22話 守ること。(平柳家侵入編)
前回の後書きネタ分かったかなあ。
そんなこんなで会話劇から作り始めたんで、キャラクターが喋ってばっかりだけど、ぜひ、最後までお付き合いくださいな。
「君と話してて、俺もとある人を思い浮かべてしまったよ。それじゃあね。」
そう言い残し、琉妃は静かに部屋を後にした。
「……とある人?」
ぽつりと呟いた圭に、すぐさま周囲の者たちが詰め寄る。
「どういうおつもりですか!?」
圭は視線を扉へ向けたまま、穏やかに答えた。
「あの人は、僕の過ちを否定しませんでした。」
その声には、どこか安堵のようなものが滲んでいた。
「正しくあるべき道も教えてくれた。悪い人じゃなかった。それだけだよ。」
ざわついていた空気が、わずかに静まる。
――一方その頃、平柳家の庭では。
「あれ、あそこにいるのって……」
物陰に潜んでいた珠架の姿に、敵の一人が気づいた。
「おーい!侵入者がいるぞ!女だ女!」
「あ、見つかっちゃった……」
慌てて身を引こうとする珠架。しかし、敵はすでに距離を詰めていた。
その瞬間——
「させるかよ!」
鋭い一閃が走り、敵が崩れ落ちる。
「だから全員、先に進むなって思ったんだよ。」
刀を振り払った俊音が、少し苛立ったように言う。
「予感的中だね。」
その隣で、空介が淡々と続けた。
「助けてくれてありがとね……!」
ほっとしたように笑う威武菜に、空介は少しだけ眉を下げる。
「なしゅか。こういう危険な場所に、無理に来なくてもいいんだよ。」
「ごめんね。でも私は——」
胸元のカメラをぎゅっと握る。
「みんなのことを見たい。この大切なカメラで、みんなのことを撮りたいの。」
一瞬言葉を詰まらせ、視線を落とす。
「だけど……やっぱり、邪魔になってるよね……」
「いんや?」
即座に否定したのは俊音だった。
「俺たちが守ってやればいいんだ。」
「だからそれが……」
何か言いかけた空介を遮るように、珠架は顔を上げる。
「これからは、もっともーっと気をつけるね!」
その明るさに、空介は小さく息をついた。
「……まあ、いっか。」
その時だった。
ぞろぞろと、人影が集まり始める。
「さっきのやつが叫んだからな。敵がわんさか来やがった。」
俊音が肩を回しながら呟く。
「まあ、やることは一つだね。」
空介は静かに構えた。
「なしゅかを守ること。」
「あぁ。違いないな。」
敵の一人が前に出る。
「とにかくお前たちを倒さないと、俺らの勝ちにならないからな。」
次の瞬間——
大群が一斉に襲いかかった。
だが。
「悪く思うなよ。」
俊音の低い声と同時に、風のような斬撃が駆け抜ける。
続くように、空介の一撃が正確に敵を沈めていく。
ほんの数秒後。
立っているのは、三人だけだった。
「す、すごい……」
珠架が目を見開く。
「やるじゃねーか、空介も。」
「俊音こそ。どんどん速くなってるね。余計に追いつけなさそうだよ。」
「褒めてくれてせんきゅーな!」
軽口を叩く俊音に、珠架は笑顔を取り戻す。
「2人ともありがとう!」
「いーや全然!」
「気にすんなって!」
その時、奥から走ってくる影が一つ。
「——あれ、2人とも。なしゅかも。何やってるの?」
琉妃だった。
「何って、お前らがさっさと先行くから、俺らがなしゅか守ってたんだろーが。」
「俊音も行こうとしてたんだけどね。俺が止めてよかった……」
「空介なら一人でも大丈夫でしょ。強いし。」
さらっと言う琉妃に、俊音が呆れたように肩をすくめる。
「ま、なしゅかを置いていくなってことだ!」
「なしゅかちゃんを守ってくれてありがとね。」
「いいけどさ。」
空介が琉妃を見やる。
「で、何か収穫あったの?」
琉妃は少しだけ間を置いて、にやりと笑った。
「うん。あったよ。」
「世界のお茶は美味しいってことを知った。」
「お前何してたんだよ……」
俊音のツッコミが即座に飛ぶ。
「ちゃんと会ってきたよ。この戦いの原点の男の子に。」
その一言で、空気が変わる。
「……やっぱり悪人?」
空介の問いに、琉妃は首を横に振った。
「いや。不器用で、初めて恋しただけの男の子だった。」
少しだけ、優しい声になる。
「決して悪い子じゃなかったよ。むしろ——俺の命を守ってくれた。」
「じゃあ……この戦いの元凶って……」
俊音が眉をひそめる。
琉妃はあっさりと言った。
「あの子のパパ。」
一拍置いて、軽く笑う。
「パパ柳、だね。」
「あー……」
俊音が納得したように息を吐く。
「何かと悪名ついてたもんな。」
「……弘明、大丈夫なのだろうか……」
空介の呟きが、静かに庭へと落ちた。
戦いの中心へと向かっていく仲間の姿を思い浮かべながら——。
さて次回は『爆弾魔』です。
よろしくお願いします。




