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第22話 8月23日

 検索ボックスに思いつく単語を入力していく。


 『黒崎 事件』

 『〇〇町 黒崎』

 『〇〇町 一家』


 なかなか求めているような情報が出てこない。そもそも俺の予想が合っているのかも分からない。


 『〇〇町 黒崎家 親子』


 検索を繰り返していると、一つのネットニュースが引っかかった。


――――――――――――――――――――


【速報】◇◇市の住宅で夫婦死亡 室内から複数の遺体の一部も  ――2015年8月24日


 24日、◇◇市〇〇町の住宅で、この家に住む黒崎賢治さんと妻の裕子さんが死亡しているのが見つかった。警察は、現場の状況から事件に巻き込まれた可能性が高いとみて、詳しい状況を調べている。


 警察によると、2人は住宅内で倒れており、いずれも現場で死亡が確認された。現場からは、ほかにも複数の遺体の一部が見つかっており、警察が身元の確認を進めている。


 2人を訪ねた近所の知人が異変に気付き、警察に通報したという。


 警察は、現場の状況を詳しく調べるとともに、事件に至った経緯や、ほかに被害者がいる可能性についても捜査を進めている。現時点で、犯人の特定には至っていない。


――――――――――――――――――――


「ケンジに、ユウコ……」


 11年前の記事。しかし、ただの偶然で片付けることはできない。


 記事の下には関連記事の欄がある。【続報】という文字が見えた。頭の中はぐちゃぐちゃだが、自然と指が伸びた。


――――――――――――――――――――


【続報】◇◇市の夫婦死亡事件 長男・輝くん(5)の遺体と判明 長女(3)は依然行方不明  ――2015年8月26日


 ◇◇市〇〇町の住宅で、住人の黒崎賢治さん(34)と妻の裕子さん(30)が死亡しているのが見つかった事件で、警察は26日、室内から見つかった遺体の一部が、同居していた長男の輝くん(5)のものと判明したと発表した。


 警察によると、現場からは複数の遺体の一部が見つかっており、身元の確認を進めていた。また、黒崎さん一家と同居していた長女の葵ちゃん(3)の行方が分かっておらず、警察は事件に巻き込まれた可能性もあるとみて、捜索を続けている。


 賢治さんと裕子さんは24日、住宅内で死亡しているのを発見された。近所に住む知人が住宅を訪れた際に異変に気付き、警察に通報したという。


 警察は、家族が死亡した経緯について詳しく調べるとともに、行方不明となっている葵ちゃんの捜索を進めている。現在までに、事件に関与した人物の特定や逮捕には至っていない。


――――――――――――――――――――


 黒崎家は死んでいた......?

 じゃあ今までのは一体なんだったんだ?


 頭の中を、さまざまな疑問が駆け巡る。

 でも、どこか納得している自分もいた。それは、黒崎家のあの奇怪としか言えないような行動が現実のものではなかったという安心感から来るものだろう。


 それでも、まだ謎は残る。なぜ黒崎家は俺の前に現れたのか。そして、今までのメッセージの意味は――。


「もしかして……」


 俺はスマホの写真フォルダを開き、昨日結城さんの家で撮った写真を開いた。


「こっちが22日で、その前が13か……」


 前の住民に関する記事。それぞれが発見された日の前日に殺されたとすると、8月12日と21日。もし前の住民たちも黒崎家と関わっていたとしたら……


 頭をフル回転させながら、カレンダーを開く。


「12と……21か。やっぱり」


 黒崎家がウチで待ち伏せしていた日。同じ日付に、前の住民たちが殺されている。


 『守らなきゃ』

 『三人目』


 黒崎家に言われた言葉が頭の中でこだまする。


 黒崎家は俺を守ろうとしていた?

 『三人目』にならないために?


 全ての事件で犯人は捕まっていない。もし、全ての事件の犯人が同じだとしたら――。


 だんだんとつながりが見え始めるとともに、俺の指の震えが強くなる。


 黒崎家が殺されたのは恐らく8月23日。今日と同じ日付だ。


 『間に合わないよ』


 アキラくんの言葉が正しいとすると、俺の身にも危険が迫っているのだろうか。そしてもう、黒崎家は俺のことを守ることができない。



「あぁ、ダメだ」


 俺はコップに水を汲み、一気に飲み干した。乾いていた喉が一瞬潤うが、心臓の鼓動は早まるばかりだ。


 黒崎家が俺を守っていたことは分かった。


 俺はもう一度、ネットニュースに目を移す。


「アオイ……」


 アキラくんが言っていた妹の名前。ネットニュースにも名前が出ている。


 でも、行方不明?


 その後の続報も見当たらない。今も行方不明のままなのだろうか?


 元々は四人家族だったが、殺されたのは三人。


「四人家族……?」


 俺は今までの記憶を辿る。何かヒントがあるかもしれない。


「……あ。」


 地下室の写真。

 家族が写っていた写真。

 あれは確か四人家族だったはずだ。父親と、母親と、二人の子供。あれが黒崎家だとすると、確かに年齢は合うかもしれない。


 じゃあ、この家に元々住んでいたのは黒崎家だということか?

 確かにそうかもしれない。子供が二人いる四人家族なら、この広さにも納得がいく。



 次々と繋がっていくピース。


 さて、残るは。


「後は……あの人だ」

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