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LEGEND SPIRIT 〜後に伝説と呼ばれる者たち〜  作者: ゆに


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20話 Awkward lonely(平柳家侵入編)

重い門が力任せにこじ開けられる。

軋む音と共に、平柳家の敷地へと踏み込んだ。


「うっわ!ひっろ!」


俊音が思わず声を上げる。


「広すぎるね……。」


琉妃も周囲を見渡し、呆れたように呟いた。


「ちょっとした施設レベルだよ。これ…。」


空介が苦笑する。

その中心で、弘明は静かに敷地を見据えていた。


「ここが平柳家……。」


敷地の奥から1人の男が歩いてくる。


「まさか、門を壊して入ってくるとはね。」


奥から現れたのはこの男、平柳家の当主だった。


「さっきの声……!」

「やあやあよく来たね。」


穏やかな笑み。

しかし、その奥にあるものは明らかに異質だった。


「妹はどこにいる!」

「妹?なんの話かな?」

「さっき声が聞こえた!ここにいるのは分かってる!」

「もしかして、この子のことかな?」


平柳家当主は『堅日菜乃』と書かれた生徒手帳をひらひらと見せる。


「それは日菜乃の……!」

「君の妹だったとは。失敬失敬。

確かにここにいてもらっているよ。」

「連れて帰る。どこにいる!」

「さあね、しらないな。」

「タチ悪すぎだろ、オッサン。」


日和が舌打ち混じりに吐き捨てる。

平柳家当主は肩をすくめた。


「そんなに連れて帰りたいなら……奪い返してみなさい。」


空気が凍った。


「ふざけるな!俺は兄だぞ!」


弘明の声が、広い敷地内に響く。


「日菜乃の兄として、妹を連れて帰る!」

「君は本当に"兄"かな?」


その一言で空気が変わる。


「何が言いたい。」

「あの子の気持ちを理解しているのかい?

あの子は不幸せだ。

だから、うちで幸せにしてあげる。」

「勝手に決めつけるな。」


低く、しかしはっきりとした声。


「日菜乃は……俺が連れて帰る。

居場所を隠すなら、敷地中探す。」

「ならばこちらも抵抗しよう。」

「構わない。何が何でも奪い返す。」


悠尋が前に出てくる。


「最後まで付き合うって言ったからな。」

「悠尋……。」


その瞬間。

空気を裂くように、何かが飛来した。


「っ!」


日和が反応し、一閃。

爆弾が、真っ二つに斬り裂かれる。


「誰だ!」

「戦うんだろ?早くやろうぜ。」


煙の向こうで、男が笑っていた。


「彼は爆竹健也ばくちけんや

まあ、ちょっとした爆弾魔だ。」

「"ちょっと"で済むのかなあ。」


琉妃が苦笑する。


「では、ルールを決めよう。」


当主が大きく手を広げた。


「君たち6人対、こちらの雇用者と爆竹健也。」

「人数差ありすぎだろ。」

「だから条件をつける。」


ニヤリと笑う。


「爆竹健也1人倒せば、君の妹は連れて帰ってもいい。

その代わり……他の者たちが全力で邪魔をする。」

「どうする?」


空介が小さな声で問う。


「勝てば救える。でも負けたら……。」

「関係ない。」


弘明は即答した。


「あいつ1人倒せばいいんだろ。」

「やるしかねえな。」

「……うん。」


平柳家当主が手を叩く。


「では、開始だ。」

「絶対に見つけにこいよ!」


爆竹が笑いながら敷地内の奥へと走り去る。

次の瞬間、無数の足音が聞こえた。

四方八方から敵が押し寄せる。


「うぉお、多すぎだろ!」

「行くぞ、弘明!」

「もちろん。」


全員が敵と戦い出した。


「弘明!道は俺らが作る!」


日和の叫び。


「お前は先に行け!」

「分かった……ここは頼む…!」


仲間たちが一斉に動く。

敵を薙ぎ払い、道を切り開く。


「先に待ってるから!」


弘明は1人、屋敷の奥へと駆け出した。


「みんな、手分けするぞ!」

「了解!」


戦いの音が、屋敷中に広がる。


ーーその頃


「日菜乃……どこだ!」


襖を開ける。

違う。

また開ける。

違う。


「くそっ……!」


走る。走る。だがーー

廊下はやけに長く、距離感が狂っているようだった。


「……なんでだよ……」


 胸の奥が、じわりと痛む。


「こんなことになるなら……ちゃんと顔、見ておけばよかった……」


 ふと、仲間の顔が浮かぶ。


 そして――


「……やっと分かったよ」


 小さく呟く。


「俺……ちゃんと、大切に思ってたんだな……」


 ――一方、その頃。


「お前が爆竹か」

「お、来たな。でも一人かよ」


 日和は静かに構える。


「……なんで弘明、先に戦ってなかったんだよ」

「無視かよ」

「お前なんか、一人で十分だ」

「強がりはお互い様だな」

「さっさと妹、返してもらう」

「それは勝ってからだ」

「分かってる」


 次の瞬間、斬撃。

 同時に、煙幕が広がる。


「っ……見えねぇ!」


 ――爆発。


「くっ……!」

「やっぱ慣れてねえな、爆弾に」

「慣れてたまるか」

「勝ちは見えたな」

「……どうかな!」


 煙の中を切り裂き、日和が踏み込む。


「ぐっ……!」

「臆さねえのかよ……!」

「これでどうだ!」


 爆弾が投げられる。


「こんなもん――!」


 斬る。


「それ、衝撃で爆発するぞ」


 ――轟音。


「っ……!」


 爆風に飲まれる。

 だがその中で――


「当たってるぞ」


 剣が、爆竹を捉えていた。


「……煙幕、味方にできてねえな」


「くそ……!」

「勝ちは見えてる」

「ナメんなよ!」


 無数の爆弾が宙を舞う。


「当たんなきゃ意味ねえ!」

「当たるぜ。その動き」


 背後に回り込む爆弾。


「やば――」


 その瞬間。

 日和は一つを掴み

 爆発を利用し、一気に間合いを詰める。


「どうだ!」


 連続する爆発。


「……自己犠牲かよ」

「違うな」


「仲間が来る時間、稼いだだけだ」

「……面白えじゃねえか」


 さらに爆弾が四方へ放たれる。


「これで終わりだ!」

「ああ……何もしなけりゃな」

「でもな」


 日和は、静かに笑った。


「一人、先に行かせた奴がいる」


 ――次の瞬間。

 迫る爆弾が、すべて弾き飛ばされる。


「なっ……!?」


 煙の中から現れたのは――


「ありがとう、日和」


 剣を構えた、弘明だった。


「礼はいらないさ」


 日和が口元を歪める。


「……ここからが本番だろ?」


な、な、なんと。堅弘明くんとうじょー!


次回 『高級茶会』

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