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LEGEND SPIRIT 〜後に伝説と呼ばれる者たち〜  作者: ゆに


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23話 爆弾魔(平柳家侵入編)

――屋敷内。

遠くから、鈍く重い爆発音が響いてくる。


「おー、爆発音が鳴ってるな。」


悠尋は耳を澄ましながら、どこか余裕のある口調で言った。


「どうやら誰かが“爆竹”と戦ってるらしい。」


その向かいに立つ男――平柳家の当主は、わずかに目を細める。


「そうみたいですね。」

「知ってますか?あなた、かなり悪評が立ってるんですよ。」

「へえ。」


男は肩をすくめた。


「外の情報は遮断しているので、知りませんね。」

「国もあなたの確保に動いてるみたいですけどね。どうも“爆弾魔”のせいで、うまくいってないらしい。」

「ほう。」


わずかに興味を示すように、男は微笑む。


「それはいったい、どんな方なのでしょうか。」


悠尋の視線が鋭くなる。


「……今回で終わらせますよ。」


空気が張り詰めた。


「あなたの悪事の全て――あなたごと、牢獄にぶち込ませてもらいます。」


男はただ、静かに笑っていた。


――一方その頃。


「弘明、よく聞けよ。」


日和の声が、戦場の空気を引き締める。


「奴はかなり危険なやつだ。様々なやり方で爆弾を使ってくる。」

「名前の通りのやつだな……」

「ちょっとした情報だ。」


そう言いながら、日和は指を立てる。


「爆弾の種類は一つじゃない。

爆発の仕方も違う。形や柄で見極めろ。」

「え、それ“ちょっとした”ってレベル?」


弘明が思わず突っ込む。


「一番大事な情報じゃない?」

「時間差で爆発。衝撃で爆発。とにかく複数ある。」

「……スルーか。」


小さく息を吐き、弘明は前を見据えた。


「でもまあ、やるしかないか。妹のためにもな。」


日和は何も言わず、ただ頷いた。


「なんかさっきの奴より気迫がねーやつが来たな!」


爆竹の手にはすでに、危険な気配を纏った爆弾が握られている。


「煽りかな。」


弘明は構えながら、静かに返す。


「言っとくけど――俺はここにいる誰よりも、“守ること”に長けてる。」


その眼差しが、鋭く光る。


「お前の攻撃なんて、効かないんだよ。」

「いいねえ、そういうの!」


爆竹が笑い、腕を振り上げる。


「さっさと日菜乃を取り返して、家に帰る!」


その言葉と同時に――爆弾が投げられた。


「弘明!それは時間差だ!」

「わかった!」


地面を蹴り、爆弾をかわす。


「やんじゃねーの。ならこいつはどうだ!」


今度は二つ。


「さっき言った二つだ!」

「時間差と衝撃……!」


飛来する軌道を見極める。


(こっちは時間差……なら――)


一瞬の判断で、弘明は“衝撃型”の爆弾を掴み取った。


「はぁ!?飛んでくる爆弾掴むやつがいるか普通!?」

「今度はこっちの番だ!」


そのまま投げ返す。


「まじかよ……でもな!」


爆竹がニヤリと笑う。


「初心者の扱う爆弾なんて、対処は簡単だ!」


飛来する爆弾に、別の爆弾をぶつける。

空中で激しく炸裂した。


「ダイナマイト同士、打ち消し合うしかねーよ!」

「いや、それ打ち消してない。火力上がってる。」

「残念!」


次の瞬間、別の爆弾が弘明の目前に飛び込む。


「なっ……!?」


咄嗟に剣で受ける――が、爆発。


「ぐっ……!」


後退しながらも、膝はつかない。


「お!立ってるじゃねえか!なんつー耐久力だ!」

「言っただろ。」


弘明はゆっくりと顔を上げる。


「守ることに長けてるってな。」


次の瞬間、一気に距離を詰める。


「それだけじゃない!」


鋭い斬撃が、爆竹を捉えた。


「ぐっ……!なんつーパワーだ……!」


よろめきながらも、爆竹は笑う。


「ダイナミックなタンカーって感じだな……!」

「あぁそうだよ。」


弘明の声は低い。


「妹を連れて帰る。」


その時――


「なあ、弘明。」


日和の声が割り込む。


「“守る”って、ちゃんと言えよ。」


一瞬、弘明の動きが止まる。


「取り返すだの、連れて帰るだの……なんか隠してるみたいで変だぞ。」


静かに、核心を突く。


「一度も“守る”って言ってない。」

「……守れなかったんだよ。」


絞り出すような声だった。


「誘拐されて……何もできなかった。」


拳が震える。


「今さら後悔しても遅い。だから……連れて帰るんだ。」

「でもさ。」


日和は一歩前に出る。


「それだけ必死になるのは、大事だからだろ。」


弘明は目を伏せた。


「大事なのに……勝手に“大丈夫だ”って思って……放っておいて……」


かすれる声。


「ほんと、最低な兄だ。」

「まあ、兄妹なんてそんなもんだろ。」


あっさりとした口調だった。


「ずっと考えてるわけじゃない。ふと思い出す存在だ。」

「……そうだな。」


「でもな。」


日和は笑った。


「その“ふとした瞬間”に、守りたいって思えるなら――十分、兄貴してるよ。俺にはできなかった。」


沈黙。


やがて、弘明は小さく息を吐いた。


「……大事に思ってる。」


ぽつりと呟く。


「恥ずかしいから、言えないけど……心の底から。」


顔を上げる。


「だから――勝たなきゃ、だよね。」

「俺を使うか?」

「いや。」


首を振る。


「援護だけ頼むよ。これは――俺の戦いだ。」


日和は微笑んだ。


「分かった。」

「なんだこいつら……!」


焦れた爆竹が、爆弾を投げる。


「初めて見るやつだ!気をつけろ!」


その瞬間――


日和の剣が、一直線に飛ぶ。


爆竹の肩に突き刺さった。


「くっそ……援護ってレベルじゃねえだろ……!」


足元に、見慣れない爆弾が転がる。


「……爆発しない?」

「なら今だ!」

「言っとくけどな。」


爆竹が歪んだ笑みを浮かべる。


「そいつは“最大火力”だ。」

「なら――」


弘明は踏み込んだ。


「その最大火力、力に変える!」

「なに……!?」


次の瞬間。


爆風が、弘明の背を強く押した。


「俺の力は、それなりに強い……!」


風を裂く速度で加速する。


「そこに速さが加われば!」


一閃。


爆竹の体が大きく揺らぐ。


「お前なんかに――負けない。」

「ぐっ……!」


ついに膝をつく爆竹。


「お前……何者だ……」


弘明は、まっすぐに答えた。


「俺たちは――」

次回 『伝説のダイナミックタンカー』

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