立っている。


 中学最後の大会。


 中学校総合体育大会――中体連。


 負ければ終わり。勝てば県大会へと進める、絶対に落とせない一戦だった。


「日和!こっちだ!俺がシュートを決めてやる!」


 味方の声が体育館に響く。


「あぁ!任せたぞ!」


 俺は迷いなくパスを送り出した。


 ボールは美しい放物線を描き、リングへ吸い込まれる。


 ネットが揺れた。


「よしっ!」


「もう一本決めるぞ!」


「いい感じだ……この調子なら」


 スコアボードへ視線を向ける。


 26対20。


 上栖鳥中学校が六点リードしていた。


「勝てるぞ」


「まずはディフェンス!しっかり止めるぞ!」


「おー!」


 全員の声が一つになる。


 このチームならいける。


 そう思えた。


     ◇


 観客席では、試合を見守る人々が静かに言葉を交わしていた。


「元気なチームですね」


「ええ。特に5番の彼。ちゃんとチームを引っ張っているわ」


     ◇


「よし!」


 相手のパスコースを読み切り、ボールを奪う。


「みんな!上がれ!」


 俺の掛け声と同時に、味方が一斉に走り出した。


「させるかよ!」


 相手ディフェンダーが素早く立ちはだかる。


「さすが守りのチーム……戻りが速い」


 だが、それくらいで止まるわけにはいかない。


 俺はリズムを変えながらドリブルを刻み、一瞬の隙を突いて相手を抜き去った。


「なっ!?」


「行くぞ!スパイラルだ!」


 合図とともに、二人のセンターがゴール下へ走る。


 さらにもう一人がスクリーンに入り、相手のマークを完璧に外した。


「頼む!」


 フリーになったセンターへ、ノールックでパスを送る。


「敵がいない……今ならいける!」


 ゴールへ一直線。


 しかし最後の一人が立ちはだかった。


「させるか!」


 それでも味方は慌てない。


 体を反転させ、そのままバックレイアップ。


 ボールはバックボードに当たり、リングへ吸い込まれた。


 ピッ――。


 得点が認められる。


「ナイス!」


 思わず拳を握る。


 この流れなら勝てる。


 このまま県大会へ。


 もっと先へ。


 俺たちの未来は、希望で満ちている――そう信じていた。


 だが、その瞬間だった。


「きゃああああああっ!!」


 体育館の外からなのか、それとも遠くの観客席からなのか。


 高い悲鳴が、かすかに耳へ届いた。


 ほんの一瞬。


 それでも、確かに聞こえた。


 俺の足が止まる。


 視線が揺れる。


 胸の奥がざわついた。


(……何だ?)


 嫌な予感だけが、心を締めつける。


「どうしたらいいんだ……」


 誰にも届かないほど小さな声が、日和の唇からこぼれ落ちた。

遅くなってすみません。

バスケ回です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ