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LEGEND SPIRIT 〜後に伝説と呼ばれる者たち〜  作者: ゆに


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18話 鴉の恩返し

どうもどうも。ゆにですけども。

こちら、鴉の恩返しが始まります。

是非是非読んでいってください。

「あいつの会いに行く爺さんなら、俺は知っている。」


節理せつりの一言に、悠尋ゆひろは思わず声を上げる。


「え!?」

「俺のおじいちゃんだよ。」


あまりにもあっさりとした答えだった。


「でもな……もう最近は寝たきりだ。

言葉も話せねえし、体も動かせねえ。

……多分、自分が誰なのかも分かっていない。

もう100歳近いし、仕方ない事なんだがな。」


その声には、さっきまでの豪快さはなかった。


「どうして言わなかったんですか?」

「……見せたくなかったんだよ。」


節理せつりは小さく目を伏せる。


「変わっちまったおじいちゃんをあいつに。

……きっとがっかりする。」


その言葉を、空介くうすけが否定する。


「そんなことありません。」


優しく、しかしはっきりと。


「人にはそれぞれ運命があります。

どんな姿であっても、一目会いたいものですよ。」

「…。」

「心の底から感謝を伝えたいって想いは、止められるものじゃないですから。」


節理せつりは少しだけ息を吐きーー


「そうか……そうだよな。」


ようやく前を向いた。


――――――――――


その頃、クロは


「どこだ……どこだ爺さん!」


夕日が沈みかかる中、クロは街を駆け回っていた。


「返事してくれよ……。」


足を止め、周囲を見渡す。


「どこにいんだよ……爺さん。」

「名前も呼ばずに出てくるかよ。」


背後から聞こえた声に、クロが振り返る。


「……節理。」

「もう時間切れか、って顔してんな。」

「……あぁ。」

「安心しろ。アディショナルタイムだ。」


節理せつりがニヤリと笑う


「会いてえんだろ。合わせてやる。」

「……居場所、知ってんのか?」

「あぁ、俺のおじいちゃんだからな。」

「なっ……!」


クロの目が大きく見開かれる。


「悪かったな。怖かったんだよ。」


節理せつりは正直に言った。


「お前におじいちゃんを見せるのが。

おじいちゃんの変わっちまった姿を見せるのが。」

「それでもいい。」


クロは即答した。


「会わせてくれ。」

「……あぁ、行こうか。」


――――――――――


2人は並んで歩いた。


「お前にとっておじいちゃんはどんな存在だ?」


節理せつりが何気なく聞く。


「恩人だ。」


迷いのない答えだった。


「俺にもう一度、空を飛ぶ力をくれた。

……礼を言いてぇ。恩を返してぇ。」

「なら、ちゃんと伝えてこい。」


節理せつりは前を見たまま言う。


「それが一番の恩返しだ。」

「あぁ、分かってる。」


――――――――――


病室の中

静かな空気の中、クロはベッドに近づいた。


「……爺さん。」


細くなった体に、そっと手を触れる。


「見えてるか?……久しぶりだな。」

「内出血するからあんま力入れんなよ。

あと皮膚も弱ってるから、剥離しやすい。

気をつけろよ。」

「おう。」


クロは深く息を吸いーー


「聞こえてるか?」


ゆっくりと言葉を紡ぐ。


「俺だ。鴉だ。覚えてるか?」


返事はない。

それでも続けた。


「俺はあんたに救われたんだ。

覚えてるか?落ちぶれてた俺に、『羽を動かしてやる。空に戻って生きろ』って言ってくれた。」


声が少し震える。


「そのおかげで、俺は今も空を飛んでいる。」


ぎゅっと拳を握る。


「だからな……感謝してもしきれねぇ。」


そしてまっすぐに言った。


「ありがとな。」


その隣で、節理せつりも口を開く。


「おじいちゃん。」


どこか照れくさそうに言う。


「ガキの頃から、よく面倒見てくれたよな。

宿題もしないで、機械ばっかいじくり回してた俺をさ。」


少しだけ目を細める。


「それでも、ずっと隣で笑ってくれてた。」


静かに言葉を置く。


「俺も……感謝しきれねえんだ。」


小さく息を吐く。


「ありがとうな。」


沈黙が続く。

クロがポツリと言った。


「お前も礼を言いたかったんだな。」

「あぁ、迷惑かけっぱなしだったからな。」

「いい爺さんだな。」

「……あぁ。昔からな。」


2人はゆっくりと病室を後にした。

その背後でーー

ベッドの上の老人の口元が、ほんのわずかに緩んだ。


――――――――――


その後2人は、節理せつりの家へ帰宅した。


「早く戻してくれ!」


クロが勢いよく言う。


「なんだよお前!

さっきまで戻すなって言ってただろ!」

「いいから早く!」

「はいはい。その前に。」


節理せつりがクロの足に、糸を巻く。


「なんだこれ。」

「目印だ。お前が来たって、すぐに気づけるように。」


節理せつりは微笑んだ。


「じゃあ、準備はいいか!」

「おう!」

「じゃあいくぞ!」


機械が起動し、光が広がる。

クロは周囲を見渡し、静かに呟いた。


「これで……また鴉だな。」

「あぁ。」


短い沈黙。


「なあ節理せつり。」

「ん?」

「爺さんに会わせてくれて、ありがとな。」


素直な言葉だった。


「俺も礼を言うことができた。

こっちこそ感謝だ。」


節理せつりは笑う。


「鴉のクロ。」

「あぁ。」


クロも笑った。


「またな。」

「あぁ。」


次の瞬間ーー


クロの体が光に包まれ、それは小さな、黒い翼へと変わった。

羽ばたきと共に、空へと舞い上がった。


高く、高く。

自由に。

それを見上げながら、節理せつりはポツリと呟く。


「……たまには失敗も悪くねえな。」


そして、家の方へ足を向ける。


「さてと。」


口元に笑みを浮かべる。


「俺も頑張るか……次は絶対に成功させる。」


節理さん。

何やら出番が多そうな人ですね。


次回予告


車の中にて、

「わぁ…可愛い女の子。」

「じゃあ私が、あの子を手の物にしてあげよう。」

「どう言うこと?」

「欲しいものは何がなんでも手に入れる。それが私たち『平柳家』だ。」


平柳家侵入編 開幕

次回 『平柳家』

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