セレナの仕事仲間
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一方その頃、セレナは森の中で仕事仲間と共に大きな狼のような魔物ダイヤウルフの群れと対峙していた。
「ここから先は通さないぜ!」
「ガルルルゥ!!」
剣を構えて待ち受ける若い男に、ダイヤウルフの一頭が突っ込んでく。
「そらあ!!」
男の剣一振りでダイヤウルフが切り裂かれて、瞬時に絶命。
「ガフゥ!!」
「ガアアア!!」
そんな男に左右から飛びかかろうとしたダイヤウルフ二頭を、後方のセレナが弓矢で一度に双方の脳天を射抜いた。
「サンキュー、セレナ!」
「あんまり余裕をかまさないでよね、アッシュ!」
「敵はまだいるっす、油断は禁物っすよ!」
アッシュと呼ばれた男とセレナの間で顔を半分包帯で隠した少年の言う通りダイヤウルフの群れはまだ大きく、揃いも揃って牙を剥いて臨戦態勢である。
「ガルルルゥ……!」
「ねえねえラルン、殲滅魔法の準備はまだなの~!?」
「今準備しているところだルン、もう少しだけ待てルン!」
一番後方ではラルンと呼ばれたとんがり帽子の少女が杖を構え、複雑な魔法陣を形作っている最中だ。
「それなら俺らがまだまだ時間稼ぎしねえとだよなあ! クーガ、セレナ、ここが正念場だぜ!」
「そういうことなら任せるっす、アッシュ!」
「みんな、行くよ!」
セレナの号令で、セレナたち一行はダイヤウルフの群れに立ち向かう。
「ストライク・ショット!」
「ギャアアアアン!!」
セレナの放った矢がダイヤウルフの肉体を貫通し、次々と対象を射抜いていく。
「サンダー・セイバー!!」
「ギャイイイン!!」
アッシュの剣が雷電をまとい、ダイヤウルフを一気に両断。
「……クイック・スラッシュ」
クーガが素早くナイフを振るい、ダイヤウルフに断末魔をあげることも許さずその喉元を切り裂く。
そしてその後方ではラルンが足元に黄色く大きな魔法陣を展開していた。
「お待たせしたルン! ――グランド・アンガー!!」
そう叫ぶや否やラルンの足元から巨大な土の豪腕が伸びて、残っていたダイヤウルフたちをまとめて叩き潰した。
「――これで全部みたいっすね」
「やったね! いえーい!!」
討伐を終えたところでセレナが仲間たちと次々にハイタッチを交わす。
全てのダイヤウルフを討伐する頃には、辺りはもう夕焼けになっていた。
「にしても、今回も結構な数だったよな。ま、俺らにはラクショーだけどよお」
今回の成果を前に鼻高々でふんぞり返るアッシュに、セレナとラルンが口を尖らせる。
「そうやって驕るの良くないと思うよ~?」
「そうだルン! 魔物はどんどん数が増えている、油断は禁物だルン!」
「――まあまあ、今回も無事に達成できたんだからそれでいいじゃないっすか」
女子二人をなだめるクーガは、もう既にダイヤウルフの額についていた魔結晶の摘出を終えていた。
そんな彼はふとこんなことを口にする。
「こんな噂聞いたっすか? 最近あちこちでレインボーフェニックスが目撃されてるって」
「レインボーフェニックスって、羽ばたきだけで森を焼き払うことができる、危険度の高い魔物だルン! まさかそんなものが……!」
「面白え、そんなやつがいるならすぐにでも戦ってみたいぜ!」
噂を聞いて顔を青くするラルンに対して、逆に喧嘩上等といった感じで拳を打ち合わせるアッシュ。
「アッシュはあんなこと言ってるけど、そんなヤバい奴は出会わないに越したことはないよねっ」
「全くだルン」
そんなことを話しながら一行はアトラスシティーに戻り、冒険者ギルドで魔結晶を提出する。
「はい、確かにダイヤウルフの魔結晶ですね。お仕事お疲れさまでした!」
ニコニコしながらセレナたちの労を労うのは、悠希もお世話になってる受付嬢のコレットだ。
そんな彼女に魔結晶を提出した後、セレナたちは次の依頼を確かめに掲示板へ足を運ぶ。
「掲示板も魔物の討伐でいっぱいっす」
「ホント、いつになったら魔物たちはおとなしくなるんだろうね~」
深くため息をつくセレナ、そんな彼女の肩に馴れ馴れしく腕をかけたのはアッシュだ。
「今回の仕事も片付いたんだ、この後飯にしよーぜ?」
「……まーた始まったルン」
セレナを口説き始めたアッシュに、ラルンは冷ややかな目を向ける。
「悪いけど家で可愛い子たちが待ってるから、また今度ねっ」
ウインクしたセレナは、アッシュを軽くあしらって風のようにギルドを出ていった。
「ちっ、セレナのやつ最近つれねーよなあ」
「もう脈なんてないんだからいい加減諦めろルン」
「――今なんつった?」
「なんでもないルン」
アッシュがギロりとにらみつけるも、ラルンは素っ気なくそっぽを向く。
「それじゃあみんな解散ということでっ」
「いち抜けたルン」
「おいおい待てよ! ――ったくどいつもこいつも付き合い悪いぜ」
それぞれ思い思いに帰りだしたところで、独り残されたアッシュは床を蹴りつけた。
相次ぐ魔物の出没、これに裏があることを誰も知る由がなかった……。




