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LEGEND SPIRIT 〜後に伝説と呼ばれる者たち〜  作者: ゆに


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19話 平柳家(平柳家侵入編)

皆さん。キャラクターの名前、覚えましたよね?

今回からは、名前の読み方はつかないので、よろしくお願いします。

車内の窓越しに、1人の少年が外を眺めていた。

ふと、その視線が止まる。


「わぁ……可愛い女の子……。」


少年はぽつりと呟いた。


――――――――――


その頃


「今日はお兄ちゃん帰ってくるのかな…?」


学校から帰宅中の少女は、小さく呟いた。


「いっつも1人は寂しいんだよね……。」


少しだけ沈んだ表情。

しかしすぐに、『ぱんっ』と軽く自分の頬を叩く。


「なーんて、そんな弱音はダメだよね!

家事、頑張らなきゃ。」


そう言いながらも、手に取ったスマートフォンを見つめる。


「でも……メールだけでも。」


短いメッセージを打ち、送信した。


――――――――――


その頃、宮地宅では


「あれ、誰かメール来たよ?誰のケータイ?」


珠架が声を上げる。


「俺のだ。」


その携帯を手に取ったのは『堅弘明』だった。

テーブルの上からスマートフォンを取り、画面を確認した。


「……日菜乃ひなのからだ。」

「妹ちゃん?いるって言ってたよね。」


琉妃が覗き込む。

弘明は一瞬だけ表情を緩めたが、すぐに淡々と打ち返す。


「……ごめんな。今日も帰ってやれそうにない。」

「たまには帰ってあげなよー。寂しいんじゃないの?」

「いや、あいつはしっかりしてるから。

大丈夫だよ。」


軽く笑う弘明に琉妃は少しだけ意味深な視線を送る。


「んー、本当かなぁ。」


――――――――――


返信を受け取った日菜乃は、ほんの少しだけ目を伏せた。


「そっか。今日も帰ってこないんだ。」


それでもすぐに顔を上げる。


「よし、今日も頑張ろ。」


その背中は小さくても、どこか強かった。


――――――――――


その夜


ねえ、今日すっごく可愛い女の子を見たんだ。」


食卓で興奮気味に話す少年。

平柳家の一人息子『平柳圭ひらやなぎけい』。


「僕、一目惚れしちゃった!」

「そうか。」


向かいに座る父親は、静かに頷いた。


「欲しいものは何がなんでも手に入れる。

それが平柳家だ。任せなさい。」

「うん!」


圭は、何もわかっていないかのような、元気で明るい返事をした。

その会話はあまりにも自然で、でもどこか、歪んだ空気を感じる。




ーー翌日、放課後。


「んっ……!」


突然、背後から口を塞がれた、日菜乃の視界が揺れる。


「まあまあ、落ち着きなって。

怖いことはしないからさ。」


耳元で軽い声が囁く。


「んっ……!」


抵抗する日菜乃。

そのポケットの中で、携帯が鳴り続いていた。




ーー同時刻。


「あれ、繋がらないな。」


弘明は眉をひそめる。


「どうした?」

「妹に電話してるんだけど……。」


バタバタと音を立てて、日和が飛び込んでくる。


「おい弘明!

お前の妹……あの成績トップの高身長の子!」

「そうだけど。」

「あの子、平柳家に入っていくのを見たぞ。

知り合いか?」


その言葉に、場の表情が一瞬で変わる。


「平柳家って……評判悪いところだよな。」

「しかも、ちょっと無理やりっぽかったぞ。」

「まじかよ……。」


悠尋が低く呟く。

弘明は一瞬黙り込み、そして答えた。


「わからない。」


――――――――――


平柳家では


「やあやあ、よくきたね。」


豪華な室内。穏やかな声とは裏腹に、空気は重い。

父親は、日菜乃の生徒手帳を取り上げる。


「返して…!」

「堅日菜乃。いい名前だ。」

「なんなんですか…あなた…!」

「簡単な話だよ。

今日から私の息子と交際してもらう。」

「お断りします。」


即答だった。


「断れないよ。これは命令だからね。」


鋭い視線で睨み返す日菜乃。

その横で、軽い調子の男が肩をすくめる。


「観念しなよ。お金持ちの息子だぜ?

楽できる人生だ。」

「そんなの、望みません。」

「……好きにしなよ。でもさ。」


男は小さく笑った。


「ここの当主、めちゃくちゃ性格悪いから気をつけなよ。」

「おやおや爆竹ばくちくん。それは雇い主に対する言葉かな?」

「はいはい、すみませんね。」


――――――――――


その頃、平柳家の門前。


「来ちまったな。」


弘明が呟くと、横には仲間たちが並んでいた。


「ついてこなくてよかったのに。」

「何言ってんだよ!」


俊音が笑う。


「お前の妹、見に来たんだよ!」

「あぁそう…。」


半ば呆れながら、弘明はインターホンを押した。


「はい。」

「堅弘明と申します。妹がそちらに来ていませんか?」

「いえ、来ていませんが……。」


その瞬間。


『早くここから帰して!』


確かに聞こえた。


「今、妹の声が……。」

「気のせいですよ。」


ブツッと通信が切れる。


「どうする?」


空介が静かに問う。


「乗り込む?」

「大胆だな。」


日和が苦笑する。


「不法侵入だけどな……。」


弘明は門を見つめた。


「でもあれは、完全に誘拐だよね。」


琉妃の一言に、全員が頷く。


「何かあってからじゃ遅い。」


悠尋の一言が背中を押した。


「……分かった。俺が行くよ。

これは俺の問題だからね。」

「は?」


俊音が即答する。


「俺らも行くに決まったんだろ。」

「仲間だからね。」


空介も続く。

弘明は一瞬だけ目を閉じ、そして小さく笑った。


「……ありがとう。」


次の瞬間。

重い門が、力任せにこじ開けられた。

静まり返った屋敷へ、彼らは踏み込んで行く。

次回 『Awkward lonely』

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